今日は夕方手前からポツポツと雨。

『ソルトウォーター』誌の入稿が一段落すると、ちょうどいい時間、つまりはツバメとコウモリの狭間のあたり。

というわけで、ウォーキングがてらちょっとだけ竿を振ってきたのですが、なぜか両足ともに真っ赤にみみず腫れができておりまして、風呂に浸かるのがコワい状況。

そこで今回はフィクショナルな詩?のようなテイストで、振り返ってみたいと思います。

 

〈藪を漕ぐ〉

藪を漕ぐ 藪を漕ぐ

背丈以上の藪を漕ぎ分ける

そこはいつもの辺境の一歩だけ先だ

雨も降っているからちょっとだけ

だが一度漕ぎはじめると止まらない

まるで川底を転がる石のよう

菜の花の実 そんなに尖るなよ

濡れたアシの葉で短パンがびちょびちょ

藪の中で覚えたての花を見つけてホッとする

藪の中の知らない花は怖い

きれいなのに怖い

 

藪を漕ぐ 藪を漕ぐ

何も見えない藪を漕ぐ

このまま泳げてしまうのではないか

深い藪に圧迫されていると

ふと 視界がひらく

やっと抜けた……

親しげな草原の緑が広がる

もう漕がなくてもいいんだ

だがよく見るとカナムグラ

カナムグラは痛いからいやなんだ

カナムグラは痛いからいやなんだ

たまらず藪の中に逃げ込んだ

 

藪を漕ぐ 藪を漕ぐ

背丈以上の藪を漕ぎ分ける

不思議ともう怖れはなくて

クロールのように泳いでみる

バタフライは無理だけど

背泳ぎだってできそうだ

藪の波間をたゆたっていたら

いつもの辺境に戻ってた

 

 

大切なルアーが壊れてる

藪の海を泳ぎながら

竿先でガチャガチャさせたから

大事な部分が折れてしまった

ごめん!と言って上流に向け遠投をすると

着水と同時にハクが飛び散り

よれよれと動きだすルアーを

ナマズがパスッと食いそこねたのだ

(※ハク=ボラの幼魚)

 

・・と、そんなわけで、素足にカナムグラは、なかなかハードな体験でした。

藪漕ぎは都市型河川の、人知れぬジャングルですね。〈若林〉□

 

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