今日は良い天気。

ログサーモンやコイの産卵行動も気になりましたが、仕事が立て込んでいることもあり、川観察は断念。

それでも私には、やらねばならぬことがありまして‥。

飼育している川ミミズの水替えです‥。

湧き水場にくみにやってきました。

おそらくシオカラトンボのヤゴ。だいぶ羽が伸びてきました。

「トランスルーセント川ミミズ」を発見! …が、今日のところはグッと我慢して、水と餌の葉っぱ&コケを少々のみにします。

飼育ケースはこんな感じ。こいつら、本当に面白いもので、砂の中に潜っていても、場を把握しているんですよね。私がミズゴケのかたまりをポンと入れて1時間ほどすると、そこがどうやら居心地の良い場所のようで、大2匹のほか小5~6匹に、見づらいのですが中央には水生昆虫のヒゲナガハナノミ?幼虫もひさびさに姿を現しました。結局、砂の中に潜っていても、彼らは全体を把握しているってことです(もしくは見ていない所ではめちゃくちゃ動き回っているか‥)。すごいですよね‥。

さて。

本日のお題はこちら。

「川ミミズはなぜ、川の中で光るのか?」

私にとって川ミミズとの出会いはちょうど1年ほど前(2020年5月です)。

ニゴイの巣を探っていたところ、ギラギラに輝くミミズが川底からにゅるっと出てきたのがきっかけ。

「マッチョ虹色水生ミミズ」と名付けたそいつは、こんなやつでした。

川底にいたという事実もさることながら、私を驚かせたのは、あまりにもギラギラと輝いていた虹色です。この時のミミズがこんなにも輝いていなければ、私がその後、1年もの間、川ミミズを探ることもなかったでしょう‥。

そんな川ミミズの虹色ですが、おそらくこれは構造色なんだと思います(※ここから先は、多分に妄想を含みます)。

構造色というのは、例を挙げるとアワビやホログラム、CDの表面、クジャクやカワセミの羽など、表面の構造により、射し込む光が反射する際に干渉しあうことによって発する色といったところでしょうか。

ウィキペディアには次のように書かれています。

「光の波長あるいはそれ以上の微細構造による、分光に由来する発色現象を指す」。

光りが分かれることで虹が生まれるように(たとえが間違っているかも‥)、反射する際に別れた光が互いに干渉しあうことによって、様々な色が目に見えるようになることがあるようです。

たとえばルアーのホログラムはこちら。下の2列のうろこ状模様に見える黄色やピンクやブルーが構造色です。左の赤は塗り色です。光の加減では上の方の列にあるような銀色に輝くのみの場合もあります。

カモの翼鏡も構造色。これはカルガモですが、光の当たる加減によっては、今、青紫に見えている部分がメタリックグリーンに見えたりもします。

こちらはシャボン玉。表面の虹色を観たことがある人は多いと思います。これも構造色です。

そしてこちらは水たまりの上に流された油。これも構造色だそうです。

構造色にはいくつかのタイプがあるそうなのですが、シャボン玉と水の上の油は、そのなかで最もシンプルなタイプ。

「薄い透明な膜」による発色なのだそうです。

そして川ミミズの虹色も、この「薄い透明な膜」による構造色なのではないかと思っています。

光が射し込むと、膜の表面で反射する光と、透明な膜を透過してその下で反射する光が干渉しあって、構造色として虹色に発色する…のだそうです。上はちなみにミミズの表皮を描いた図です。

つまり、逆に考えますと、特にびかびかと虹色に輝く「マッチョ虹色水生ミミズ」は、ミミズの中でも、構造色を発しやすい構造をしているのではないか?と思うわけです。

構造色を発しやすい構造とは・・ズバリ、薄く透明な表皮です。

これは別のミミズですが、ほとんど輝きません。輝きの元となる太陽光が乏しいせいもありますが、それ以上に表皮が透明ではないか、もしくは薄くないかのどちらかなのではないかと思っています。

かと思えば同じミミズがちょっと流れに当たると、こんなふうに輝きだすんですね。これも構造色だと思います。

この場合、流れに当たることで流されてはならないと体を踏ん張るのですが、その踏ん張りによって表皮がピンと張り、結果として薄膜化しているのではないでしょうか。

実際のところ「マッチョ虹色水生ミミズ」にも輝きやすい条件があります。

それは・・

①流れが当たっているところ

②太陽光が射し込んでいるところ

そして③身が健康的にマッチョにムチムチと張っていること

です。

マッチョ虹色。

 

さらに、構造色の輝きは、差しこむ光の角度によって色が変わります。

流れのある川の水面は波立っていますので、光の射し込み方がランダムに瞬時に変化するんです。

なのでそのランダムな光を受けたミミズはギラギラ、メラメラと揺らめくような変化する構造色を発するというわけです。

 

そしてもうひとつ‥

川ミミズは渓流の沢ごとに異なる色を持つイワナのように、その場所その場所でかなり色味には違いがあるのです。これは構造色ではなく、地色として。

たとえば花崗岩が崩れた砂の川ではこんな色。

コケに棲んでいるやつはグリーン系。

落ち葉がたまる湧き水場。美しい川ミミズでした‥。

 

鉱物を探す趣味はありませんが・・

構造色+地色+周囲環境の反射光によって川ミミズの体色は多種多様に変化します。

これまでのなかで最高に美しかったのがこちら(これもおそらくは「マッチョ虹色水生ミミズ」です)。クリアな湧水場のリシアの中に棲んでいた薄いヒスイのような川ミミズ。

晴れた日に今年も会いに行こう。

そしてさらなる理想の色を持つ川ミミズと出会いたいのです!〈若林〉□

 

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★

 

※ここまで読んでいただきありがとうございました。読者の方から、筋状の光り方から「薄膜構造」というよりも「回析格子」によるものではないか?というご意見をいただきました。正直、勉強不足にて、理解が追いついていないので、もう少しだけ知識を蓄えて再度のこの謎に迫りたいと思います。