今日は晴れ。よい秋晴れの一日でした。

ひさーしぶりのブログ更新です。

なにやらちょこまかと忙しく、なかなか更新できておりませんでしたが、今日は記録をしておきたいと思い、急ぎキーを叩いております。

このところ、仕事の合間にしばしば落ちアユを探しています。

「落ちアユ」とは産卵のために、川を降るアユのことです。

秋、川を降りながら産卵に適した浅い砂礫底の瀬に集まり、そこで雌雄が入り乱れて産卵をします。そして産卵を終えたアユは、ほとんど絶命しながら川を流れ下っていきます。これも含め、この時期の川を「落ちていく」アユのことを、落ちアユと呼ぶのです。

ちなみに砂礫底の瀬に産み落とされた卵は約2週間ほどで孵化すると、そのまま川を海まで降ります。そこで冬の間、プランクトン類を食べて成長し、翌春になるとまた川を上ってきます。

この時期、産卵のために瀬の一カ所に集まったり、産卵を終えて弱って流れ下るアユは、多くの生きものにねらわれています。カワウ、サギ類、シーバス(スズキ)、ナマズ‥。

先日は、淵を泳ぐニゴイの口から魚の尻尾がはみ出していました。これもおそらくアユだったのではないかと思っています(他の可能性としてはオイカワもしくはイナッコ)。

さらに砂礫底に産み終えた卵は、カルガモが食べているのではないかと踏んでいます。春にマルタウグイやニゴイの卵をねらっている時のように、顔を産卵場の砂礫底に突っ込んで何やら盛んに食べている姿を目撃しています。おそらくはアユの卵なのではないだろうか・・と考えています。

前置きが長くなりましたが・・。

こちらが落ちアユとなります。これは産卵を終えたばかりのメス‥かな?(尻ビレで見分けるのですが、微妙で判別できませんでした)。生きているうちは真っ黒なのですが、死んで死後硬直が始まる頃になると、だんだんと色が黄色く抜けていきます。このアユは、体の後ろ半分が黄色くなって死後硬直も始まっていましたが、まだ口はぱくぱくと動いていて生きていました。拾ったのは朝方ですが、おそらくは前夜に産卵を終えたものだと思います。

落ちアユはとても美しいです。紅葉のようです。

こちらは死んで岸辺に打ちあがり、その後に腐食して、ハエがたかってウジがわき、体をあらかた食べられたアユです。死後、1週間ぐらいでしょうか。ウジの仕事はとても早いのです・・。

アユはたいてい、ほぼ無傷の状態で見つかりますが、なかにはこのように何者かにかじられたものもいます。頭と尻ビレ近くの腹をやられています。ハシボソガラスは魚の目玉や内臓を好んで食べますから、カラスの仕業かなーと思っていたのですが‥。カワウやサギ類、それにシーバスやナマズ、ニゴイなどの魚食魚は丸のみしますから、これは別の何者かのしわざでしょう。

本日の夕暮れ。

ところで。いつも私は二つの川を観察しておりまして、朝方に観察する小さい川ではよく死んでいるもしくは死にかけた落ちアユを拾っていたのですが、日中や夕方に観察する大きな方の川では、アユは間違いなくいるのですが、落ちアユを拾うことはできないでいました。きれいすっかりあとかたが見当たらないのです。

おそらく、産卵は夕方から夜間に多く行われるそうなので、次の日の夕方までに、川辺の生きものたちに食べられてしまっているのではないかと。そんなことを思っていました。なので今日も「やっぱりいなかったかー」と諦めながら川を後にしようとしたのです。

ところが、最後、橋の上から残照の川面を眺めておりましたら、ゆらゆらと白い腹を時折見せながら弱ったアユが下ってきたではありませんか!

急いで土手を駆け下り、川に入って無事にキャッチすることができました。

すっかりやせこけた細長いアユ。

ストロボを当てるとこんな感じ。おそらくは産卵後のメスではないでしょうか。

きっと暗くなって卵を産んで果て、流れ下っていたのでしょう。まだ色合いもしっかりと出ています。

落ちアユを確認できたことに興奮していたのか、背後でガサゴソガサゴソと音を立てる存在に、ずいぶんと気づかずにいたような気がします。

アユを川に戻して、さあ帰ろうと土手を見ると、目の前の藪からリスほどの茶色いイタチが飛び出し、駆け逃げていくところでした。ひさびさのイタチとの遭遇です。

それにしても、そのイタチは少し大胆な気がしました。私が川でアユを眺めている間、ずっと後ろで見ていたはずなのです。これは・・おそらくですが、イタチは落ちアユをねらっているのではないでしょうか?

魚も鳥もそうですが、目の前にボーナス的な餌が現われる瞬間は、警戒心が薄れるのではないかと思っています。魚ならば釣りやすくなりますし、今年の春に観察したオイカワ産卵場のアオサギもずいぶんとその狩場に固執していました。今日見たイタチの動きには、それに似たものを感じました。

もしかすると・・私が急いで土手を駆け下りたりせず、しばらく橋の上から流れていくアユを眺めていたならば、イタチが川に入って弱ったアユを狩るシーンが目撃できたかもしれません。

イタチはおそらく落ちアユを狩りに川に入っているのではないか?

ひさしぶりにドキドキする妄想的仮説がわきました。

もしかすると頭だけかじられているアユは、イタチのしわざ、なのかもしれません。

確かなことは言えませんが・・。

イタチ出没の現場。

過去フォトですが、こんな感じの小さくてこげ茶色のやつでした。リスと間違えるぐらいの大きさ。

川辺にはこのタイプも結構います。焦げ茶のやつよりは少し大きい。

そして同じ川で一度だけ見た大型種。これはいわゆるシベリアイタチというやつなのでしょうか・・。

ともあれ。明日はちょっとだけ、イタチのフンを探してみます。そこにはきっとアユの骨が含まれているのではないかと妄想しています。〈若林〉□

 

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