昨日、ちょっとだけナマズを狙いがてら(2の0でした‥)、この時期に草原でひたすらジーーーーと鳴いている虫の正体を突き止めてみました。 こいつです。 実物は初めてみました。(おそらく)クビキリギス。 鳴いているところも撮影したいなーと思い、ジーーーーという鳴き声に近づき、ライトの端っこで照らしつつ忍びより・・ 撮影に成功! ・・と、思いきや、どうやらこれはクビキリギスではなく、とてもよく似ているけどおそらくは別の種類。 シブイロカヤキリだと思います。 先日、虫に詳しい方にクビキリギスに良く似た虫がいると教えてもらっていたのですが、偶然にも近所の川辺で2種類を見ることができました。一応の私なりの見分けは口の色。 クビキリギスは口が赤っぽいのですが、 シブイロカヤキリは黒なんですよね。そして良く見ると体色や雰囲気も結構違います。 鳴き声はともにジーーーー。ほぼ聞き分けできず。 とても良く似た虫ですが、今度は鳴き声を含めて違いに注意して観察してみたいと思います。 話の本題はここからです。 ふと、クビキリギスという名前が気になりました。 なぜ、クビキリギリスじゃないのだろう?‥と。 ちなみにクビキリギスもシブイロカヤキリもバッタ目キリギリス科という同じグループに属しています。キリギリスの仲間なんですね。 「クビキリ」という名前も気になります。 「首切り?」 すぐにピンときたものがありました。 これはもしかすると、カットスロートトラウト、いわゆる「ノド切り鱒」と同じ理屈なのではないだろうか?と。 北米原産のカットスロートトラウトはニジマスによく似た魚ですが、ノドのあたりに血のような赤い模様が付いていることから、まるでノドを切ったようだ‥ということで「ノド切り鱒」という名前が付けられています。 クビキリギスも、口の周りがオレンジ色で、見方によってはノド‥いや、首が切れているように見えなくもないではありませんか。 首が赤いから「首切りギス」なのではないかと‥(「ギス」については後ほど・・)。 で、ネットでちょっと調べてみると、意外な由来が書かれておりました。 いわく、アゴの力が強すぎて、咬みついているのを無理に引きはがそうとすると、首が千切れてしまうから「首切りギス」なのだとか・・。 こわっ! 子どもの頃、オレンジ色の腹をした小さな虫がいまして、それを地面に叩きつけてふみつぶすと「ぷっちん」と音がすることから「プッチン虫」と呼ばれていたのですが、それと似たような悪趣味な由来‥。 ちなみに「ギス」とは、キリギリスの類をそう呼ぶのだそう。 昨日見つけたキリギリス?の幼体。まだ鳴けません。クビキリギスが4月ごろから鳴いているのは、成虫で越冬するからなのだそうです。 キリギリス→キリギス→ギス となっていったみたいです・・(ちなみにキリギリスは昔、コオロギのことを指す名前で、逆にキリギリスはコオロギと呼ばれていたとか‥。ややこしすぎるので今回は割愛しますが、ご興味のある方はお調べください)。 ほかにもコロギスとかいますよね(これもコオロギに似てますね‥)。 さて。 では一方のシブイロカヤキリについてはというと・・。 まず「シブイロ」は「渋色」でしょう。 確かに渋い色をしています。 次に「カヤキリ」ですが、これは「茅キリ」でないかと思いました。 なぜかと言いますと、鳥に「ヨシキリ」という葦原にいる鳥がいて、これはおそらく「葦キリ(よしきり)」でしょうから。 で、調べてみると、案の定、「茅場に棲むキリギリスの仲間」とありました。他にも「ヤブキリ(藪キリ?)」とか「ササキリ(笹キリ?)」とかもいるんですよね。ちなみに「カマキリ」は「鎌を持つキリギリスの仲間」から名付けられた説もあるのだそう。 ともあれ、シブイロカヤキリの場合「キリ」は「切り」ではなく「キリギリスのキリ」というわけです。クビキリギスの場合は「キリギリス転じてのギス」なのに、ややこしいですね・・。 では、鳥の「ヨシキリ」の「キリ」はなんでしょう? なぜここで鳥のヨシキリが出てくるかと言いますと、ヨシキリは葦原(よしはら)にいる鳥で、葦(よし)は茅(かや)とも呼ばれたりしますから、関連性が気になったのです。ヨシキリの「キリ」は、まさか「キリギリスのキリ」ではないでしょうし・・。 調べてみると、どうやら「葦切り」だそう。つまり葦(よし)を切って中から虫を取り出して食べるから「ヨシキリ」だそうな。 虫の「カヤキリ」と鳥の「ヨシキリ」は同じ茅場や葦原の「キリ」でも、由来が違う、というわけですな・・。 だいぶややこしくなってきましたが、もうひとつだけ・・。 そういえば・・「ヨシキリザメ」ってどうなんだろう?と、またもやムクムクと要らぬ知識欲が膨らんできまして・・。 まさか「葦を切る鮫」というわけでもないでしょうし・・。 そしてまたもやネットで調べてみますと・・。 「フカヒレを取られるサメ」からきたのだそう・・。 ヒレはつまりサメにとっての手足のようなもので、そこからまずは「足切り鮫」と名付けられたのだそう(クビキリギスやプッチン虫と似た方向性ですね)。ただ「アシキリザメ」だと「悪しキリザメ」で縁起が悪いから「悪し」を「良し」にして「ヨシキリザメ」にしたのだそう・・。ほんまかいな?? ちなみに先ほどから「葦(よし)」と言っている植物も、元々は「あし」と呼ばれていたものを「悪し」だと縁起が悪いから「良し」とした、という経緯があります。ただ、今でも多くの人が「アシ」って呼んでいますよね。 ・・とまあ、実にややこしくて、まさしく「キリ」がありませんので、「キリ」にまつわるお話はこのぐらいにて(オケラの「ケラ」も「キリ」と関係があるのかないのか・・気になってます)。〈若林〉□ ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
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