ぐずついた天候が続きますね。梅雨っぽい日々です。

「オヨギデカミミズ」が何者であるのかを探るプロジェクトも11回目となりました。

正直な話、ミミズの同定はとても難しく、最終的には標本にしてじっくり調べないと断定はできない・・という気がしています。ただ、私の場合は研究ではなく趣味ですから、そこまではせずに、興味のおもむくままにアプローチを変えていきたいと思っています。

このところ面白くなってきたのは、夏になるにつれて出現するミミズの数も種類も増えてきているように思えるところです。このところブログには15㎝前後以上の大型種に限って紹介していますが、10㎝以下のものも、いくつか種類がいて、季節とともに移り変わっている実感があります。

15㎝前後以上の大型種に関しては、このところ圧倒的に数が多いのはヒトツモンミミズです。

こちらですね。ここで見られるヒトツモンミミズの特徴は、Dのところにある斑紋が2つあることと(一つ紋というぐらいですから、一つしかないやつもいるのです)、Bのところにあっても良い雄性孔がまったく見られないこと。雄性孔は交接といって2匹のミミズが接続して精子を交換する器官ですから(ミミズにはオス・メスの違いがありません)、これがないということは交接を行わないということになるのではないかと思います。となると1匹だけで繁殖する単為生殖となるわけですが・・。

こいつもヒトツモンミミズ。

これもヒトツモン。

これもヒトツモン。

そしてこれもヒトツモン。

川底を泳いでいるような状態の写真もあったかと思いますが、これは私が観察のために置いたもので、初めから川底にいたわけではありません。多くの場合、上写真のように護岸に生えた苔や護岸の穴(隙間)など湿った護岸にくっついています。

穴に潜ってしまうため、お腹側は観察できませんでしたが、このような状態が最も多いパターン。

こんな感じ。これらが何ミミズかは判別できませんが、おそらくは色合いからヒトツモンではないかなと感じました。

1匹だけ、似ているけどヒトツモンではなさそうな奴も。

この蛍光発光の雰囲気は「ビードロオヨギデカミミズ」っぽいですが・・。

雄性孔なし、ヒトツモンミミズらしき斑紋もなし(もう少し頭寄りに薄く輪っかのような色の濃い帯があった気もしますが、写真で確認できるほど目立つものではありませんでした)。

なんだかよくわかりません。。

さておき、このところの目立つ傾向は次の通りです。

①6月10日に初めて観察して以来、ヒトツモンミミズが観察地点では最も頻繁に見られる大型種となった。その傾向は増している。

②同様に護岸には小型の「しまぐろミミズ」(おそらくキクチミミズ)が一気に増えた。まだ半分以上は幼体。

③「クリームオヨギデカミミズ」「ツートーンオヨギデカミミズ」ともにほとんど見られなくなった。

④川底を泳いでいたりポカンとのんびりしているミミズが減り、垂直護岸に依存する?ミミズが増えた。

 

昨年、一昨年に観察していたのは主に7月。来月なんです。もしかすると、私が「オヨギデカミミズ」として昨年、一昨年に観察していたミミズは、ほとんどがヒトツモンミミズなのではないか?・・なんてことを思っています。昨年、一昨年の観察では、あまり注目をしていなかったこともありますが、川の中央ではほとんど泳ぐ姿は見られませんでした。それよりも護岸の湿ったところを中心に、時折、主に護岸から1m以内の区間を泳いでいる姿を観察していたので、かなり垂直護岸に依存したやつらだったのではないかと考えています。

ヒトツモンミミズに関しては、一気に出現してきたという印象が強く、もしかすると、川の両岸の護岸の上から落ちてきたのではないか・・そんな可能性も考えています。北海道で川の中にヒトツモンミミズが大量に見つかったという報告があります。雨が降ると陸地から川の中に大量に流入するミミズがウナギの重要な餌になっているという研究もあります。護岸の上は花壇や生垣があり、そこには当然ミミズがいるでしょうから・・。

ちなみにヒトツモンミミズは泳ぐのがとても上手です。「ツートーンオヨギデカミミズ」はすぐ石の隙間に潜ろうとする傾向があり、「クリームオヨギデカミミズ」はもう少しのんびりしています。ですがヒトツモンミミズは実に素早くするすると、時にはS字にグネグネと蛇のような泳ぎも見せてくれます。

5月にこの川を観察したのは今年が初めてでした。そこで見つけたのが「クリームオヨギデカミミズ」だったのです。時には護岸を張っていることもありますが、川底にポカンと浮いていたり、護岸から離れたところに現れたりする姿もしばしば見ることができました。

気になっているのは、ヒトツモンミミズが増えるとともに、「クリームオヨギデカミミズ」が姿をほとんど現さなくなってしまったことです。梅雨時期となり増水による河床の変化もしばしばでしたから、それによって流されてしまったという可能性もありますが、ヒトツモンミミズが一気に増えたこととも関係があるようであれば、面白いなと思っています。

それにしても成体の出現時期が5月から6月だとすると、こんなに短い期間なのか?という気もします。

実際にはこれからまた普通に出てくるのか、それともやはり全く見られなくなってしまうのか。

今後の観察でその点を注意していきたいと思います。

川底を這う「クリームオヨギデカミミズ」。

独特のイエロー鮮やかな傾向発光。

ほぼ間違いなく判別できたヒトツモンミミズというきっかけを頼りに、このミミズとの様々な比較によって「クリームオヨギデカミミズ」のキャラクターを確かなものにしていきたいと思っています。〈若林〉◻︎

 

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