数日前の朝、近所の川に、ひさびさに川ミミズを観察しに行ってきました。 浅く、流れの緩い「溜まり」では、薄く氷が張っていました。水温計は持っていませんでしたが、水温も1〜2℃といったところではないでしょうか。 ただ、こんな季節にも川ミミズを観察することはできます。 手っ取り早いのは、こんな湿ったエコトーン。石の下にいました。 全長8㎝ほど。ガッチリと環帯のある成体です。成体による越冬ですね。むちむちと体には張りがあり、いかにも健康そうですが、やはり寒いからなのか、動きはとても緩慢です。 越冬するということは、基本的に一年で生涯を閉じると言われる表層性種ではなく、地中に坑道を作り潜る地中性種ではないでしょうか。 つい先日、北海道大学から、ミミズが初冬に川に大量に流入し、それがサケマスやプラナリアなど無脊椎動物の食べ物となっているという研究が発表されました。英字論文だったこともあり、じっくりとまだ目を通せておらず、ミミズの種類もわからないのですが、おそらくは一年で死んでしまう表層性種ではないでしょうか。近所の川の代表的な表層性種といえば、大型のヒトツモンミミズとなりますが、彼らはどうやらお盆前後で私が観察をしている場所から一斉に姿を消してしまうようなのです。それらのミミズがどこに行ってしまうのか? 弱って鳥や魚に食べられてしまうのか、流されてしまうのか、色々なことが考えられますが・・一案としては今回研究で発表されたような大量流入のように、死を直前にして一斉に大きく移動しているなんてことはないだろうか・・なんてことを妄想しておりまして、来年こそは定期的に観察して、行方を突き止めたいと思っているところです。 一方、今、川の中に現れているミミズは、おそらく越年性の地中性種でしょう。先ほどエコトーンで観察したようなミミズは水中の川底にも見ることができますが、水面上からの観察で朝方に見つかる姿は、あまり多くはありません。 今回はこいつと。 こいつと、 こいつ。いずれも環帯のある成体。オトナです。かろうじて生きていましたが、かなり痩せ細って弱っていました。 どのような理由で弱ってしまったのかは定かではありませんが、寿命かもしれませんし、何らかの病気なのかもしれません。やはり冬は厳しい時期なのかもしれませんし、研究にあるように陸上から川の中に誤って流されてしまったのかもしれません。 確かなことは言えませんが、最初に石の裏にいたやつと、これらは同じミミズなのではなないかなと。本来ならば石の裏や土の中にいたいところを、何らかの理由で川の中に弱った状態でいることになってしまっているのではないかと。 一方、こちらはちょっと違います。 こんな感じにぷかっといました。 10㎝ほど。尻尾の方が少し白っぽい。全体的に色は薄め。そして環帯が見られないので、まだ未成熟の個体のようです。 こいつはなんとなく、雰囲気ですが、今年の春、4月1日からしばらく観察できた「クリームオヨギデカミミズ」なのではないかと。あくまでも雰囲気ですが。 こいつは先ほどの死にかけた3匹とは違い、いるべくしてここにいる感じもあるんですよね。 もちろん、朝方になってもまだ目立つところにいる時点で、もたもたしていることに変わりはないのですが、なんとなく、夜のうちには結構活発に徘徊していて、夜明けをそのまま迎えてしまった感じがありました(根拠はありません)。 夏場の夜間に川ミミズたちが川底を徘徊することは、私の中では当たり前ぐらいにもなっているのですが、真冬にももしかすると徘徊しているのかも・・。なんてことを妄想するきっかけを与えてくれた1匹となりました。 真冬の夜の川ミミズ観察は、さすがに私にも高いハードルではありますが、徘徊している川ミミズと出会うためなら・・今度頑張ってチャレンジしてみたいと思います。〈若林〉□ 【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) |