台風が東からやってくる。
西からの台風は湿った南風を吹き込みながらやってきて、涼しく爽やかな風とともに去る。東からやってくる台風はその逆だ。涼しい朝になった。

大昔に川が削った段丘崖の斜面林を、こんなにもいたのかと思うほどのカナヘビがカサカサと動き回っている。オニヤンマ、シオカラトンボ、大きなシオヤアブ。虫たちが動いている。
近所の川ではハグロトンボがたくさん舞っていた。ああ、間違っていたなと思う。今年、彼らの姿が極端に少ないのを、6月の台風の影響ではないかと思っていた。羽化の時期の増水が悪い影響をおよぼしたのではないかと。
きっと彼らは、ひどい暑さを避けてどこかにいたのだろう。川そばの薄暗く湿った事務所のらせん階段でしばしば見ていたのは、日当たりのよい川から避難していたのかもしれない。
今晩には暴風雨になることも知っているのか、せわしなく行ったり来たり、追いかけっこをしていた。
ひさしぶりに橋の上からしばらく流れを観察することができた。このところ朝も暑すぎて、かといって日陰に入れば蚊が刺してくるから足を止めることがなくなっていた。
7、8分ぐらいだったが、アカミミガメとカルガモと大きなナマズが餌を探して行ったり来たりする様子を観察することができた。アユが一匹、白い腹を上に向けて流れていた。冷水病にはまだ早いだろうし、きっと釣り人に捨てられたものだろう。
彼らはいかなるタイミングで東から近づく台風を察知するのだろう。いち早く気づくのは空を飛ぶ鳥や虫たちで、その異変を見て水の中の生きものたちも身構えるのかもしれない。そんなことを思いながら川を出た。
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