たゆまずに流れつづける川。逆光に照らされて光る水面とフライライン。まばゆい情景とともに、釣りが仲立ちした関係を確かめては懐かしむ。74歳が世に残した処女作は、人を少し立ち止まらせ、過去の出来事をひとつふたつ思い出させて、いまの自分をささやかに肯定してくれるような温かい読後感をもつ。(1993年 集英社 渡辺利雄訳 ※原書『A RIVER RUNS THROUGH IT』は1976年刊行)