今日は晴れ。週末の低気圧通過後の吹き返しがなかなか収まらず、肌寒い午前中でした。

ガタが溢れるぐらいの雨でしたから、渇水気味の川には悪くないだろうと。これで季節が一段階進むだろうと思っていましたが・・

ログ・サーモンことマルタウグイがついに今年も姿を現しました。

まだ淵に溜まっていて、婚姻色はほとんど目立たない状態。水位の低いなか、今年はどんな産卵風景を見せてくれるのでしょうか。

そしてイワツバメが巣作りを初めていました。

飛来は観察していましたが、巣作りを見るのは今春初です。

昨年作った巣を補修して使うようです。

手前は週末、カルガモの首が挟まっていた護岸。カルガモはいなくなってました。ニゴイのメスによる産卵床作り‥と思わしき行動を今日も観ることができました。

ニゴイの産卵行動はサケ科魚類のそれととても良く似ていて、比較しながら観察を楽しむことができるのですが、昨年までは「大きな違いはメスが産卵床を掘らないことだ」という認識がありました。

ですが、今年はもしかしたら、それが覆されるかもしれません。ニゴイのメスは、産卵適地の底質を掃除することから始めるのかもしれません。口でスパスパと…。

まだなんとも言えませんが、今年の観察の一つのテーマにしたいと思います。

 

さて。そんな春めいたこの頃ですが、我が事務所で飼っている川ミミズの飼育ケース、通称「ミミズテラリウム」にもいろいろな変化が訪れています。

こちらは今朝のミミズテラリウムの様子。左上が卵胞から孵化した幼体。真中にいるデカいのは、同じ種類ではないか?と考えている親ミミズです。こいつが卵胞を生み出すところを観察できれば・・と2匹だけ飼っているのです。

ミミズテラリウムでは、このところ、さまざまなことが起きています。まず、左上の幼体の5分の1ほどの極小ミミズが湧いています。小さなヒルも湧いています。カワニナの幼体も湧いています‥。そしてこちらは週末の出来事。

2匹いたカワゲラのうち1匹が、羽化しておりました。クロカワゲラ? よくわかっていませんが、触覚を入れないで1.5㎝ほど。

土曜日の出来事ですが、外は大荒れ。逃がしにいくわけにもいかず、別ケースに隔離していたのですが・・。

夜になって雨が上がったタイミングで、元の湧き水水路に戻しにいくことに・・。

 

そして無事に元々の場所に戻せたと安心し、ふと目を落としたその時でした・・。

 

暗闇に輝く、一点の蛍光。

子どもの頃にプラモに付けていた麦球よりもさらに小さな、光ファイバーの切れ端から漏れるぐらいの僅かな明かりですが、見逃しませんでした。

ゲンジボタルの上陸です。

まさか今日、見ることができるとは‥。

ゲンジボタルの幼虫がこの水路にいることは、以前のブログ(【アメノムシ】)にも書きました。

ですが私が今日ここで、この蛍光を観察できることについては、なんだかとても思うところがありまして・・。少し感動しました。

思えば昨年の5月にニゴイの産卵床の卵を観察しようと川底の石をひっくり返したところ、虹色に輝くミミズを見つけ、それを追い求めるうちに川だけでなく湧き水場も川ミミズの生息場であることを知り、河岸段丘と川の接点近くを探る中でこの水路と出会い、そこで偶然、川ミミズの卵を見つけたことから、ここに生きる他の生きものに興味を抱いているうちに見慣れないイモムシを見つけ、それがゲンジボタルの幼虫であることを初めて知り、蛹になるために春に上陸するタイミングがあると知り、でも2週間ほど前の大雨で流されてしまったと思っていたのですが・・。

今日、この大雨の直後というタイミングでカワゲラを真夜中に放しに行こうと思いたったことで、偶然、ホタル幼虫のの上陸を観察することができたのです。

やはりホタルは「アメノムシ」ですね。

側溝の三面護岸の高さは30㎝ほど。自然のエコトーンならばそのまますぐに土に潜っていけるのでしょうが、結構、難儀している様子。

しかも濡れていた側溝が乾いてきていましたから、途中でどうするか迷っていたのだと思います。

ナメクジや・・

ヒル。そして・・

「マッチョ虹色系」の川ミミズもおりました。

まるで赤い要素のない体色。ねずみ色+青+緑といった感じ。

これも私の川ミミズ観察の大きなテーマです。コケに棲むやつは緑色したのが多いんです。シーボルトミミズがなぜ紫色なのか?に通じる何かがあるような気もしています。

 

そしてしばらく観察して、迷ったあげく、もう一度事務所へと戻り、カメラを持って戻ってきました。その間、30分ほど。

戻ってみると、ホタルの幼虫は水中に戻っていました。

側溝が乾いていたためでしょうか。もしかしたら私がライトで照らしてしまったことも関係しているかもしれません。

うまく撮影できませんでしたが、これは移動の様子がわかる一枚。

幼虫はお尻にある2つの点が光るようなのですが、それが光っている長さは5秒ぐらい。しばらく休んでまた5秒・・といった具合です。ずっと光っているわけではなく、ライトを当ててしまうとしばらく光るのをやめてしまいます。マグマのように写っているのは、ホタルをできるだけ驚かせないようにと赤色ライトに替えたのですが、それが漏れていて写り込んでしまったためです。

ホタルは水面でお尻だけだして、それが光っているようでした。

まずもって暗がりの中なのでピントを適当にするしかなく、なかなか合いません。

もっともちゃんと撮れたのでこんな具合。

意外にも動きまわっていますし、ライトを当てると驚かせてしまうので、難しいですね。

写真はともかく、十分に楽しむことができました。

それにしても・・いったい何のために光るのでしょう?

春のホタルは、どこまでも細やかで密やかなものでした。〈若林〉□

 

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※当ブログに「光を当てないでください」とのコメントをいただきました。

照明やライトが幼虫の行動に影響を与えるのだそうです。赤色のほうが白色よりは影響は少ないそうです。関連する論文を見つけましたので、知りたい方はこちらをどうぞ。

今回、観察した場所は街灯のある場所で、ホタルの幼虫がいたのは、その街灯の当たらない蓋の付いた側溝の入口でした。