今日は晴れ。昨日、本日と6月上旬の暖かさ。黄砂が飛び交う春の晴天。

サクラの花びら舞う流れ。ヒドリガモはまだいます。

コサギとコガモ。

ミドリガメの甲羅干し。

今年初めて、この川でオナガガモを観ました。

そして水中では‥。

今年もニゴイの産卵が始まっていました。

美しきダンス。

ニゴイの産卵行動はとても美しい。

サケ・マスの産卵行動もいいもので、ニゴイの産卵行動はサケ・マスの産卵行動にとても良く似ているのですが、メスが川底を掘り起こさないといった違いがあります。

サケ・マスの仲間はメスが川底を掘り起こして掃除しながら卵が入り込む隙間のある窪地を作り、それが産卵床となりますが、ニゴイの場合はサケ・マスよりも、もう少し広い範囲を産卵する場所として意識しているため、ペアの行動範囲もサケ・マスに比べて広くなります。

ニゴイの産卵行動については、昨春に熱心に観察をしました。

基本的な行動様式については、こちら過去ブログ【ニゴイはやっぱサーモン】をご参照いただくとして、私が中でも好きな行動は「ひそひそパラレルドリフト」と(私が)呼んでいる行動です。

オスとメスが寄り添いながら流下する様は、慈しみのようなものすら感じられるほどです。サケ・マスの産卵行動はドキドキしますが、ニゴイの場合はもう少し安らかな優しい気持ちになれるので不思議です。

今年も観ることができました。

左側に出ている色の薄いほうがオス、色の濃いほうがメスとなります。

色についてもいろいろと面白いことがあるのですが、それはまた改めて‥。

自分の中でうれしかったことは、産卵のタイミングをある程度読めたことです。

ニゴイは同じペアが複数回、同じ場所で産卵・放精を行うことがあります。昨年は30分の間に3回の産卵・放精を確認していました。

産卵の瞬間は、そこに至るまでの行動を観ていると、おおよその予測が立ちます。

写真のペアはまず一度、産卵・放精に至りました。

それから2分ほど、オス・メスともに川底でジッとしているのですが、その後、再び産卵前のダンスが始まります。これは次また来るな‥。そんなことを思い、産卵の瞬間をスチールで押さえようと待ちました。

産卵の瞬間、メスは体を激しく震わせた最後に絞り出すように顔を水面上に上げるのです。その瞬間を連射で狙いました。

タイミングがきました。メスが川底の様子を口で確認した直後、オス・メスともに激しく身を震わせて‥。

産卵・放精の瞬間です。左側がメス。右側の白っぽいのがオスになります。

このオスは産卵の瞬間、ほとんど真っ白になりました。

そして最後にメスが首を上げようとしたその時‥。

‥なんとカードの容量切れ‥。痛恨のミスです。

あまりの自分のふがいなさに、次のダンスを待っていると、また始まりました。

見ていると、ご婦人がやってきたのでニゴイの産卵行動について一から三ぐらいまで説明し、次に釣りをしていた小学生が二人やってきたので、のんびり30分ほどかけてニゴイの産卵について一から六ぐらいまでを教えていると、これまでに観たことがなかったシーンを目撃することができました。

なんと、オス・メスともに川底にジッとしたまま、動かなくなってしまったのです。

人間を警戒したのだとしたら、深みへと逃げるはずですので、そうではなく、おそらく産卵行動自体を一時、中断したのだと思います。二匹とも微動だにせず。そしてオスの色が落ち着き、メスと見分けがつかない色になったところで、小学生たちに別れを告げ、仕事へと向かいました。

ニゴイの産卵行動は本当に美しく、そしてとても興味深いです。

そうそう今日みたいなよいタイミングに出会えることはありませんが、できたら産卵時のメスの顔上げを撮影してみたいと思っています。〈若林〉□

 

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