今日は春の陽気が心地よい一日でした(これでマスクを取ることができれば…)。

7年間、編集をしていた『ソルトウォーター』誌が2月21日で休刊。その一週間後には20年弱お世話になった版元の地球丸が倒産と…。我がRIVER-WALK社も大きな基盤を失ってしまった今春。まったくドタバタとしてしまい、渓流釣りにも行けず、近所の川歩きもなかなかできず・・。

ふと思い立って川に行ってみることもあったのですが・・

おっ!と思う光景はカラスが何かを食べてる姿ぐらい。

なに食ってるんだろう・・。近寄ってみると、冬眠から起きたばかりのヒキガエル。

そしてこちらでもカラスが・・

ニゴイの内臓をついばんでおりました・・。

出会う風景が、お暗い(笑)。

ひとえに我が心情を表しているのかしら・・なんて思いつつ、でも一方で過去にもこの時期はニゴイがよく食われていることを思い出しました。

ヒキガエルとニゴイはこの時期のカラスたちのスペシャルフードなのかもしれません。

旬の味なのかもしれませんね。

 

にしても、曇り空の下のカラスのヒキガエルやニゴイの捕食の風景は、お暗いです。

なぜか?

ヒキガエルとニゴイが、なんというか、私を含める釣り人にとっては外道中の外道・・みたいな扱いということもひとつなのでしょう。スズキを釣っててニゴイを釣るとやっぱり少しがっかりしますし、ナマズを釣っててヒキガエルが釣れるとかなりがっかりします。

そしてもうひとつ。カラスが黒いからでしょう。

黒い=「暗い」が転じた色の名前という話があるように、真っ黒なカラスは、お暗い。

ちなみに赤い=「明るい」が転じた色の名前という話があるように、たとえばカラスが真っ赤だったらどうでしょう。変なテンションにはなりそうですが、お暗い気分にはなりそうにありません。

カラスが黄色だったら? カラスがゼフィルスのような光沢を放っていたら?

・・頭の中で想像すると、一瞬だけときめきますが、目の前のカラスはやっぱり黒いカラスです。

一方、真っ白なトリ・・といえば、こちら。

シラサギですね(これはコサギ)。

空を飛ぶシラサギに暗い印象はありません(こちらはダイサギ、かな)。

一方、こちらはシラサギとはまた一味違った印象を持っています。

アオサギです。

なんというか、最も大きなサギということもあるのですが、ちょっと恐竜っぽい雰囲気。

そして身体は灰色ですから、純白のシラサギとはやはり受ける印象が異なります。

ちなみに、アオサギって青くないのに、なんでアオサギと呼ぶのでしょう?

その薄ぼんやりとした疑問に答えてくれる一冊と出会いました。

じゃーん! 

『幻像のアオサギが飛ぶよ』(佐原雄二 花伝社)

「なぜアオサギは不気味になったのか?」と帯にあるように、西欧と日本とで、アオサギに抱く人間のイメージには違いがあることを指摘し、その理由を解き明かしていく一冊です。

いわくアオサギの「蒼」は、もともと白でも黒でもない中間色のことを指す言葉だったのだそう。

アオサギ=蒼鷺の「蒼」も、シラサギの「白」と対比されたネーミングだったのでしょう。

競走馬の「青毛」が青くないのも同じ・・とのこと(中間色というより真っ黒ですが)。

そしてこの本によりますと、アオサギは西欧にも分布するトリですが、西欧だと詩や小説などで取り扱われる際に「孤独」とか「孤高」のイメージはありますが、それはむしろ良い意味での孤高感と捉えられているようなんですね。

ところが日本でアオサギというと、もう少し、お暗いといいますか、寂しいとか、陰鬱なイメージがつきまとっているのだそう。

その理由として、まず決定的に違うのは日本にはシラサギが多く、西欧(イギリスやフランス)にはシラサギが少ないことが挙げられています。純白のシラサギと対比されるとどうしても暗いイメージがついてしまう・・という感じでしょうか。

ほかにも夜も行動することや、夜行性のゴイサギと混同されていることや、面白いのはアオサギのアオを「青」=「BLUE」と訳してしまったこと・・などを挙げてます。

英語の「BLUE」には、青の意味のほか、憂鬱とか悲観的とかいう意味もありますので、そのイメージがついてしまったのではないかと言うのです。

さらに田んぼにジッと立つ姿から古来日本では「穀霊」(穀物を守る神様)にされていたことや、それが仏教の広がりとともに「妖怪」に格下げされ、結果として陰鬱で暗いイメージがついてしまったとの考察もあります。

幼鳥の顔を見ると、妖怪と言われても仕方のない気もします。

いずれにしても、とても面白い一冊で、オススメです。

そして私、アオサギが川に来るトリの中では、かなり上位にくるぐらい好きです。

私的にはそんなに陰鬱なイメージはないんですよね。

頭髪のオジサン感も好きです。

哀愁・・そう、哀愁がありますよね!

ちなみにアオサギは英語で「HERON」。

ヘロンです。

ちなみに、山下達郎はこう歌ってます。

 

流れる時に抗い

命を燃やし続ける

全ての孤独な人よ

涙は言霊になる

 

明日を待っている

色鮮やかに

あのホライズン

貫いて夜明けが来る

 

飛びたてヘロン

金色の空へ

ゆるやかに舞い踊れ

風を追いながら

 

 

最高…。

タツローはトリ部か? トリ部に入らないか?

しばし私もアオサギに、ヘロンに寄っかかって頑張るぜ!

……なーんてことを思った、よき春の一日でした。〈若林〉□

 

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