少し前までツイッターで『武蔵野発川っぷち生きもの観察記』と相性のよい本を少しずつ紹介していました。10冊溜まったところで、まとめて紹介しておきたいと思います。 『アバマルの自然誌 沖縄の田舎で暮らす』(池澤夏樹著 光文社文庫) 作家・池澤夏樹さんが5年半にわたる沖縄居住の際に楽しんだ自然観察の記録。名も知らぬところからイソヒヨドリに親しんでいく過程など、自身の体験と深い考察によるアプローチが興味深い。多大に影響を受けた一冊。
『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』(熊谷さとし著・安田守写真 文一総合出版) イタチ、タヌキ、アカネズミ、カヤネズミ…川っぷちで見かけるケモノの痕跡を照らし合わせるのに重宝している一冊。写真豊富でフィールド感もたっぷり。痕跡追いの楽しさをこの2冊で体感してください。
『空中モグラあらわる』(今泉吉晴著 岩波書店) 身近な野生動物に親しむ入口に最良とも思える空中モグラに受けた影響はとても大きい。観察、想像、また観察…で解き明かされていくモグラやネズミ、リス、ムササビの暮らし。知る喜びに満ち、何度でも読みたい一冊。
『ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記』(樋口大良・子どもヤマビル研究会著 山と溪谷社) 小・中学生による発想と検証と発見が痛快。定説を覆していく過程を子供たちと一緒にワクワクできる読書体験が素晴らしい。川っぷち川ミミズ観察の魅力も重なるものがあるかと思っています。
『武蔵野』(国木田独歩著 角川文庫) 武蔵野の良さは人の暮らしと自然とがモザイクに織り成しているところ。国木田独歩は明治期にこう描きましたが、今もその面影を残す場所のひとつが川っぷちと隣接する段丘崖の雑木林ではないでしょうか。迷い込む楽しさがあります。
『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著・上遠恵子訳 新潮社) 小さな子どもには知識なき自然体験をもたせたい。とりわけ人の都合から自然が濁って見える知識の入り込まない体験を。害虫しかり、侵略的外来種しかり。知識は得るタイミングで意味合いが変わると思います。
『ミミズと土』(チャールズ・ダーウィン著・渡辺弘之訳 平凡社) 『川っぷち〜』では川底に棲む川ミミズについての観察記をひとつの章を割いて紹介していますが、かの進化論のダーウィンは、一冊まるごとミミズについての本を書いています。遺跡がミミズに埋められる話など。興味深いです。
『日本の外来生物』(自然環境研究センター著・多紀保彦監修 平凡社) 都市近郊の川っぷちには海外や国内の他所から運ばれ棲みついた外来種がとても多いです。「外来種」という言葉に心を濁らせることなく、まずは出会いを楽しみたい。問題や対策はその上に乗せるものではないかと思うのです。
『生物界における共生と多様性』(川那部浩哉著 人文書院) 生きもの同士の関係性こそ私の川っぷち観察の要ですが、その楽しさを教えてくれた一冊。1996年発行。とても読みやすく、難しくなく、楽しい本です。
『幻像のアオサギが飛ぶよ 日本人・西欧人と鷺』(佐原雄二著 花伝社) アオサギをこよなく愛する著者による人間との関係性に重きを置いた博物誌は読み応えたっぷり。川っぷちで最も目立つこの大きな鳥を観察の入口にするのは、とても楽しいと思います。 以上です。 すでに『川っぷち』を読まれている方は、ぜひオススメ本を一緒に読んで見てください。何か感じられることがきっとあるはずです。 オススメ本が好きで、まだ『川っぷち』を読まれていない方は、ぜひとも読んでいただけると幸いです。きっと楽しんでいただけるかと思います。
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