今日は晴れ。穏やかで暖かな一日です。

本日も出勤前の川散歩。

イワツバメ、よし。

コイ、いない。

ニゴイ、いない。

マルタ、少し。

さて・・。

昨日、カメラをコイの尾ビレではたかれて倒されるという憂き目を見た水中撮影。今日はコイがほとんどいない。月齢なのか、増水後の日数なのか。タイミングのトリガーは定かではありませんが‥。いません。

ならば少し・・と、マルタウグイを狙って瀬にトプン。

あとは待ちます。ひたすら。待ちます・・。

産卵行動の水中撮影って、ざっくり3つに分けられると思うのです。

①自分が潜って観察しながら撮影。

②地撮り棒のようなものでそっと水中に差し入れて撮影。

③置きカメラして撮影。

それぞれに長所・短所がございますが、このところの私は③置きカメラ。

①は観察が最も楽しい撮影法ですが、散歩がてら人前でドライスーツを着込みだすわけにもいきませんし・・、②はおそらくコイやマルタの産卵ならば最も手軽に良い絵が撮れる撮影法だとは思います。産卵間近なタイミングならば棒に取り付けたカメラを差し入れてもさほど逃げませんので手軽です。

ですが、私は③置きカメラが結構好きです。なぜならば、ハマれば最も魚たちの自然のままの姿を撮影することができると考えているからです。

基本的に私の場合、作品としての写真が欲しいというよりも、魚たちがどんなことをしているのかを知りたい欲求が強いので、できるだけ魚が気にしていない状態を観察したいと考えています。

ですが、短所は少し時間を要することです。

まず川を歩いて、これぞ・・という魚を探します。

ポジションや行動から、彼らが現在、産卵行動のどのような段階にあるのかを探ります。

そしてここぞ・・という場所にカメラを仕掛けに行くわけですが、当然のことながら、魚たちは逃げてしまいます。

驚いた魚たちは、カメラをセットし終えて草陰などに隠れて待っていても、すぐには出てきてくれません。

そうですね、短くて20分は待ちます。

カメラをセットする時にどれほど魚を驚かしてしまうかによって、戻ってくる時間は異なります。また、その場所が魚たちにとって産卵に必要な場所でない場合は、いつまで待っても戻ってきません。

なので、どれだけ驚かさずに追いやって→カメラをそっとセットして→すぐ隠れる・・という流れを組めるかが肝心です。

20分。人にとってはまあまあな時間ではありますが、野生動物にとっては、とても短い時間だと、常々感じています。たとえそれが2時間だとしても。

さて。

本日はセットしてから1時間半ほど経った頃に、ようやくマルタウグイがカメラの周辺に戻ってきました。でもポツポツです。

セットの仕方が悪かった・・というよりも、マルタウグイが産卵モードに入っていなかったため、瀬に差しづらい状況にあったと感じています。つまり、撮影をする相手を間違えた、というわけです。もっと状況が切迫しているようならば、そこまでかからないかと思います。

まあしかたない。諦めようと、カメラを回収しようとしたその時です。スマホのモニターにニゴイが映ったのです(ちなみにWiFiでつないでモニターで水中を覗けるようにしています)。追星(口のぶつぶつ)がないからメス。もっとも映るだけならば珍しくはないのですが・・なんとカメラの前に定位しました。

ニゴイの産卵行動がサケマスに似ているという観察については、過去ブログ【ニゴイはやっぱサーモン】をご参照いただきたいのですが、サケマスとは異なり、産卵床をメスが掘るわけではないので、ピンポイントで産卵場所を予測するのは難しいのではないかと考えていました。

それがなんとレンズ前30㎝ほどの所に定位して、尻ビレあたりを砂礫底に沈ませてつけるようなそぶりをしているではありませんか! そしてなんと、その後方に・・

真っ黒な雄が登場(追星に注目を)! しかもデカい!!

これは私的に言えば、奇跡的な偶然。こんなことがあるのか・・。

メスは時折、スパスパッと小石を吸い吐きしたりします。

まったくのラッキーパンチですが、ニゴイの産卵行動を間近で観察&撮影できるぞ!と、手が震えるほどのドキドキをしていたのです。

ところが・・。

ここでWiFiの不具合・・。連動がストップしてしまいます。

ですが、動画モードで撮影は開始したままですから、水面上から観察を行いながら、ひたすらカメラが勝手に撮影していてくれていることを祈ります。

すると、ニゴイがトリガーになったのか、マルタウグイが一気に瀬に差しこんできました。ニゴイとカメラを取り囲み、そのまま50㎝ほど上流へ。そこでバシャバシャと産卵行動をはじめたのです。

過去の観察より、ニゴイもマルタも瀬で産卵をするけれども、マルタのほうが、より急流が好みとは知っていました。ニゴイのペアが定位した場所よりも50㎝でも上流側に行くと、そっちのほうが流れが強く、マルタ好みのようでした。

レンズは斜め下流に向けていますので、マルタの産卵は映りません。ですが、マルタよりもニゴイのほうが気になっておりますので・・。ニゴイに注目。

どうやら、2~3匹のスニーカー(ペアオスよりも小型のオス)が後ろについている模様。ですが、それをペアのオスは追い払おうともしていないようです。どうやら体長差がありすぎると、そんな追い払いすらしないのか?・・は定かではありませんが・・。ちなみにペアオスは53㎝ほど? メスは38㎝ほどでした。

しばらくすると、メスの動きが怪しくなってきて・・少し上流側へ移動・・レンズの真ん前あたりで身体をのけぞらせると・・ブルブルッと!!! 産卵です・・。

なんとレンズの真ん前で産卵。雄とスニーカーも突っ込んでいたようでレンズの前が魚影で真っ黒になっています。

下流から瀬に差してきて、どのぐらいだろう。30分ぐらいで産卵に至った気がします。その間、オスとメスは前回観察したような、ひそひそドリフトや、オスの追い越しの求愛行動?などは行っていないようでした。ペアオスは結構ひらすらどっしり構えていた感じ。

それにしてもすごい瞬間だった・・。

・・と、思ったらカメラのすぐ上流でマルタが産卵! そしてその勢いでカメラが倒されてしまいました。

ここで撮影終了。期せずしてものすごい瞬間が撮れてしまった・・。

いやー。すごかった。偶然とはいえ、いや、ほとんどいつも偶然は必要なのですが、それにしてもなんというラッキー。

ドキドキしながら再生を押すと・・。

ん?

え?

なにーーー!?

 

なんということか、WiFi切断と同時に動画もストップしていたのでした・・。

充電も切れてました・・。

そしてSDカードの容量もなくなってました・・。

原因を判定できず。

確実に分かっているのは、あの素晴らしい行動が目の前で繰り広げられたその時、カメラはすでに、息を止めていた、ということです・・。

ざんねん・・。

でも、いろいろなことがわかりました。

まず、ニゴイには好きな場所があり、そこではピンポイントで定位して産卵まで至るのだろうということ(実際、産卵したかどうかは、映っていなかったため不明。ですが、おそらくやっていたと思います)。

それはマルタよりもやはり少し下流であること。

マルタとニゴイが産卵を行うタイミングには何らかの関係性がありそうなこと(単純にカメラに慣れただけかもしれません)。

川の水量によって、適した産卵場はシフトすること。

まずもって底質は大切ですが、流速も意外と重要な気がします。そして流速は流量によって時間単位でも変化しますので、それによって産卵場所は上流下流へと50㎝だったり1mぐらいはシフトするような気がします。

知ったようなことを書きましたが、まだニゴイの産卵行動の観察は2回目。

それにしても・・なんて魅力的な魚なのでしょう。

ニゴイがまた少し、好きになりました。〈若林〉□

 

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