本日は晴れ。まずまず暖かな、小春日和‥とでも言ってもよいような一日です。 そしてクリスマスですね。メリークリスマス! ・・なんて言いながら、アップするのは、変わらず川ミミズの観察です。 生きものには人間の暦など無関係ですから‥。 本日も、三面護岸の側溝を湧水が流れる小宇宙へとやってきました。 水深は10㎝ほど。上流から流れてくる小石や砂、土が何らかのきっかけでそこに溜まり、その土壌に川ミミズなどの生きものが暮らし始める‥というわけです。 都市近郊河川や、三面護岸の通称「ガタ」や、ここ湧水が流れる三面護岸の側溝など、いわゆる自然度の低い水辺で観察を続けておりますと、生きものの生き死にや生活って、案外と偶然性が高いのではないか‥? そんな気にさせられます。 たとえばこの場所。1㎝ほどの土が溜まり、その上に小石が散らばっています。その上には10㎝ほどの薄くゆるい湧水由来の流れがあるわけですが‥。川ミミズの多くは、この小石と土との間の層に棲んでいます。 たとえば土がなく完全に水底のコンクリートが露出していたら(そういう所も多々あります)、そこにはカワニナなど僅かな貝類はおりますが、川ミミズはおりません。流されてしまいますので。 ところがわずか1㎝でも、ご覧のように土がたまり、その上に小石が散らばるだけで、川ミミズたちの立派な棲家となります。 おそらく・・ですが「世界」を作るきっかけは、ひとつのこんな石なのではないでしょうか。 右から左へと湧水は流れています。石はこぶし大。アスファルトの欠片ですね。この石がここにコロンと落ちることで、流れに対する石の前後には、流れの「緩み」ができます。この流れの「緩み」こそが「世界」の始まりです。流れが緩むと、上流から流されてきた小石や土や砂が、そこで止まり、溜まっていきます。さらに上流から流れてきた植物の根や落ち葉も小石に引っかかり溜まります。溜まるとさらに流れの「緩み」は遅く、そして広がります。するとさらに水が物を運ぶ力が弱まり…と、少しずつ少しずつ、そこには「世界」が形成されていくのです。 はじまりは1個の小石です。 小石がそこに転がらなければ「世界」は生まれない。 そういうことが、自然界には多々あるんだろうなー‥なんてことを思います。 小石の場所を水中で横から見たところ。落ち葉などがたまり、石の下流側には砂や土が溜まっているのもわかります。そして、ここが川ミミズたちの「世界」となります。 こんな場所の小石を少し取り除くと‥ おりました。 昨日、大量に見つけたフトミミズ科の「マッチョ虹色水生ミミズ」とは異なり、もう少し小さなツリミミズ科の「オレハチ(オレンジハチマキ水生ミミズ)」だと思われます。 「マッチョ~」がたくさん棲んでいる所との差があまりわからないのですが、こちらのほうが砂が若干多いイメージ? それぐらいです。でもたくさんいるミミズの種類が変わるのは面白いです。ちなみに「オレハチ」も、「マッチョ」と同じく川底でよく見つけられるミミズです。私の中では、「マッチョ」と「オレハチ」このふたつが、川ミミズの代表的なやつら、となっています。 ここにいた「オレハチ」は全長5~7㎝を中心にその前後。 カワニナとのツーショット。これも「オレハチ」です。 こんな感じ。ちなみに一番長いのは小型の「マッチョ」です。そして3匹いる小さめのものが「オレハチ」です。右上のやつは冠帯(ハチマキ)が見えるかと思います。オレンジ色のハチマキを持つから「オレハチ」というわけです。 あと注目してほしいのは左下です。 なんと「オレハチ」よりもさらに小型のツリミミズ科と思わしき白いミミズがいました。全長1.5㎝ほど。 しかもこのミミズ、冠帯があるようなのです。つまり、この状態で成体(オトナ)というわけです。 「オレハチ」と比べてこのサイズ感。 そして体色のクリア感‥。 こうなってくると、昨日、小さなやつから大きなやつまでいると言っていたのも、よくよく見なければ同じ種類なのかどうかすら怪しいという・・。 だってそもそも「マッチョ」も「オレハチ」も標準和名すらわかっておらず、このミミズが何てミミズなのかもわかっていない状況ですから‥(図鑑を見てもわからず)。 ナゾは深まるばかりなのです。 さて。今日は新たな出会いもありました。 こちらです。 わかりますでしょうか? 蝉のような・・。おそらくはシオカラトンボのヤゴです。 寄生獣のように口がパカッと縦に裂け、そこから折りたたまれている下アゴを使ってカメレオンのように捕まえると‥。 こいつも1㎝ほどの土の中に潜っておりました。 かと思えば全長5mmほどのヤゴも。 細くて長い川ミミズも‥。 本当に謎が多くて、わからないことだらけ。 人工的な、小さな小さな「世界」でも、掘ってみると底はどこまでも深いのです。〈若林〉□
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