このところ日が短く、あっという間に、夜になってしまいます。 年末の忙しなさの最中にありながら、仕事帰りに少しだけ、とある川ミミズを求めて寒い夜の川へと足を向けています。 求めているのはこちらです。 私が「クリームオヨギデカミミズ」と呼んでいる川ミミズです。 長さ18㎝以上にもなる大型で細長く、白っぽいミミズです。 川で観察しているのは主に4〜6月です。6月下旬になるとヒトツモンミミズなどにメインの座を譲り、私の観察している川からは姿を消してしまいます。最も早い時期の観察は4月1日ですが、それ以前の厳冬期に川ミミズの観察をしていないこともあり、もしかすると真冬から川の中にいるのではないか?と期待しているミミズです。 このように川底を泳ぐ(這う)姿のほか・・ 湿った垂直護岸を登ったりもします。 そしてブラックライトを当てると・・ ものすごく鮮やかな蛍光発光を見せてくれるのも特徴です。 4〜6月に観察するのは環帯のある成体です。なので、冬場には川底を這う幼体が見られるのではないかと期待しています。 1週間ほど前、薄氷の張る朝方に、こんなミミズを見ました。 長さは10㎝ほど。細長く、色白なところは「クリームオヨギデカミミズ」にそっくりです。もしかすると「クリーム」の幼体なのではないか?と考えています。 私の川ミミズ観察のひとつの夢というか目標は、いわゆる大型陸生ミミズのうちのあるものが、一生を川の水中で過ごしている様子を観察することです。 川で観察しているのはあくまでも断片に過ぎませんから、なかなかそれを証明することは難しいとは思うのですが、少しずつそのパズルのピースを埋めていく作業がとても面白く興味深いのです。 ちなみに「一生を川の水中で過ごしている可能性があるのではないか?」と思っている川ミミズは、今のところ4種類います。 それを今一度、整理しておきましょう。 ①「クリームオヨギデカミミズ」 成体は4〜6月に河川Aのみで観察。体長15㎝以上。色白。太さの割に長い。体がフニャフニャですが、急にグネングネンと勢いよく動き出すので別名「ゾンビミミズ」とも呼んでいます。 ②「マッチョ虹色川みみず」 私が川ミミズ観察にのめり込むきっかけになった虹色光沢の美しいミミズです。成体は一年中さまざまな河川や湧水場で観察。長さは10㎝以上。太さの割に長い。体は筋肉質で硬め。大きさは様々で、複数種をまとめて「マッチョ」と呼んでしまっている可能性も十分にあります。蛍光発光はほぼなし。 ③「オジロ川ミミズ」 長さは10㎝弱。太さの割に長いわけでもなく、平均的な?ミミズ体型。色白。特に尻尾の色がとても白い。河川Bでのみ観察。夏場、夜だけでなく朝方の徘徊も一度だけ観察。砂質の多い川底にいる印象。 ④「細マッチョ虹色川ミミズ(仮)」 長さは10㎝ほど。太さの割にだいぶ長い。虹色光沢やや目立つ。「マッチョ虹色川ミミズ」に似るが、さらに細長い印象。河川Bにて、夏場の朝晩に川底を徘徊する姿を観察。ヒゲナガカワトビケラの捕獲網に引っかかった有機物?をもぐもぐしている姿も観察。徘徊する理由のひとつは食事のためではないかと考えています。 以上、私の認識で4種類(4タイプ)のミミズが、一年中、川の水中で暮らしているかもしれない?と期待しているミミズたちです。 これらはいずれもおそらくフトミミズ科の陸生大型ミミズたち。このほかツリミミズ科の中にもおそらく一生を川の水中で暮らしているものはいると思っていますが(例えば私が飼育しているやつとか・・)、それは置いといて、今はこの4種を真の川ミミズ。「川MMZ OF 川MMZ」として注目している、というわけです。 種類も曖昧あやふやなまま、妄想を突っ走らせると、これらには2つの共通点があります。 ・太さの割に長いこと(「オジロ川ミミズ」は例外) ・背中とお腹の色のコントラストがあまり見られないこと 太さの割に長いミミズといえば、ハッタジュズイミミズという1mにもなるような大型のミミズがいますが、水田や用水を生息地としている「田んぼミミズ」なんですね。なぜ、こんなにも長いのかという理由として、少ない栄養分を効率よく利用するため、なんてことが言われています。そう考えると、川ミミズの代表選手たちが太さの割に細長いのも、陸地の土壌や腐植に比べて栄養の乏しい?水中でも暮らせる体型に思えてなりません。 ちょっと言い過ぎたかもしれません。 でも、なんとなく、川底で見かける奴らには、共通する何かがあるように思えてくるんですよね。 しっかり調べるとなると、相当難しいことかとは思うのですが、日々の趣味の観察でいえば、彼らが水中の川底でいかに暮らしているのかを、少しずつ知っていけたらいいなと思っているんです。そして可能ならば、彼が川で暮らす一年も終えたらと・・。彼らが川の中の生き物とどのような関係性を持っているのかも・・。 そんな妄想に駆られながら、またふらふらと冬の川を歩くのです。〈若林〉□
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