蒸し暑い一日でしたね。 残暑な一日です。RIVER-WALK Vol.1は、おかげさまで着々とお届けしたい皆様のお手元に届いているようで、書店さんからの追加注文をいただいたり、ご好評のお言葉もたくさんいただいております。 そんなさなか、著者のひとりでもある佐藤文紀さんがブログでRIVER-WALK Vol.1を紹介してくださいました。 大人気ブログの「FUMI’S BLOG」にて。 いずれも、この本はもとより、佐藤さんのサケやマスや渓流に対する熱い想いが詰まった文章。行間から「好き!」が伝わってきます。こんな方にご執筆をいただけたことを改めてとてもうれしく思いました。
佐藤文紀さんです。
職業はプロフェッショナルアングラー。つまり、釣りのプロですね。 主なお仕事上のターゲットはロックフィッシュと称される、海の岩礁地帯にいるハタ、ソイ、アイナメなどです。 佐藤さんは「ロックフィッシュ」を釣るプロフェッショナルアングラーの第一人者なのです。
こんな感じです。 プロの釣り人として雑誌やテレビ等で、釣りを魅せるご職業をされていると同時に、釣り具メーカー「プロズワン」の代表として、主にロックフィッシュを釣るための釣り竿等をプロダクトしています。
こんな佐藤さんですが、お住まいは宮城県の石巻。そう、サクラマスの聖地として全国から多くの釣り人が集まる北上川の河口を擁している地です。
佐藤さんは一年を通してロックフィッシュを狙う傍ら、特に3~5月にかけては地元の北上川(追波川・旧北上川)で海から遡上してくるサクラマスを狙っています。 で、驚くべきことに、18歳で初めてサクラマスを手にして以来、毎年欠かさずに15年間もの間、サクラマスを釣りあげることに成功している釣り人なのです。 普通、サクラマスといえば、3年に1度釣れたら御の字・・のような、かなり釣ることの難しい魚です。それを毎年欠かさず15年間・・。 海から遡上したばかりのサクラマスは、こんな感じです。 そして狙っている川はこんな感じ。
ほとんど銀ピカのシャケですね。 そして釣りをするのは北上川の下流域ですから、ものすごく広い。ここからサクラマスのルートを読んで、狙いを定めて釣りあげるのです。
さて。 3月に海から遡上して佐藤さんのような手練れな釣り人の投げるルアーをくぐりぬけたサクラマスは、春~夏を通して川をグングンとさかのぼり、実に250㎞以上もの距離、北上川をのぼっていきます。もう宮城県ではなく、岩手県の盛岡市近郊です。 ときにはジャンプして・・ 生まれ故郷の川へと帰ってくるのです。 川はこんな感じです。 これ。季節はちょうど・・いま。 一年前の昨日(9月25日)です。
稲刈りがそこかしこで見られるような田園地帯を通り抜け、流れは細く山間に・・。 サクラマスはシャケよりもずっと森の奥まで、どこまでもどこまでものぼっていきます。
そして 人知れぬ森の中のほとんど渓流ともいえる細い流れの中で、命をつなぐ、産卵を行うんです(上写真は巣を掘り起こすメス)。
海から川に入ってきたばかりのサクラマスを下流域で釣っている佐藤さんに、一度、そのサクラマスがのぼっていく先を見てもらいたかった。そんな想いから立ち上がった企画です。盛岡近郊の森の中で佐藤さんが感じた想いは・・小誌にて・・。 ところで。 佐藤さんと昨年サクラマスの産卵を観察した川には、今年からもうサクラマスはのぼりません。なぜならばすぐ下流に大きなダムが着工されたからです。いわばその沢で見られる最後のサクラマスの産卵を見にいった、というわけです。おそらくは人類がこの沢の流域に住むよりも前から連綿と繰り返されてきた溯上・産卵・孵化・降海・・・そしてまた溯上・・という、このサークルはプツリとここで途切れてしまいました。 誌面ではその旨は記されておりませんが、そんなひとつの最後の記録としての取材にもなってしまったということを、ここに記しておきたいと思います。
佐藤さんの内から出てきた言葉に「BLUE&GREEN」というものがあります。BLUEは海、GREENは森。それをつなぐ象徴的な存在がサクラマス。 「サケが森をつくる」という言葉もありますが、それにも似た、生命の循環をワイドな視野で捉えた言葉です。 山間の森の中で、目の前にいるこの魚は、半年前にはオホーツク海を泳いでいた。 サクラマスは、見る者の想像力をどこまでもかきたてる魚です。□
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