今日は雨降りの一日でした。

事務所作業ですので、大きな影響はなし。

が、今このブログを書いている私の右足は膝までずぶ濡れです。

今日の顛末は今日のうちに‥と、キーを叩いております。

雨が降るとシーバス(スズキ)が動きますので、タイミングが良いと短時間でも釣ることができます。

上はポジドライブガレージのフリルドスイマー。そして下はハルシオンシステムのゴッツォです。フリルドスイマーは思った通り、おそらくもう少しクリアな水質で効果を発揮するルアー。好きなフォルムなので、使い込んでみたいと思っています。

対するゴッツォは、まさに近所の川にドンピシャ。シャローレンジをパタパタと適度なアピールを伴うウォブンロールで引いてこれます。

こんなシーバスや、

こんなシーバスを釣ることができました。

ちなみに下の魚は本日の日中釣れたもの。

ゴッツォは信頼に足るルアーなのです。

このルアー、5年前の冬に他界してしまった楠ノ瀬直樹さんが調整して世に送り出したルアーとなります。

楠ノ瀬さんについては、なかなか少々のブログでは語りきれませんが、一言で言えば、釣りという遊びの面白さや、面白さよりももう少し重い、でもなにげなくもある、人生における意味‥みたいなことを教わった方です(ちなみに楠ノ瀬さんが教えようとして教えたというよりも、ご一緒させていただくなかで受け取ったという感じ)。

楠ノ瀬さんは、それこそしばらくの間、私の近所に住んでいましたから、ルアーテストも、今私が釣りをしているようなところで重ねていたんじゃないかなーと思います。ゴッツォはそれぐらい、この川にマッチしています。

さて。

そのゴッツォですが、本日の日中、悲しいことに失ってしまいました。

根がかったコイ釣りの糸が絡んで、手元までもう1mぐらいのところまで引っ張ってこれたのですが、引っぱったら自分の方のラインが切れて、そのままはじき返るように沖へと消えていきました・・。

もしゃもしゃの釣り糸を回収することができた代償として、ゴッツォとさらに・・

長く使っているロッドの第二ガイドを飛ばしてしまいました。

意気消沈し、事務所に戻って仕事を再開。

・・しながら、やはりライトなタックルではだめだと。

しばらくの間はこれだ。ディアモンスターMX-7とカルカッタ300にPE5号という、アカメをキャッチしたハイパワータックルで、デッカいルアーを投げる釣りをしてみよう・・なんて考えました。ちなみにルアーは上がペニーサックのタングステンバージョン、そして下はオズボズという、これまた楠ノ瀬さんが作ったルアーです。150mmとかなりデカいので、なかなか使う機会がなく、これまで魚を釣ったことがありません。どうせなら、これをじっくりと投げ込んでみようと。

そして夕方。

突如、雨が上がりましたので、竿は持たずに夕方の空を見に川に出ました。

これは良い感じ。ひさびさピンクに染まった空を見ることができそうな予感・・。そして・・。

きたー!! ピンクに染まったのは、ほんの10秒ぐらいでしたでしょうか。夕刻の空の色は、文字通り刻一刻と変わります。

そしてこのピンク色の空こそ、楠ノ瀬さんが大好きだった空なのです。どちらかといえば夕焼けよりも朝焼けを好んでいたようですが、あまりにも好きすぎて(?)服やロッドまでピンクにしてしまっていたような人でした。

まあ、ゴッツォは失ってしまったけど、ピンクの空が見えたから良しとしよう・・。仕事仕事・・。

と、事務所に戻りながら、同じく楠ノ瀬さんと密に仕事をしていたライター仲間のMさんに空の写真を送ったりツイッターにアップしたりしていると・・

「ピンク。きっと見てますよ。」とコメントが。

いわずもがな、楠ノ瀬さんもきっとどこかで見てるでしょ、というコメントです。

本来ならば事務所に戻って仕事を再開せねばならない私、ですがこれを読んだために、ちょっとだけオズボズを投げたくなってしまいました。釣れるとは思いませんが、まあちょっと投げるだけでも・・。

そして向かったのは、日中、ゴッツォを失った場所。

そこはニゴリをともなう流れ込みがある場所で、ものすごく釣れそうだったんです。釣れそうだった矢先にゴッツォを失ってしまったので・・。ならばオズボズを数投だけしてみようと。

到着すると、ニゴリ水が流れ出す水門の奥からドシャドシャと魚が発する音が聞こえました。

もしかして水門の中に投げたら釣れるかも、なんて思い、勢いよく低弾道キャスト!

バッチーン!!!

なんとオズボズが水門に思いっきりぶつかってしまったのです・・。

戻ってきた姿を見て絶句‥。

なんとボディが欠けているではありませんか‥。

狙っていた場所に、まだ一投もしていないのに、もうルアーを壊してしまった‥。

あまりものふがいなさに、しばしうなだれ、もう一個のペニーサックに替えようとしたのですが・・

まてよ。ボディが割れたとはいえ、リップは割れていない。そして貫通ワイヤー仕様だから魚がかかっても大丈夫だろう。せっかくだから、少しは投げてみよ・・。

この思いつきが、思いもよらない結果を産みました。

数投目にゴツンと何者かがルアーにヒット! そのままドシャドシャと激しいエラ洗い! ものすごい引きだ。

これは、かなりデカいシーバスに違いない! ウソのような展開でクラッチファイトをしばしの間、繰り返し、ようやく寄せてネットに入れようとライトで照らしてみたところ・・。

・・。デカい!

なんと、ハタキの最中とも思われるどでかいコイでありました・・。

オズボズにご注目ください。この姿で魚を連れてくるとは・・(しかもコイ・・)。

これはもしや、ナオキさんのいたずらか? 

そんなことを思いながら、ニゴリと流れの境い目の核心部にオズボズを投じますと・・。

ぐーーんッ。

・・・いやな感触・・。

根がかりです・・。壊れているとはいえ、ゴッツォに続いて大切なオズボズまでもが・・。

ですが、そこは怪魚ロッドのMX-7です。思いっきりアワせるように竿をあおると、ググッと動きました。

急いでラインを巻くと雑巾か何かが引っ掛っている手ごたえ・・・重い。

それは日中のデジャブかと思うほど、手前1mのところで止まってしまいました。

そしてライトを当てると・・・。

なんと! なんと!! 日中に失ったゴッツォだったのです!!

さらにもうひとつルアーがついてます。

ですが相手は日中と同じくコイのぶっとい仕かけです。

PE5号をもってしても、勝ちきることができません。

これは絶対に失いたくない。でも高枝切ばさみも根掛かり回収機も持っていない・・。

そしてどんなに引っ張っても1mから寄ってこない・・。

意を決した私は、アブラナの茎を数本束ねてつかみながら、少しずつ、少しずつ、長靴の足を泥底の中に沈み込ませていったのです・・。ヒヤリといやな感触。でもそこまで深くない。行けそう。プライヤーで切るんだ。コイの仕掛けを切るんだ・・。

‥プツッ。

おおお!! 回収!!! なんということでしょう! 日中にロストしたゴッツォを、壊れたオズボズが奇跡的に回収してくれたのです!! しかももう一個ルアーのおまけつき。

足が・・。

そして無事、事務所に戻ってきて、ずぶ濡れのジーパンをはきながら、とりあえず記録を残しておこうとブログを書いています。

まあ、こんなものですね。

釣りはそうそう上手くもなりませんし、だいたいいつだって泥だらけです。

でも、ずぶ濡れになったままの長靴で歩いていても愉快な時があり、じっとり濡れて冷たいままのジーパンがなんでか楽しく感じられるような時もある、というわけです。

ピンクに染まった空を見て、この世界に生きている小さな意味を感じてみたり。

そんなひと時でありました。

 

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★