先だって発売となった渓流釣りの本『RIVER-WALK Vol.2』の内容を少しずつご紹介させていただいております。

題して「RIVER-WALK Vol.2はこんな本」。

いよいよ巻末のご紹介です。

作家でエッセイストの村田久さんに、ご自身が40数年通い続ける岩手県遠野郷の川について、ひとつの節目とも言えるエッセイをご執筆いただきました。

私事ですが、村田久さんとの出会いのきっかけは、昨年のちょうど今頃に、山と渓谷社から発売となったヤマケイ文庫の『新編 底なし淵』でした。

川を釣り歩いて体験した、ちょっぴり怖くて不思議な話をまとめた短編集なのですが、お世話になっている編集者のはからいにより、なんとカバーに私の撮影したイワナの写真を採用していただいたのです。

水面に写りこんだ緑が内容ともマッチした不思議な雰囲気を醸し出しているような気がします。

そんなご縁がきっかけとなり、今回、エッセイをご寄稿いただくことができました。

大きく分けて、前半と後半の二部構成となっており、前半は遠野の川に通い始めたころのお話、後半は通い始めて40数年を経た現在のお話を書いていただいております。

前半は、遠野物語の地ならではの、少し不思議な空気の漂う物語。他の著作にも書かれている想い出等がいくつか重なっていたりして、そんな部分も楽しみのひとつ。

『イーハトーブ釣り倶楽部』や『定年釣り師』(ともに小学館)、そしてもちろん『新編 底なし淵』も、まだ読まれたことがない方は、合わせて読んでいただけるとうれしいです。

より深い遠野の川の魅力が浮かび上がってくるかと思います、そして村田さんならではのとても読みやすく物語の世界に迷い込んでしまうような文体を堪能できます。

後半は、遠野の川への思い、また、30年来通い続ける常宿の民宿「わらべ」について、そして盟友であった芦澤一洋さんとの川でのひととき・・。キラキラとした情景の描写は、まるで自分の過去のように、釣り人の心を温めてくれることでしょう。

じっくりと、ゆっくりと、情景を思いながら読み進めてほしい作品です。

皆さんは「自分の川」を持っていますか?

〈若林〉□