大型連休のど真ん中。

ゴールデンウィークが「ゴールデン」なのは、単に休みが長いから・・というだけではなく、最高に気持ちいい季節だからなんですね・・なんてことを思った昼下がり。青い空、白い雲、深緑の木々。

事務所仕事を抜け出して、東京文京区の根津まで。

Gallary MARUHI(ギャラリー・マルヒ)で5月7日まで開催している、魚譜画家 長嶋祐成さんの個展「魚の肖像Ⅱ ひかりの海の魚たち」を観にいってきました。

水彩画具を用いて、とにかく魅力あふれる魚の絵を描かれる長嶋さん。

ホームページ「魚の譜面(うおのふ)」でその写真をお見かけして以来の大ファンなのですが、先日、ブックレット「魚の譜(UONOFU)」で初めて紙に印刷したイラストを拝見して、パソコン画面で見ていたのとは、また異なる引き込まれ方をしました。

「紙が好き」という個人的趣向もあるのですが、なによりもいくつもの色を繊細に重ねて表現される魚の質感が、印刷された紙を間近に見ることで、よりじっくりと楽しめるといいますか。

そして何より、切り取られているアングルが、ものすごく魚たちの(特にその色彩的な)魅力を表現しているんです。描かれた魚たちは、とても生き生きとリアルに描かれているように見えるのですが、よくよく見ると、それは「写真のまま」といったリアル描写ではなく、あくまでも印象や雰囲気を含めた全体像としてのリアル、なんですね。おそらくは人が魚を見た時に「きれいだな~」と思う色彩の意識の部分が表現されているんじゃないかと・・・。

 

ギャラリーは千駄木駅から徒歩9分(根津駅からは5分)。

晴れた休日の街歩きを楽しむ人々を少しうらやみつつ・・

質屋だった建物をリノベーションした雰囲気のある建物に靴を脱いで上がり、白い漆喰に囲まれた魚たちと対面してきました。

うわぉ・・・。

 

今回は、南の海で出会った魚たちということで、ビビッドな原色が目に飛びこんでくる・・と思えば、やはりよくよく顔を近づけてみると、とても繊細な塗り重ねによって質感というか魚の肌感が表現されています。

ひたすら食い入るように観る、見る、視る・・・。(ちょっと近寄って見すぎたことを後に反省)

改めて、そのよさを原画で確認しつつ、「魚の肖像Ⅱ」というタイトルがぴったりだなあと思いました。

肖像。

写実的なリアルを追求しつつ、同時に魅力的であることをも追求している、というか。

自然の魚って元々がとても魅力的なものなのですが、その魅力が雰囲気として際立って表現されている、というか。

たまらない質感です。

 

少しだけ長嶋さんとお話もできました。

やはり相当の魚好きであることが、描かれた魚を語る言葉に滲み出ていました。

 

絵の撮影もOKとのこと。

スマホの写真では原画の色彩は写せませんが、その前提で数点だけ。

グルクマ

ヌノサラシ

セナスジベラ

テンジクタチ

 

すっかり満たされました。

好きが満たされた感覚。

そして千駄木駅への道すがら。

街歩きを楽しむ人々をうらやむ気持ちは消え、駅近くの生パスタとビールで「肖像」の余韻を楽しみ、さらにオールフリーを買いこんで事務所へと戻り、ぐびりとやりつつ最近お気に入りのZee Avi / Bitter Heartなぞを流せば、仕事でもやっぱり今週はゴールデンなのだな・・・なんてことを思ったのでした。〈若林〉□