本日、2月2日は「世界湿地の日」。52年前に湿地の生態系を守るための国際条約であるラムサール条約が締結された日なのだそう。 私は今日も仕事の合間に、トコトコと近所の小さな湿地へ。 今日の湿地はこんな感じでした。川に湧水が流れ込む小さな浅場です。ここだけ湧水なので、とても温かいんですよね。お湯みたいに感じます。 さて。湿地といえば、私的にはここ3年ほどマイブームが続いております「川ミミズ」を紹介したいと思います。 普段から当ブログを読んでくださっている方にとって、説明は不要かと思いますが、改めて・・。 川ミミズとは、その名の通り、川にいるミミズのことです。 川にいるミミズと言いますと、カメの餌なんかにもなっているイトミミズのような小型の水生ミミズが思い浮かぶかと思いますが、私が「川ミミズ」と呼んでいるのは「川にいる大型陸棲ミミズ」となります。大型と言っても長さは様々で、5㎝ぐらいから25㎝ぐらいでしょうか。 つまり、普段は・・というか、一般的には陸地の土の中にいるミミズなのだと思います。 それが何らかの働きによって、水の流れる川に出てきた状態のものを「川ミミズ」と読んでいるわけです。 最初の出会いは、あと2ヶ月もすると始まるニゴイの産卵がきっかけでした。 ニゴイは川の砂礫底に小さな卵を産み落とすのですが、産卵期が終わってニゴイがいなくなった川で、ふと砂礫の間に産み落とされた卵を見たくなったんです。そこでニゴイが卵を産んだあたりの砂礫を少し掘ってみたんですね。そうしたら10㎝弱ぐらいの虹色に輝くムチムチとしたミミズがグネングネンと川底から這い出してきたんです!! ・・その日から早3年ほど。ヒマさえあれば近所の川で、川ミミズ観察をする日々が続いているぐらい私にとっては衝撃的な出来事でした。 3年の観察で色々なことが分かりましたが、同じぐらい分からないことも増えました。 まず、種類が全然分かりません。 種類がわからないので自分で勝手に名付けたりもしているのですが、とにかく種類が多いんんですね。いや、多いのか少ないのかすらわからないのですが・・。 ともあれ、なんとなくわかってきたことは、ミミズの中には土の中にいるやつと、流れのある川の底にいるやつと、その中間の湿った場所にいるやつがいる、ということです。 そしてきっと、多くの大型陸棲ミミズは、土、流れのある川底、中間の湿った場所のいずれにもいるのではないでしょうか。ただ、種類によっては流れのある川底が好きなやつがいたり、どちらかといったら普通の土の中がいいやつもいるでしょう。そして中間の湿った場所を好むミミズもいるのだと思います。 この中間の湿った場所は、エコトーンと呼ばれる陸地と水場との移行地帯であり、狭い意味でのいわゆる湿地帯ということになるかと思います。 そして私が埼玉南部の都市近郊川で、川ミミズを観察し続けて思ったのは、川につながる湿地帯って意外にも少ないってことなんです。 つまり、水が流れている川は川、陸地は陸地とくっきり分かれているんですね。多くのエコトーンは護岸されていることもとても多いです。 おそらくかつて、川のエコトーンがたくさん残っていた時代は、川ミミズも今よりずっと多かったんじゃないでしょうか。今もいますが、数は意外と少なめです。それはもしかすると、ミミズが自由に川と陸地を行き来する上で要となる中間湿地のエコトーンが少なくなっているからなのではないでしょうか。 ここからは完全なる私の妄想ですが、ミミズの中には陸地と流れのある川底をマイグレーション(回遊的なもの)しているやつがいるのではないかと、そんなことを感じています。シーボルトミミズで季節移動は確認されていますが、その川と陸地を行き来するバージョンです。 そんなミミズにとって、川につながる湿地は重要な意味を持つのではないか・・。そんなことも世界湿地の日にぼんやりと思ったことであります。 段丘崖の斜面地にある湧水場には、小さなエコトーンが残されています。流れと湿地と土を繋ぐエコトーンです。 こいつはそんなところに暮らす川ミミズ(「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」って言うんですけどね・・)。 世界湿地の日に、知ってもらいたい湿地の生きものの話でした。〈若林〉□
【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
|