本日は埼玉南部にて事務作業。午後3時の太陽光照射もなんとか乗り越え、急激に事務所が冷えはじめております。

さて。

本日は虫に対する苦手意識について少し考えてみたことを書いてみたいと思います。

「きっとみんなこうだよね?」というような主語をデカくした憶測もたくさん含まれる極めて私的な考察ですので、それなりにお読みになってください。

まず・・

みなさんミミズって気持ち悪いですよね?

いや・・このところせっせと川でミミズを掘ってはブログに写真をアップしている私が言うのもなんですが、おそらく多くの人はミミズのことを気持ち悪い生き物だと思っていると思います。

何を隠しましょう私もミミズは苦手です。5回に3回ぐらいは触りながら気持ち悪いなぁ・・とも思っています。

そして夜の二面護岸河川でミミズを探していて出会う他の生き物たちも、まあまあ気持ちが悪いんです。例をあげますとムカデ、ヤスデ、ナメクジ、ヒル、ハサミムシ、ゲジゲジ、ドブネズミ‥と言ったところ。いかがでしょうか? ドブネズミは虫ではありませんが。そしてミミズ。いわゆる「陰キャ」が勢ぞろい。

彼らを見ていてオヤ?と思ったんです。

なぜ、そろいもそろって気持ちの悪いやつばかりなんだろうと‥。なぜ気持ち悪いと思うのだろう?

・・ところで。

一般的に多くの人が「気持ち悪い」と思う虫にはある種の傾向がある気がしています。

①暗い所にいて動きが素早い

これはおそらく人間の防御本能が働いているのではないかと思います。暗がりからサササ‥と出てきたと思ったらいきなりバタバタと飛んで向かってくるゴキブリなど、この典型ですよね。ムカデやゲジゲジなんかもこのタイプ。夜に出会うフトミミズ類もいきなりものすごい速さで動き回ります。そしてヤマビル‥。つまり相手を判断する以前に体がのけぞってしまうような、そんな本能的な忌避行動があるような気がします。「怖い」という思いの延長で「気持ち悪い」となってしまうのではないでしょうか。ちなみに虫ではありませんがコウモリなどもこのタイプ。底知れぬ怖れによる「気持ち悪さ」ですね。

②人間にとって不衛生だと思われている

ゴキブリにハエ、ウジ虫などがそうでしょう。吸血する蚊やアブ、ブヨ、刺してくるハチや建材を食べてしまうシロアリなどは嫌われてはいるでしょうが「気持ち悪い」とは思われていないような気がします。虫ではありませんがドブネズミやドバトなどはこのような理由で「気持ち悪い」と思われているケースがあるような気がします。

③じめじめと湿った場所に棲んでいる

ムカデやゲジゲジ、ナメクジなどミミズを探していて出会う多くの虫がこれにあたりますが、そのほかカマドウマなんかもこれでしょうか。ただカマドウマの場合、「便所コオロギ」などと呼ばれ不衛生のレッテルが張られていたり、いきなりものすごいジャンプをするという意味では動きが素早くもありますから、やっぱり気持ち悪いと思われてしまうのでしょうね‥。

④擬人化された良き物語を得られていない

ここが虫の気持ち悪さを克服するための大きなカギとなってくる部分です。「擬人化された物語」とは、たとえば絵本のようなものです。虫に比べると、爬虫類や両生類、鳥、哺乳類は「気持ち悪い」と思われることが少ないと思いませんか? それはひとえに人間にある程度似ているからだと思っています。目があって鼻があって口があり、そして4本の手足がある。つまり物語において擬人化しやすいのです。たいていの動物は可愛らしくデフォルメされて絵本など「擬人化された物語」に登場してきます。絵本でなくても、たとえば標識だったり、ゆるキャラだったり、特撮のカッコいい悪役だったりと、私たちの目に触れる機会があります。そこで親近感を覚えるような擬人化された物語や絵に触れることで、だいぶ気持ち悪さは解消されてしまうんです。その点、ミミズやナメクジ、ヘビなどは擬人化するのにちょっと無理が生じてしまうのかもしれません。

昆虫は脚が6本でやや擬人化はしにくいものですが、それでも多くの物語が用意されています。「はらぺこあおむし」のおかげで毛虫にそこまでの気持ち悪さを抱かなくなった人も多いのではないでしょうか。かわいい虫キャラ、たくさんいますよね。擬人化のしにくさは、脚が4本から離れていくにつれて難しくなるような気がします。

⑤悪しき物語を(虫が)背負わされている

虫=気持ち悪いもの‥みたいな悪い印象をただただ抱いている人はとても多くいる気がします。いや、そうなってしまうにはきっと実際にしろ疑似にしろ負の体験があったのかもしれません。私もかつて、つのだじろうの「虫」を見て‥。

切実な場合は仕方ないとして、単純に例えば親が抱いていた毛嫌いを押し付けられてしまったような人は、少し気の毒なような気もします。

また、これは成長段階に応じて思考が変化していくことにもよるのかもしれませんが、子どもの頃に平気だった虫が大きくなるにつれてダメになっていくことって多々あると思います。それは負の体験が蓄積されていくこと(ちなみに私は子供の頃にアゲハチョウを捕まえようとして止まっているところをバチッと両手で挟んだらそのままつぶしてしまった経験から、いまでもアゲハチョウはだいぶ苦手です‥)もひとつかもしれませんが、思考の複雑化によって「気持ち悪さ」に気づいてしまうということも多いような気がします。より悪い方向への想像力が働くようになる‥とも言えるかもしれません。

たとえば虫の脚がたくさんあるのを見てなにか別の物と結び付けてしまうとか、「ミミズが耳や鼻の穴から入り込んできたらどうしよう」とか、自分の部屋のカーペットの下にゴキブリが大量に張り付いていたらどうしようとか‥。寝ている間にムカデが体中を這って回っているかもしれないとか‥。

⑥単純に見慣れていない

これは絵本などの物語に関わらず、たとえばテレビ番組とか写真とか図鑑でもそうですが、見慣れているかどうかは大きいのかもしれません。図鑑は見る人を選んでしまうので、テレビ番組などで見る機会が多いか少ないか、学校の授業で触れる機会が多いか少ないかなどは効いているのかもしれません。数年前にジャポニカ学習帳の表紙から虫が消えましたよね。この是非については、いろいろな要素を含んでいますので一概には言えませんが、子どもたちの見慣れなさは加速しているのかもしれません。(※ジャポニカ学習帳の虫の表紙が復活するようです。2020年8月29日に報じられておりました)

⑦食べ慣れていない

たとえばサザエやアワビはOKでナメクジはNGという気持ちは、単純に食べ慣れているかどうかも大きいのではないでしょうか。見た目が気持ち悪いのに食べ慣れているから気持ち悪く感じない、または抑えられていることは結構あると思います。ヒゲナガカワトビケラの幼虫など、とても見た目はアレなのですが「ザザムシ」といって美味しく食べる地域もあり、きっと気持ち悪いなんて思いませんよね。「世界のゲテモノ食い」なんて番組を観ると「気持ち悪さ」という感情は生まれた後から文化や習慣、教育に応じて培われていくのだと強く感じてしまいます。(※こちらとても重要なことと思い、追加しました)

 

・・と、ここまでつらつらと勝手な考察を並べてみましたが、ここで本題の「虫が気持ち悪い」を克服することはできるのか?について。先に申しておきますと、なにも無理に克服する必要なないのではないか?とも言えます。ここでは虫に興味があって近づきたいのに気持ち悪くて‥とお悩みの方にだけ、もう少し続けたいと思います(いるのか?そんな人‥)。

まず①と③と⑥については、ずばり「見慣れる」ことが大事なのではないかと思います。そして⑦については「食べ慣れる」こと。こう言ってしまうと元も子もないのですが、ある程度は事実のような気がします。私もミミズを3日も掘らないでいると、正直気持ち悪さが募ります。でも毎日掘っていると、気持ち悪さはフッとどこかに消えてしまっているのです。参考になりませんね‥。

ショック療法(?)は返って症状を悪化させることもありますので、これはさておき・・。

⑤は何気に最も多く、そして直接的な対処法はあまりないような気がしています。②は⑤に含まれますが、まだ突破口はある気がします。そして④と⑤は表裏一体。

やはり最も優れた対処法は擬人化された絵本を読むことではないでしょうか。

擬人化されていなくても、少しでも身近に感じられる物語を有している絵本。

たとえば「くものもいち」という絵本があるのですが、これなどを読むと、きっと少しだけクモが苦手ではなくなるのではないかな‥と思います。女の子が「もいち」と名付けたクモ(ハエトリグモ?)を気に掛けることで、少しだけクモが怖くなくなったという話です。

「もいち」のように名前を付けて親近感を覚えるというのもひとつの方法ですよね。我が家では水場などによく出てくるアダンソンハエトリを「アダンソン」「アンダーソン」などと呼んで大事にしているのですが「ハエトリグモは小バエやダニを食べてくれるからね」というちょっとした科学豆知識とともに家族にすりこまれ、いまではまるで気にならないどころか一瞬いたいた‥と注目を浴びるほどの存在になってます。

②については実際に不衛生であるならば仕方ない部分もありますが、たとえばコナラの樹液に集まっているゴキブリなんかは意外とカッコよく見えるものなんですよね(‥と思って「樹液」「ゴキブリ」で画像検索してみましたら、思いもかけず気持ちが悪くなりました‥。最近、あまり見慣れていないからかな‥)。

 

で‥だいぶ長文になった割に、自分が思っていたほど納得感を得られる文章にもなっていないのですが、ここで急ぎ本題に入ります。

ミミズについて。

私自身の内なる発見と言いますか、なるほどな‥と思ったことがありますのでそれを少し。

ミミズは実は結構苦手なんです。

まあ仕方ないですよね。たいていの人は苦手だと思うんです。私を含め、田畑などやっているような人でもない限り(つまり見慣れていないと言う意味で)、上の①③④⑤に当てはまる生き物ですから(⑦ももちろん)。

ですが、流れる川の砂利の底から出てきたミミズは正直、気持ち悪く感じなかったんです。

出会いが日中だったということもありますが、グネングネンと動き回ってはおりました。でも「川の流れの中にいた」という点で、気持ち悪く感じなかったんです。

ところが川底を掘っていてもなかなか見つけられない時、どうしても川底よりミミズがいそうな陸地側に掘り進んでいくわけです。そこで土の中から出てきたミミズには、少し気持ち悪さを感じてしまっていました。一方、清らかな湧水やそこに生えているコケの中に潜むミミズを見ると「美しい」とまで感じるようになりました。

おそらく私の場合「大好きな川の流れに棲む一員である」という認識が出来あがり、大好きなものとのヒモ付けがなされたことで、後天的に気持ち悪さが解消されたのではないかと思うのです。自分の中で認めることができたような感覚?

参考になりませんね‥。

 

まとめます

「虫が気持ち悪い」を治すには‥

・見慣れる

・虫が擬人化された物語をたくさん読む

・親しみを覚える科学的な豆知識を蓄える

・好きなものとヒモ付けしてみる

 

どーです! この川のミミズの美しさ。〈若林〉□

(※2020年8月29日に一部改訂)

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