冷たい雨の降っている埼玉県南部。

相変わらず年またぎの仕事も多く、ずるずるではありますが、本日で2019年は仕事納め。

お世話になった皆様、弊社刊行物をご購読いただけた皆様、お付き合いいただけた皆様、誠にありがとうございました。

また本年は、自分のオペレーション管理の甘さにより、進行の遅延および途中放棄という大変大きなご迷惑もおかけしてしまいました。ご関係者の皆様、誠に申し訳ございませんでした。

本年は春に、7年間編集担当をさせていただいておりました『月刊SALTWATER(ソルトウォーター)』(地球丸)が休刊となってしまいました。一方で『SEABASS Life(シーバスライフ)』(つり人社)の編集を担当させていただくことになりました。そして昨年に引き続き、日本自然保護協会の会報『自然保護』の特集ページの編集を担当させていただきました。

また、ダイワのシーバスブランド「モアザン」をまとめた一冊『GENE OF MORETHAN(ジーンオブモアザン)』(つり人社)、エッセイスト村田久さんの文庫本『イーハトーブ釣り倶楽部 』(山と渓谷社)、魚仕立て人・津本光弘さんの『魚食革命 津本式 究極の血抜き』(内外出版社※2020年1月20日発売)など、たくさんの本の編集を担当させていただきました。そのほか、いくつかの雑誌で記事の編集ライティングを請け負わせていただきました。

釣り具メーカーのダイワのウェブページ内コンテンツ「BE EARTH-FRIENDLY」では、『リバーウォーク・ストーリー 川と釣りと……』というコラム連載(こちらです)をさせていただくことになりました。弊社の渓流釣りの本『RIVER-WALK』にも繋がる、「釣るだけじゃない釣りの話」を展開するエッセイ風のレポートです。

そして夏には、自社より佐藤文紀さんの『考えるロックフィッシュゲーム』を刊行することができました。『ソルトウォーター』誌での連載に撮り下ろし記事を加えたハタやソイ、アイナメなど「ロックフィッシュ」という魚をルアーフィッシングで釣るためのノウハウが詰まった一冊です。

 

ここ数年、年末年始は『SALTWATER』の年末進行と、渓流釣りの本『RIVER-WALK』の編集追い込みの時期となっておりましたが、今年はふたつともありません。この2誌は、生きがいとも言える大きなものでしたので、とても残念です。

『RIVER-WALK』の出版は私にとってライフワーク的な仕事でもありますので、出版することが出来ない間も少しずつネタを仕込み、いつしかVol.4を作り上げたいと思います。

★★

ライフワークと言えば、今年も事務所近くの川は、よく釣り、よく歩きました。遠方への釣りにほとんど行けなかったぶん、近所の川にはとてもよく馴染めた気がします。この冬は、またひとつ新たな視点を得ることができました。

それはネズミです。

川にイノシシが出没して以来しばらく、イノシシの足跡を探すことを日課にしていたのですが、そこでネズミが何者かに食べられている跡を見つけました。ちょうど同じころ、モグラの塚でもなければ、獣が掘り返した跡でもない、巣穴のような穴に気づくようになりました。足跡を追って、下ばかり向いていたからです。そこでピンときました。これはきっとネズミの巣穴だろうと‥。

それまで、川では姿を見たイタチ、ネコ、タヌキ、足跡を確認しているアライグマの存在は身近に感じていたのですが、ネズミは意識の外でした。でも、よく見ると、結構あるんですね。ネズミらしき巣穴って。

ここ数日、一年前の12月26日に出会った黄色いイタチにまた会うことができないかと、イタチが出没した川辺を歩きました。

たとえイタチが出てこなくても、そこを歩けばイタチの気配を感じることができます。身近な自然に通い込むと、たとえ動物が出会えなくても、そこにいる動物の気配を感じて満足できるようになることを、イタチとの出会いを通して知りました。

飛び跳ねるように走り、ひょこっと立ち上がった可愛いイタチの姿が、その場所の風景に記憶として残っています。

 

今回、イタチに会うことはできませんでした。

でも昨日、イタチと出会った場所で、ネズミ(らしき)巣穴を見つけることができました。

その穴を見たとたん、視点がイタチからネズミへとシフトして、イタチは愛らしいキャラから一転、ガンバに出てくるノロイのような怖ろしいケモノとなり、ネズミの緊張感を感じることができました。

ネズミもイタチもそこにはいないのに。

ネズミの穴かどうかもわからないのに…。

川、海、森を歩き、物語を読もう。

 

新年も、なにとぞよろしくお願い申し上げます。〈若林〉□