今日は一日中、まとまった雨。ガタは開いたばかりか水位もかなり上がってました。

おそらくタヌキのしわざだろうと、その経過を追っていた食痕も、跡形もなく流されました。

流される前はこんな感じ。50㎝ほどあるコイの下半身の肉がかじられ、ほとんど骨ばかりとなっています。満潮時には10㎝ほど水に浸かるのですが、その際はカメたちがガツガツかじっていました。

カメはともかく、その前にコイを襲ったのは、おそらくこいつではないだろうか?と目星をつけています。

これはちょうど一カ月前の6月1日の朝ですが、土管の穴の中を注目ください。タヌキです。ガタにはアライグマの足跡も時折見られますが、眉間に黒い線がないこいつはタヌキ。その手前にいたのが、土管の中に逃げ込んだ時に撮影したものです。

ガタとは近所を流れる三面護岸河川です。平水時は5㎝ほど。川に繋がる入口には段差があるため、普段はザリガニやミドリガメがいるぐらい。

薄い泥底にはタヌキやイタチ、アライグマの足跡がついていたり、ハクセキレイやサギやカモ類がいることもある干潟湿地のような環境です。

こんな感じ。

段差の先にはトンネルがあり、水門を通じて川につながっています。

これが雨か大潮前後の満潮時になると、水位が上がり、川からコイ、フナ、ナマズ、その他もろもろが上がってきます。私が言う所の「ガタ開き」です。

で、もともと人工的な水路ですから、水位が上がるのも早ければ、下がるのも急激です。そうなると、なかには取り残されるやつが出てくるんですね。

もうちょっとのところで座礁したコイ。

こうなると自力では戻れません。

だんだん乾いて、そのまま命を落とします。

フナも・・

でっかいコイも・・。

そんなやつらを見かけては、せっせと下流に運んでいるのですが・・

例のタヌキを見て以来、干上がって死んでしまうだけでなく、襲われたのだろう姿を見ることが増えました。

こんな感じに・・。

いかにも穴の中の住人がアヤシイだろという現場。

ここ一カ月ほどの観察から、きっとタヌキのしわざだろうと思っています。

 

で、本日ですが・・

ご覧のような大増水。

ちょうどこの下流で警官ら数人が川を見ていました。聞けば猫が溺れているとのこと。パッと見ると、子猫らしきものが草の根元にしがみついていました。

これは助けねば・・と、急ぎウエーダーを履きこんで、普段コイを救出しているランディングネットを手に、現場へ。警官の方々も普段の水位を知りませんから、うかつには入れません。「あ、大丈夫大丈夫、水深も知ってますから・・」とザブンと入り(思った以上に水位が上がっていて胸高でした。セーフ‥)、よいしょと子猫を掬ってみると、なんだか様子が変です・・。

それは生後間もなく、毛も生えそろっていない子ダヌキでした。

おそらく‥ですが、土管の中で生まれたやつではないでしょうか。

引き上げた子ダヌキはネットの中でプルプルと小刻みに身体を震わせ、倒れこんでいます。お腹が少し膨れていたのは水を飲んでしまったためかもしれません。まぶたを薄く開け、いかにも弱々しく、それでもまだしっかりと生きてました。

そんな姿を見てしまった私は「動物園にでも‥」なんてことを警察の方に行ってはみましたが、おそらくそうはならないでしょう。第一発見者でずっと見守っていたコワモテのお兄さんが、自分のタオルを警官に差し出し「タヌキくるむのに使ってください」と‥。

ともに「なんとかなるといいんですけどね‥」なんていいつつ、警察の方々に後を任せ、別れたのでした。

おそらく、あの子ダヌキは死んでしまったことでしょう。

ならばいっそ、もう力尽きていたあのままにしていたほうがよかったのではないか、誰にも気づかれないほうがよかったのではないか‥なんて思いがよぎりました。タヌキは5匹ぐらい同時に産むそうです。

もしかするとコイを食べていたタヌキの子どもかもしれませんね。

ガタにはカルガモの親子もやってきます。この時期はだんだんと大きくなるヒナの数を数えつつ、自然界の厳しさを感じることが多いのですが、今日は子ダヌキをすくい上げて、またそんなことを思ったのでした。〈若林〉□

 

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