先日、『ダーウィンが来た!』というテレビ番組で、スッポンが紹介されているのを見たのですが、改めてスッポンは川の水中の暮らしに特化したカメなのだと感じました。ニホンイシガメやクサガメが川辺のカメであるのに対し、スッポンは川の中のカメ、という感じ。

水かきのついたような平べったい手足で川の中を素早く泳ぎ、長い首と細く突き出た鼻先で、体を砂の中に埋めたまま水面に出して息を吸うこともできます。番組ではカッパの原型とも言われていると紹介されていましたが、見ればそんな印象を抱きます。

スッポンとの印象深い出会いは、過去に同水系別河川に潜っていた時のこちら。

ヤマケイ新書『武蔵野初川っぷち生きもの観察記』のカバー袖にも採用している写真です。私の姿をみて穴の中に逃げ込んだミシシッピアカミミガメを押さえるようにしながらこちらをじっと睨みつけるスッポン。凄みのある表情をしていました。

実は私、子どもの頃に小さなスッポンを飼っていたことがあります。二階のリビングの隅っこで、砂と水をはった洗面器に入れて飼っていたのですが、子どもにとってはスッポンって、あまり面白くないんですよね。夜行性なのか、日中は砂の中に潜って全く姿を現さないのです。カメの餌(乾燥赤虫)を水面にいくつか浮かべておくと、翌日には無くなっている・・というだけの飼育です。あとは数日に一度、蒸発して減った分だけ水を足すぐらい。植物を育てているというか、ただひたすら砂を育てているというか・・。

そうこうしているうちに興味を失ってしまいまして、餌は毎日のようにあげていたのですが、ある日気づくと餌が減っていないんですね。そうなると水も悪くなってしまいますので、水を換えてやろうとバケツに砂ごと移していくと・・スッポンがいないんです。本当に砂に餌を撒いていただけだったんです。

大慌てでリビング中を探しましたが見当たらず・・。そして後日、一階の玄関の靴を置いている隙間で干からびている姿を見つけました。なんとリビングから階段を降りて玄関に向かい、そこで息絶えていたのです。申し訳ない気持ちになりながらも、スッポンのなんとも言えない生命力に驚きました。

さて。

話は夜の川の川ミミズの這い出し観察へ。

オオカナダモを食べているのでしょうか。アメリカザリガニ。

痩せたヨシノボリ。

大きなウキゴリ。

ウグイ…かな? 4㎝ぐらい。

さらに小型のものも。

そして川ミミズの這い出しは往路で6匹、復路で7匹観察することができました。見つけたミミズはそのままにしていますので、往復で同じミミズを観察していることにもなりますので、この場合、這い出しの数は7匹以上としています。多めです。最後の増水から5日目です。増水直後は魚は増えますが川ミミズの這い出しはほとんど見られなくなりますので、やはりある程度河床が安定している時に這い出しやすいのかもしれません。

10㎝以上。地味なオリーブ色。「マッチョ虹色川ミミズ」としているミミズですが、色合いからもヘンイセイミミズではないかと予測しています。周囲にはウズムシとエビの死骸。

同じ「マッチョ虹色」でも、このように赤っぽい色のものもいます。単なる色違いなのか、また別のミミズなのかは不明です。

こちらはオリーブ色のタイプ。

小型の「細マッチョ川ミミズ」。

こんなところです。

ひとつ嬉しい観察は、川底に尻尾を埋めた状態の川ミミズに出会えたことです。

こんな感じ。

こちら頭のほう。体の大部分は出していましたが・・

尻尾だけ川底の中に入れていたのです。

これは、この中に入っていたことを示唆する一枚。

光を当ててしまったこともあり、出てきました。

良い観察ができました。

 

そしてこのところ、毎回一匹は姿を見せてくれる・・

モクズガニです。

ハサミと脚を合計4本失った状態。

死骸もひとつ。

何かに食べられているのでしょうか。

考えられるのは・・カワウ? ハシボソガラス? アオサギ? ゴイサギ? カルガモ? ミシシッピアカミミガメ? コイ? アライグマ?

そしてスッポンではないかなと・・。

ミシシッピアカミミガメがいても不思議ではない空間なのですが、まだここでは見たことがありません。緩い流れの部分が少なすぎるのかもしれません。

スッポンがこのあたりにいるとしたら、子亀は間違いなく(親亀も)砂の中に暮らす川ミミズを食べているのではないでしょうか。というよりも、ある時期において、川ミミズはスッポンの主食にもなりうる存在なのではないか・・なんてことを妄想しました。

潜ることのできる砂場は限られています。

今度、試しにガサガサしてみたいと思います。〈若林〉□

 

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