今日もとても暑い埼玉南部の一日でした。そして埼玉県では初の新型コロナウイルスの陽性者が1000人超えとなった一日です。

事務所作業のかたわら、息抜きに最近観察にも行けていない川ミミズの泳ぎについて考えておりました。

流れのある川底の上を這うように泳ぐ川ミミズですが、私が観察している限りでは4種類の泳ぎ方があります。今回はそのうちの3種類について紹介したいと思います。

まずはこちら。

【ウミヘビ泳ぎ(SEA SNAKE SWIM)】

まるでウミヘビがくねくねと体をS字蛇行させながら泳ぐ様。数回しか見たことはありませんが、確かその時はいずれも下流に向かって結構な速さでウネウネと泳ぎ下っていったという記憶があります。1mを3秒ぐらいで泳ぎ下る感じでしょうか。水面で泳ぐヘビにも見えますし、斜面を急ぎ降るヤツワクガビルもこのような動きをしていた記憶があります。まさに泳ぐミミズです。ただ、こちらを見ているのは基本的に日中です。一度だけ日中に上流から泳ぎ下ってきたミミズを見たことがありますが、残り2~3回は私が川底の石裏から掘り出したミミズを水に戻した時に見せた泳ぎとなります。ミミズにしてみたら、非常時の動きなのかもしれません。

二番目はこちらです。

【縫いざしクロール(SEWING CRAWL)】

これは泳ぐというよりも、川底を這う感じです。比較的流れの早い所で見せる動きです。どちらかというと流れに対して下流側に向けて進んでいることが多いように思います。もちろん上流に向かっている場合もあります。特徴は尻尾と頭のどちらかを石などに引っかけて保持していることです。①尻尾をふたつの石で保持しながら、次のとっかかりを頭を動かしながら探していきます。②とっかかりを見つければひと安心。尻尾の保持を外し、とっかかりを起点にずんずんと体を前へ進めます。ちなみにこの状態であればバックもできます。③次のとっかかりが見つかるまで尻尾の保持はほどかないことが多いです。頭で流れを受けながら次のとっかかりを探します。④とっかかりを見つけると、尻尾の保持をほどきます。

この泳ぎは夜間、流れの早い場所で川ミミズがおそらく自然に行っている行動です。強くライトを当てると光りからの逃避行動に移ってしまうため自然とは言えませんが、赤色ライトや、ライトの端っこの方で薄暗い中での観察ならば、自然な動きを見られているような気がします。

保持している所は筋肉?を張っていますので、このように構造色の虹色が浮かび上がります。

こんな感じに身体のどこかで保持して流されないようにしています。

こんな感じですね。

そして3番目のスタイルはこちら。

【オマキザルクロール(CAPUCHIN MONKEY CRAWL)】

これは流れの早い瀬などで、流れの向きと交差する方向に進む場合に見せる泳ぎです。まるでおオマキザルのように尻尾を使うのでオマキザルクロールと呼んでいます。①尻尾で保持しながら流れに身体を出し、頭を動かしてつぎのとっかかりを探す。②さらに体を伸ばすますが、尻尾はしっかりと保持したままです。石に巻きつけていることもありますが、縫いざしクロールのように小石の下に入れて保持することもあります。この際、どうしても流れが早く流されてしまいそうなときは、保持した尻尾を基点にバックして戻ります。川ミミズにとって流されてしまうことは、結構不安なことなのだと思います。なので結構バックしています。③とっかかりをつかんだところ。④しっかりとっかかりに頭を滑り込ませたところで尻尾の保持をフリーにします。このようにして流れに交差する方向にも進むことができます。

尻尾を保持したまま、右から左への流れに抗してとっかかりを探している様子です。

ちなみに川ミミズの尻尾はこのようにザラザラと節ばっています。これは「マッチョ虹色水生ミミズ」の尻尾ですが、川の結構な流れの中でも見つけることのできるマッチョは、かなり尻尾がザラザラになっています。

尻尾の形態につきましては、ウミヘビがとても気になっています。爬虫類のウミヘビです。元々地上生活をしていたヘビが、海の中に適応して泳ぐようになったものと言われていますが、多くの場合、ウナギの尻尾のように尻尾が縦に押しつぶされたように平べったくなっているのです(ヒレはありません)。これはS字蛇行の泳ぎで推進するための適応と言われています。川ミミズの場合、そのように縦に扁平した尻尾を見たことはまだありませんが、全身筋肉のようなものですから、泳ぐときに縦に扁平していないとも限りませんね。もう少し観察を重ねてみたいと思います。

尻尾のザラザラについては、節ばっていると同時に、これらフトミミズ科の仲間は全身に細かい毛が生えています。土の中などではそれを土壁にひっかけて進むと言われており、川ミミズの保持にもきっと役立っていると思います。

今回は川ミミズの3タイプの泳ぎ方を紹介しましたが、実は最も観察している泳ぎ方は、このいずれでもありません。簡単に言うと、水中の川底を這うようにそれでいて僅かに浮かぶように、ほとんど保持もせずスルスルと進んでいく泳ぎ方なのですが、伸縮によって推進力を得ているのか、僅かな蛇行運動で推進力を得ているのか、ちょっとよくわからないのです。

そして結構、速いのです。上流にも下流にも泳ぎます。流れの早いところでは体を保持しないため、流されてしまうこともありますが、それを良しとしている雰囲気もあります。

最も近いイメージは、旭山動物園のモモキチ(百吉)が水中を跳ねまわる泳ぎ方です。

気になる方はYouTubeなどで確認してみてください‥。

これについては、もう少ししっかりと観察したうえで、あらためてご紹介したいと思います。〈若林〉□

 

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