今朝方、ついに水温が14.5℃と、アユの産卵行動が活発になると言われる15℃を下回りました。それもあってか、41匹のアユを拾うことができました。

さておき、今回は、この2日間ほどで拾った落ち鮎の写真を並べてみたいと思います。

細身のオス。サビ色が抜けたのか、もしくは錆びる前の姿なのか、定かではありません。今年、この川では岩に着く藻類の育ちが良くなかったのか、釣り人の声を聞くと、総じて「小型で痩せている」とのことです。

まださほどサビていないメス。とても印象的でした。縞模様のように黒い線がびっしり。

おそらくはカワウにかじられた痕だと思います。ここまでかじられながらも飲み込まれることなく、逃れたのかもしれません。ただ、やはりここまでやられてしまうと傷は深く、産卵には参加できなかったかもしれませんね。

サビ色が抜けて黄金色になったオスです。死後硬直した状態です。臀ビレ前方と尻尾の根本に擦り傷があります。産卵のために砂礫を掘ったためでしょうか。

痩せたオス。臀ビレとその周りが赤く充血しています。尻尾の付け根も擦り傷があり、おそらく砂礫を掘ったためと思われます。サケのメスのホッチャレも、このように臀ビレや尾ビレが擦れて最後は骨が露出するほどになりますが、一回の産卵でその後はすべて死んでしまうサケやアユならではの自傷なのかもしれません。

黄金色になりかけているオス。所々に横縞が入っているのはサビが残ったというよりもカワウによる噛み痕なのかもしれません。背ビレは総じて無傷できれいなままです。やはり臀ビレと尾ビレの付け根が擦れていますね。

サビ色の残った小型で細いオス。やはり臀ビレと尾ビレの付け根が擦れています。体の腹側が白いのはサビ色が時間とともに抜けている途中なのでしょう。

黄金色にサビ色の抜けた小型のオス・・でしょうか。ヒレも含めて全身黄色になっています。死後硬直状態。

サビ色の残ったオス。流れ着いて間もなくで、まだ生きていました。体側にある黄色い星とエラブタ周りの朱色が印象的です。美しいですね。

エラブタ周りと胸ビレの付け根が擦れていることもあります。腹側はオレンジ色の婚姻色も残っていますね。

細身のオス。サビ色がしっかり残っています。尾ビレの付け根が少し擦れているぐらいで全体的にはきれいなままでした。透き通った背ビレと厚みのある丈夫そうな尻ビレが対照的です。

細身のオス。流れ着いてしばらく経った状態でしょう。サビ色は抜け、おそらくカワウの歯形だけが残った状態ではないでしょうか。腹のあたりの石にはプラナリアが集まっています。すでに頭や背ビレの周りはたかられていますね。プラナリアは川の掃除屋なのです。

サビ色が抜けたオス・・でしょうか。頭には薄く水カビが覆っているように見えます。死後硬直。このように尻尾を上向きに反らせている状態のものも多く見られます。サギ類は死んだアユを食べるのが苦手なようですが、死後硬直状態だとノドにつっかえるのかもしれませんね。腹ビレと臀ビレ周りは充血しています。

サビ色の抜けたオス。黄色いヒレが印象的です。あまり体が擦れてはいないよう。産卵には参加できたのでしょうか。

マダラ模様にサビが抜け始めたオス。20㎝ほどの大型でした。よく見るとカワウの歯形が残っているようにも見えます。臀ビレ周りと尾ビレの付け根が擦れています。


黄金色にサビが抜けたオス。斜めに細く入った線はカワウの歯形でしょうか。尾ビレの付け根に擦り傷あり。

オス。サビが抜けたというよりも、サビる前のような気もします。臀ビレや尾ビレの付け根にも擦り傷はありません。目立った外傷はないようにも見えます。産卵には参加できたのでしょうか。

サビ色がほとんど抜けたメス、でしょうか。臀ビレの付け根に擦れた痕はなし。代わりに尻尾に丸く小さく抉られたような痕があります。

小型で細身のオス。臀ビレの付け根のサビ色が少し抜けています。尾ビレの付け根は擦れておらず、比較的きれいな状態。

小型のメス。サビ色は出ていますが、果たして卵を産むことができたのでしょうか。まだ息はありました。

色の抜けた大型のオスと、小型のメス。体長にはこれぐらいの差があります。小さなオスもいます。オスは臀ビレの付け根に傷あり。サビ色が抜けた状態でしょうか。メスは黒ずんだ状態。

サビ色の小さなオス。黄色い星が残っています。エラブタが赤く充血しています。

とても小さなメス、でしょうか。ライトに驚いて打ち上がってしまいました。弱っているわけではなく、すぐに逃げていきました。サビ色もまだ薄い感じ。

サビ色が抜けて黄金色になったオス。わずかに腹に黒いサビ色が残っています。臀ビレも尾ビレの付け根もさほど擦れていないよう。

サビ色が抜けかけたメス、でしょうか? 尻尾に丸い穴が開いてます。これは病気なのか、擦れた痕なのか。

サビ色の抜けた良型のオス。臀ビレがほとんどなくなり、尾ビレもだいぶ欠けています。一生懸命、砂礫を掘ったのかもしれません。体側にはカワウに襲われたと思わしき歯形もあり。なかなか強いオスだったのではないでしょうか。

サビ色の抜けかけた小さなメス(だと思います)所々にカワウの歯形らしきものあり。

サビ色が抜けて黄金色になったオス。臀ビレの付け根と尾ビレの付け根が擦れています。腹ビレと胸ビレの付け根が赤く充血しています。

細身の小さなオス。サビ色が抜けた状態。小さなカワウらしき歯形あり。尾ビレがかけています。

サビ色の抜けたオス。頭から鼻先にかけて黒いサビ色が残っています。エラブタ、臀ビレ周り、尾ビレの付け根と尾ビレが擦れている典型的なオスのホッチャレ。

流れ着いて少し時間の経ったオス。サビ色は抜けている。臀ビレが擦れている。プラナリアが各所にたかって肉を漁り始めています。

サビ色の抜けかけたメス。まだ生きていました。尻尾が擦れて肉が見えています。メスはこの部分が擦れる傾向にあるのでしょうか。産卵行動との関係を知りたいところです。エラブタに小さな穴あり。

サビ色が抜けて黄金色に輝くオス。臀ビレと尾ビレの付け根が擦れている。エラブタが赤く充血。死後硬直。

黄金色にサビ抜けしたオス。擦り傷はあまりなし。胸ビレ、腹ビレ、臀ビレが赤く充血。

サビ色の抜けたオス。胸ビレと腹ビレが充血。臀ビレと尾ビレの付け根が擦れている。カワウらしき歯形あり。顔周りに少しだけサビ色が残っている。

やや大型のメス。サビ色が抜けかけている。頭と腹側の体側のサビが残っている。尻尾の横はやはり擦れている。メスはサケのように横向きに最後砂礫を掘るのだろうか。

サビ色の抜けたオス。死後硬直。シャチホコ型。臀ビレと尾ビレの付け根が少し擦れている。エラブタと胸ビレの付け根も擦れている。

小型で細身のオス。ワカサギのよう。これはサビ色が抜けた状態だろうか。婚姻色にも至っていないのだろうか。

サビ色の抜けかけたメス。エラブタに少し穴が開いている。深い色合いに。

サビ色の抜けたメス。サビ色が抜けたのか、まだ婚姻色に至っていないのか。尻尾の横には穴があり。メスの典型的な症例。

まだ生きていたメス。サビ色が一部抜けているが、これはメスが擦れやすい部位であり、擦れるためにサビ色が抜けているように見えるのではないか。まだ目が生きている。

サビ色の抜けたメス。頭だけ黒い。やはり尻尾の横に傷が入っている。エラブタも擦れている。

大型のメス。サビ色が抜けた状態か。体に不自然な凹みなどあり。尻ビレの上に穴が開いている。冷水病などの病気なのだろうか。それとも擦れた痕七日。尾ビレの付け根も欠けている。

サビ色が抜けかけたオス。外傷はあまりない。腹ビレと臀ビレの付け根が充血。

サビ色の抜けかけたメス? カワウらしき歯形あり、他外傷はあまりなし。

サビ色の残る細身のアユ。オスメスはわからない。臀ビレと尾ビレの付け根が欠損している。病気なのだろうか。

サビ色が抜けて黄金色になったオス。臀ビレの付け根に擦り傷あり。エラブタの下にも擦り傷あり。

サビ色が抜けたオス。死後硬直以降の状態。カワウの歯形らしき痕跡あり。

サビ色が抜けたオス。エラブタ周りが少し擦れているように見える。尾ビレ付け根と尾ビレ一部が欠けている。

ほんのりサビ色のでたオス? 外傷なし。まだ生きていた。

サビ色の抜けたメス? 外傷はなし。しっとりとした肌感。

黄金色になったオス。背ビレまで黄色く染まっている。なぜか尾ビレが途中で切断されている。他にはあまり目立った外傷はなし。

小型のメス。ほんのりとサビ色が出ている。まだ生きていた。

とても印象的だったアユ。オスかメスかはちょっとわからない。尻尾周りが血だらけになっていた。尾ビレ周りにプラナリアがたかり始めていた。サケのホッチャレのような貫禄。どのような状態なのだろう。

サビがまだ残っている小型のオス。尻ビレ、胸ビレの付け根、尾ビレの下側が擦れている。産卵行動に参加できた模様。まだ生きていた。

サビ色の抜けたオス。臀ビレがだいぶ擦れている。

美しきサビ色抜け。刀剣のようだった。メス?なのだろうか。尾ビレの付け根や尻ビレの付け根が擦れるあたりはオスのようでもある。

サビ色の残るメス? 黄色い星もきれい。まだ生きていた。尻尾の横が肉がえぐれている。

以上、56匹の落ち鮎でした。

婚姻色はオスの方がくっきりと出て、サビが抜けると黄金色になるものが多い。臀ビレ周りと尾ビレの付け根が擦れているものが多く、砂礫を掘った時の傷跡なのではないかと予測。メスは尻尾の側面がえぐれていることあり、これも産卵行動由来の傷跡なのではないかと予測。

産卵行動への参加の有無と死んでからの時間、オスメスの違い、カワウによる傷跡など、アユたちの生き様が刻まれたこの時期の体は本当に美しく思います。もう少し、落ち鮎拾いを続けてみたいと思います。〈若林〉□

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