本日は雨。なかなかに寒い埼玉南部です。

粛々と事務所作業の最中ではございますが、少しだけ最近気になっていることについて。

それはニゴイの食性について。

ニゴイって、ルアーフィッシングをしている人なら当たり前に「フィッシュイーター」という認識があるかと思います。果敢にルアーにアタックしてきますよね。

でも産卵期のニゴイを水中で観察していると、底の砂利をほじくり返して食べる習性が目立ちます。

ユスリカの幼虫なども食べているだろうとは思うのですが、それ以上にピンとくるのは「エッグイーター」であるということ。卵を食べる魚である、ということです。

卵を食べる魚‥といえば、サケマスの産卵行動時にその下流側にウグイが卵を食べるために集まることは有名ですし、サケマスの未成熟魚も結構激しい卵食いをするようです。

それらはいずれも放卵時に流れ下った卵を、その下流側に定位しながら食べるスタイルでしょう。

このところの観察からも、コイやマルタウグイの後方で流下する卵を狙っていると思われるニゴイを確認しています(マルタウグイの産卵では実際にマルタウグイとともに、ニゴイも流下する卵を食べていました)。

マルタウグイはマルタウグイで、自らが産卵に加わった直後に下流側に回って卵食いしているような流れも感じられて、それはそれで興味深いのですが、本日はニゴイの話を。

オスのニゴイです。体色は黒っぽく、口の周りに白い点(追星)があるのが産卵期の特徴です。

観察していると、瀬の中で、1mほど上下流に離れた2つの点を中心に、行ったり来たりしていました。

産卵・放精の瞬間まで観察できた例からは、産卵間近なメスがいる場合、オスは場所に固執するというよりはメス自体に固執しているように見えます。メスは3m四方ぐらいのスペースを自由に泳ぎ回りますので、オスはその後について泳ぎながら、他のオスを追い払う行動を続けているんですね。

では、メスが近くにいない場合のオスのこのような場所への定位は、何を意味しているのでしょうか。

おそらく、そのひとつが卵食いなのではないかと思うのです。

しかも、流下する卵を食べるためではなく、砂利の間に産み落とされた卵を食べるためのスペースへの固執と言いますか・・。

スパスパ。

スパスパ。ビー玉ぐらいの小石を口の中に入れてもぐもぐさせてから吐き出す行動。

細かい砂や土?などはエラからも煙のように排出します。

時には結構深くまで口を突っ込んでいきます。

石を吐きだす瞬間。口の中には2秒ほど入れていることもあります。

思えばこの下付きの口は、こんな感じの摂餌に向いている口ですよね。

似たような行動を取るコイは、ブラックバスの巣の卵を好物としていますよね。

ところで、このオスのニゴイは、まだ産卵の最中なのでしょうか? それともすでに自身の産卵期は終えて、体力を回復するための荒食い期みたいな感じなのでしょうか。

食べているのはおそらくマルタウグイとニゴイの卵。もし前者であるならば、産卵適地(マルタウグイとニゴイの産卵場所は、マルタのほうが流速の速い所にはなるようですが、結構重なっているように思います)でメスが遡上あるいは流下してくるのを待っている間に卵を食べて栄養補給・・みたいな感じ?

そういやペアになっているメスも、よくこのような掘り返し行動をしていたな・・。

卵を食べながら卵を産むタイミングを待つ感じ?

いずれにしても、この時期のニゴイは卵から多くの栄養を採っているのではないか・・そんなことを思わせる観察でした。

んなこと言いながら、まったくの見当はずれかもしれません。

いやー、とても気になる魚です。〈若林〉□

 

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