とても寒くなりました。

そんなさなか、先日、新潟の村上でいただいてきた塩引き鮭のおすそ分けを友人に届けがてら、少し炙って食べてみました。

こちらが塩引き鮭。

塩鮭といえば、新巻鮭(荒巻)が有名ですが、塩引きはそれとはまた少し違っておりまして‥細かいを話をすると長くなるので簡潔に言いますと、干す期間が長い、という特徴があります。

長く干したらカラカラにしまうかと思いきや、日本海の湿気を含んだ寒風が吹くこの地の風土がそうはさせず、しっとりねっとりした身が出来あがる‥というわけです。

言わば自然の気候を利用した鮭の熟成魚。醗酵食品というわけです。

これまで村上の塩引き鮭は民宿で一回、料亭で一回いただいておりますが、民宿のものは塩辛さが際立ちすぎていて熟れ感は感じず、料亭のものはとても美味しかったのですが万人受けする味と言いますかやはり熟れ感はあまり感じることがありませんでした。

今回のものは地元の方が軒先に吊るして作った物。

クサヤ‥とまではいきませんが、香りも強め。そして身はねっとり。ナイフで薄くそいで網へと載せていきます。

クヌギやケヤキの煙に燻されながら、熟れた塩引きの強い香りも鼻を突き‥

とてもいい具合‥。

そしてパクッと口へ放り込むと、ツンフワッと風が抜けました。

熟れた風です。

おもわず「うっ……」と立ち止まる強い風味。

初めての経験でしたが、すぐにとても親しいものとなりました。

カワサケを丁寧に処して作り上げる土地の味。

目に沁みる焚火の甘い煙。

身も心も熟れていく‥。

友人は焼酎の鰭酒を堪能しておりましたが、私は車だったため紅茶炙った鰭を‥。

これはこれで‥。

熟れた塩引きを炙りながら煙に薫され、月に寄り添う惑星たちを眺めてカモの飛び立つ鳴き声を聞く。

大満足のひと時でした。〈若林〉□

 

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