今日は曇りのち雨。困ってしまうほど暑い日中が続いていた埼玉南部でしたが、ようやく本来の季節感を取り戻したような、そんな1日です。 このところ近所の川で、産卵後に死んだり弱って流れてくるアユを観察しておりまして。その楽しみについては、先日創刊した『サカナト』(SAKANA BOOKS)のコラムでも書いていますので、ここでは省略したいと思いますが(サカナト、とても魅力的な雑誌ですので、ぜひご覧になってください!)、このところの写真を少し並べてみたいと思います。 こちらは今年最初に拾った落ちアユのオスです。25㎝ほどありました。黒と黄色の縞模様になっていますが、アユは産卵期になると鉄が錆びたような黒っぽい「サビ色」に染まります。そして死んでしまうと、このサビ色が抜けて黄色くなるのです。上の写真はおそらく死んで間もない状態で、色が抜け始めている状態です。 すっかり色が抜けるとこんな感じ。 顔だけサビ色、体の色は完全に抜けています。 こちらは尾ビレが欠けていましたが、尾ビレがあれば、30㎝はあるほどの大型(尺アユと呼んだりします)でした。 まだだいぶサビ色が残った状態。 こいつはまだ生きていました。 色の抜けたアユは黄金色です。 タヌキとアライグマ。 近くにはイタチの足跡も散っていました。 彼らにとっても秋のボーナスフードなのでしょう。 頭は美味しいのでしょうか。 こんな食べ方も。カラスかな・・? これはおそらく、カワウかサギが吐き出したあと。 おそらく鳥にしていた回虫。一緒に吐き出されていました。 季節が進むと、食べられているアユの姿も増えていきます。 私が見た限りでは、コイやヌマチチブも食べています。 そして間違いなくアカミミガメやモクズガニも食べているでしょう。 これは今朝、流れてきたオスのホッチャレ。 私もいただいてみることに。 ちょうどメスも流れてきたので、2匹を拾ってお持ち帰り。 メス(下)はまだサビ色も出ていないように見え、尻ビレの後ろ側が少しえぐれているぐらいで、死因がはかりかねました。もしかしたら冷水病?なんてこともあるのかも・・なんて思ってみたり。一方のオス(上)は立派なサビ色が抜け始めた状態。サケでいうところのホッチャレですね。これを食べてみたかったんです。 豆炭で焼きました。 メスは香りも良く、味もしっとりほくほくで卵も蓄えた美味しいアユの塩焼きでした。 対してオスは、サケのホッチャレがそうであるように、身が柔らかく、ぐずぐずっとした感じ。皮が厚くなっていますので、火の通りもマイルドなのか、全体的に水っぽさを感じました。臭みはあまりありませんが、美味しいとまでは言えない感じ(皮はとても美味でした)。 これは想定内でして、サケもマスもそうですが、ホッチャレは脂が抜けていて、さらに身が柔らかいんですよね。 新潟・村上の三面川ではかつて、種川にやってきたサケに自然産卵させて、卵を産み終わったホッチャレを漁獲する「お浚い」という漁があったとのことです。 一般的に、サケは川に上ってきたものよりも、海にいる時の方が脂が乗って美味とされています。川に上ってくる時は産卵も間近で栄養分が卵や白子に移っていくため、身の脂が抜けていくんです。でもその「川サケ」の特徴を理解した上で、美味しく食べるにはどうしたら良いのか?とあれやこれやと考えられた結果として、村上の鮭食文化が花開いていったようです。 その村上の代表的な食べ方の一つが、サケの塩引きです。 それと同じ・・とは言えませんが、私も機会あらば、アユのホッチャレを美味しくいただく食べ方を求めていきたいなと。そんなことを思ったりもしています。〈若林〉□
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