本日は午前中、地元埼玉南部で仕事をした後に、常磐道に車を走らせ、綱川孝俊さん(Riverline)と小圷好文さん(鴇愚版)の二人展「古より生す」を見にいってきました。

Riverlineの綱川さんは、以前にダイワのウェブコラム「リバーストーリー〜川と釣りと」で取材をさせていただいた、那珂川の魅力を発信するクラフトマン(その時の記事はこちらをご覧ください)。

今回は小圷さんの古道具と綱川さんの彫刻作品が一緒に展示されるスタイル。ブローチやさじ、小物入れ、ランディングネットなど、比較的小さなハンドクラフト作品に加え、綱川さんにとって初となる大型作品の展示とあって、とても楽しみにしていました。

会場は焼き物の街である茨城県・笠間市にある久野陶園内にあるギャラリー。里山の風景の中、雰囲気のある窯元の一室に作品がずらりと展示されていました。

綱川さんならではの繊細な小物作品。竹材や木材を用いたさじや、釣り人にはお馴染みのサケマスモチーフのブローチなどがたくさん並んでいました。

そして大型作品。

流木を用いた鱒頭。

素晴らしい作品でした。近年、那珂川にはなかなか戻ってくることの少なくなってしまった鼻曲がりの雄鮭を那珂川流域の流木で表現。樹皮を残した両顎の質感、竹を削った鋭い牙、頭部に埋め込まれた石英など、いつまでも見入ってしまいます。

喉を膨らました木彫りのクマ。荒々しく刻まれた刀跡に息吹を感じます。

私がとても惹かれたのはこちら。作品名「川貝鱮子」(かわがい・たなこ)。タナゴ類の産卵母貝として知られるマツカサガイを擬人化した作品です。頭に貝を被り、その上には放出されたグロキディウム幼生…でしょうか。これはよく見ると小さな魚のうきぶくろ。胴にも埋め込まれた貝の光沢が…。今回、この擬人シリーズがたくさんありました。いずれもかなりの個性派ぞろい。そして不思議な存在感と深い魅力が宿っていました。勝手な想像ですが、これからの綱川さんのひとつの代表的な作風になっていくのではないでしょうか。

古より生す。

正直、現物の凄みはスマホ写真では伝わりません。

ぜひ、この機会に綱川孝俊さんの作品に触れてみてください〈若林〉□。

展示会は明後日の11月17日(日曜日)まで。時間は11〜17時。

会場は久野陶園内ギャラリー(茨城県笠間市箱田1804-5)