昨日書いたブログの冒頭で、「アキアカネでしょうか?」と赤い色をしたトンボを紹介しました。

こちらです。ひと口に「アカトンボ」といってもアキアカネやナツアカネ、ミヤマアカネなどたくさんの種類がいますから、あまり深く考えずにアキアカネかな?なんて書いてしまったのですが、秋に見るアキアカネ、いわゆるアカトンボとはなんか雰囲気が違うなーと思っていたので気になってしらべておりましたところ、これはどうやらウスバキトンボではないかという結論に至りました。

東洋経済オンラインで静岡大学農学部教授の稲垣栄洋さんが「ウスバキトンボの大群が背負う「はかない運命」」という記事を書かれています。これから書く内容のすべては、この記事に準じています。

記事によるとアキアカネやナツアカネは夏の暑さが苦手なんだそうです。

これは私も聞いたことがありまして、アキアカネは春に里で羽化すると、避暑のために山へと上り、涼しくなる秋になるにつれ里に下りてくる習性をもっているそうです。夏場、山奥の渓流に釣りに行くとアキアカネが群れて飛んでいます。これは避暑地で涼んでいる最中なんでしょうね。

ご存知の通り、埼玉南部の夏は酷暑でして、昨日もとても暑い一日でした。

アキアカネは涼しくなると現われるとわかってはいても、お盆も過ぎたことだし、早いやつはもうここらへんにも飛んでいるんだろう‥ぐらいに思っていたんです。

一方のウスバキトンボは、夏の暑さにとても強いトンボだそうです。逆に言えば冬の寒さは苦手で、なんと日本の冬を越すことができないそうです。

冬を越せないのになぜ日本にいるのかというと、元々は熱帯原産のトンボなのだそうです。

毎年、4月から5月になると大群で南の国から海を越えて日本にやってくる、と記事にはあります。

渡り鳥ならぬ渡りトンボです。

さらに驚くべきことに、日本に渡ってきたウスバキトンボは、田んぼで卵を産み、その卵は1カ月ほどで羽化して成虫のトンボになるのだそう。羽化したそれらは日本列島各地に飛び散って、またそこで卵を産み、また羽化して・・と分布域を広げていくのだそうです。

そして寒くなるにつれて力を失い、冬を越せずに日本にいるウスバキトンボは全滅するそうです。

・・なんという生態!!

すぐに思いついたのは死滅回遊魚です。最近では季節来遊魚という呼び方が一般的になっているそうですが(印象が悪いため?)、死滅回遊魚のほうが実態を表している気もします。

南方魚には、その一部が黒潮などの暖流に乗って旅立ち、北上するものがいます。ですがこれらは冬の低水温には耐えられずに死滅してしまうのです。

「種」として考えるならば、死滅回遊魚たちは新天地を探し求めるパイオニア。その多くは死んでしまうかもしれませんが、なにかのきっかけで一部が生き残ることができれば、「種」としての分布域を広げることができます。気候変動など自然界は常に変化をともなうものですから、リスクはあれども、その中で種を存続させていくためには、パイオニアが必要なのかもしれません。

このことはつい先日、川ミミズにも感じていたことでして・・それについては過去ブログ【新たな暮らしの場を求める旅人】をご覧ください。

日本に渡ってくるウスバキトンボもまた、死滅回遊魚のような開拓者なのかもしれません。

そう考えると、よくぞこの辺境の「ガタ」へ‥と、小さな感動を覚えずにいられません。

稲垣さんの記事は、温暖化が進むことで日本の冬を越すウスバキトンボが現われるかもしれないと結ばれています。

海もここ数年、南方魚の北上が目立っています。

同時にサケなど北方魚の衰退もまた‥。

ウスバキトンボはお盆の時期に良く見かけることから「精霊トンボ」とも呼ばれるそうです。

お盆を過ぎると、気持ちも季節も秋へと向かっていく気がします。〈若林〉□

 

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