「オヨギデカミミズ」の種類を判別するプロジェクトも第10弾。

少しずつ見分けがつくようになってきた気もしますし、余計にわからなくなってきた気もします。

私が昨年から今年の春にかけて「オヨギデカミミズ」と呼んでいる「太くて長くて川底を這うように泳ぐ川ミミズ」がいったい何者であるのかを、少しずつ調べています。

これまでの過程により、私は「オヨギデカミミズ」を3種類のミミズに分けております(ちなみに名前に「」を付けているのは、私が勝手に命名した名前です)。

①「クリームオヨギデカミミズ」

②「ツートーンオヨギデカミミズ」

③ヒトツモンミミズ

 

①は「オヨギデカミミズ」の中でも25㎝以上となる最大種。イエローの鮮やかな蛍光発光や白っぽくてふにゃふにゃしている長めの体も含め、私が一番気になっている川ミミズです。

②はおそらく体長15㎝ちょっとぐらいの比較的太いミミズです。背中とお腹側がツートーンにコントラストがついているのが特徴です。おそらく・・ですが、私は今のところ、フツウミミズだと思っています。

③は前回の【川ミミズ同定の同定⑨一歩前進!】で初めて判別することができました。特徴的なお腹側にある斑紋により、これはヒトツモンミミズではないかと思っています。初めてほぼ確実に種類を同定することができたミミズです。先週あたりから一気に川に登場したミミズです。どこかに隠れていたのか、護岸から落ちてきたのか・・。

そんなわけで、週末も少し観察してきました。

日中に雷雨があり、川は若干の増水と白濁り。護岸は乾き始めてはいました。

まずは護岸沿いに虹色光沢のあるこちら・・。

背中側の蛍光発光は、ほぼ体毛のみ。

特徴的な斑紋もありました。ヒトツモンミミズです。

続けてすぐにもう1匹。

これも蛍光発光は控えめ。

これもまたヒトツモンミミズでした。やはり増えている印象があります。

ちなみに分類形質として・・Aは雌性孔、Bは雄性孔、そしてDは斑紋です。2つあります。ヒトツモンミミズの特徴はDの斑紋。そして多くのミミズではBの位置に一対の雄性孔が見られますが、ヒトツモンミミズでは雄性孔が存在しないものもあり(単為生殖?)、これもそのタイプではないかと考えられました。

お腹側は背中側より若干色が薄めです。

お腹側は若干、白く蛍光発光します。

護岸の苔から頭を出していたこちらは・・。

環帯が未完成の亜成体かと思われますが、おそらくは「ツートーンオヨギデカミミズ」。

ヒトツモンミミズと似たようなお腹側の蛍光発光。控えめです。

太くて背中が焦げ茶色。お腹側は白っぽくてツートーンになっています。長さは15㎝ほど。

そしてよくある尻尾だけ水につけたスタイルで護岸に張り付いていたのは・・

25㎝ほどある、おそらく「クリームオヨギデカミミズ」です。

「クリームオヨギデカミミズ」は第18節に雄性孔が見られますが、多くの場合「ツートーンオヨギデカミミズ」に比べるとぼんやりしています。

大きな特徴として、強いイエローの蛍光発光がまだらになって見られます。そして体は太さと比較しても長く、他の「オヨギデカミミズ」に比べてもフワフワで柔らかです。

動き方も比較的、ゆったり目です。

さすがに梅雨時といいますか、3種の「オヨギデカミミズ」をいずれも観察することができました。

そして実は・・

こんな「オヨギデカミミズ」も・・。

体調は17㎝ほど。細め。「クリームオヨギデカミミズ」にも似ていますが、もう少し動きは機敏で、色合いに透明感があります。

端的に言えば透明感のある色合いが美しいのです。まるで「マッチョ虹色川ミミズ」にも似たような・・。

まだ環帯のない幼体ですが、雄性孔は見ることができました。

そしてUVを照射してみると・・。 

「クリームオヨギデカミミズ」同様のイエロー蛍光発光。ただ、「クリームオヨギデカミミズ」のようにまだらではなく、均一にやや薄くイエローが光っています。

あまりコントラストは強くありません。

なんとなく、過去にも見たことがあるなーと思い、過去のブログをたどってみると・・似たやつがいました。

まるでガラス細工のように美しい・・。

蛍光発光も美しい・・。

過去ブログ【オヨギデカミミズの実態】で紹介した写真ですが、この時は単に「オヨギデカミミズ」と呼んでいます。

ですが今の私は、あえてこのミミズがこれまでの3種類の「オヨギデカミミズ」とはまた別のやつなのではないかと仮定しておきたいと思います。さらに増やします。「オヨギデカミミズ」増殖中です・・。

なぜなら、このミミズの美しさは、やはり独特だと思ったからです。

まるでガラス細工のように美しいこの川ミミズをこのように命名したいと思います。

「ビロードオヨギデカミミズ」

また観察できると良いな。〈若林〉◻︎

 

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