楽しく続けております。出勤前の落ち鮎拾い。漂着したアユを食す動物や鳥の気配が濃くなってきました。落ち鮎拾いびとにも残しておいてくれよー。・・と、そんなことを思いながら歩いていると・・。

むむ・・! 対岸からでもわかるシルエット。これはアユで、しかも・・でかい。近づいてみますと・・。

この川ではなかなか目にすることのない。大ぶりのメスでした。しかもフレッシュ。死んだばかりという感じ。外傷はほぼなし。一箇所だけ体側に小さな穴が空いていました。冷水病でしょうか・・。

なんとも素晴らしい魚体です。ただ、残念ながら、産卵にはほとんど加わってないように思えました。腹ビレの付け根にも少しだけ傷がありますね。でもカワウなどに襲われた痕跡もなし。25㎝以上はありそうです。なかなかお目にかかれないサイズです。
本来ならば、ここで写真を撮って、いいものを見た・・と仕事場へ向かうところですが、いつもの邪悪な呪文が私に囁きかけるのです。
「こんな出会いはきっと一期一会ですね」と・・。
気づいたらネット釣り券「つりチケ」で日釣り券を購入し、そのまま拾ったポリ袋で持ち帰り、きれいに洗って内臓を取り除くまでしておりました・・。たいそう仕事が混んでいるというのに、邪悪な呪文よ・・。
ここで「え、拾った魚を食べるの?」と思ったあなたは間違いありません。なので真似はしないでくださいね。
私的日常ではよくあることではありませんが、たまにあることでして・・一昨年の11月10日にも食べておりました。(こちらについてはブログ「ホッチャレを食す」をご参照ください)
さて。

きれいに洗ってワタを取って、サイズを測ってみましたら全長で26㎝超えでした。見た目通り、中身もかなりフレッシュでした。おそらくは昨晩から今朝方にかけて絶命したものと思われます。

卵とレバーも新鮮そのもの。でもやはり、産卵には至らなかったようです。これも食べてみようかと思いましたが、今回は余裕なく断念しました。

炭火コンロで焼いたように見えるかもしれませんが、ダメダメな炭とダメダメな火付け役(私)しかその場におらず、時間も押し迫ってしまい、泣く泣くシングルバーナーで焼きました。ガスの力です。
それでも思った通りの美味しさでした。特に皮がパリッと焼けて、とても美味でした。身はほんのりとだけ、都市型河川の香りが漂った気がしたことを書き留めておきます。でもこれは最大限に気にしながら食べた結果であり、気にならない人は全く気にならないでしょう。私も美味しく完食しました。
落ち鮎拾いびととして、一つのテーマとしているのが「亡骸食(なきがらしょく)」。産卵の終わったホッチャレを美味しくいただくという試みですが、今回は命を繋ぐことなく死んだアユでありました。それでも一年に一度、近所の川のアユを食べることができて満足です。今年はこれで満足。来年には、釣った新鮮なアユも、拾ったホッチャレアユも、もう少しゆとりを持って食べてみたいなーと思ったのでした。□〈若林〉
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