「イワナ」という名前を知らなかったとして、どんな名をつけようか。そう考える時、浮かぶ名には自分と魚との関係が投影される。「イワナの手触りっておっぱいだよなぁ」と釣るたびに至福の表情を見せる彼が名づけたら「ヤマノチチ」か。個人の呼称は多くの人に認められ魚名となった。山の乳に一票……。(2000年 東京書籍)