本日、ポストに投函されていた一冊のZINE。

『ヤマトイワナたち 全5水系における形態の記録』

char called “YAMATO IWANA” for now

「for now」です。

こちらはツイッターで相互フォローの関係にあるKEIさんの作品。常々ツイートでも美しいイワナの写真をアップされていて、気になっていたのですが、このたびご自身のライフワークである「ヤマトイワナ探し」をまとめたZINEを発行されました。A5判、オールカラー、37ページ。

ヤマトイワナを探して3年というKEIさんが、山中歩いて出会った全5水系の形態の記録です。

個人的な想いの発露ともいえるZINEは、ともすれば「私を見て」という想いが内容を届かせるじゃまをしてしまったりもしがちなものですが、本作にそれをまるで感じないのは、おそらくご本人には切実に伝えたいことがあるためだと感じました。

それは冒頭にも書かれています。

本書の写真たちを通じてお伝えしたいイメージは大きく2点。

(イワナの外見が)「なんだか良い!」「違いがある!」

この2つを共有したい。

この言葉通り、沢ごとに異なるイワナたちの紋様が、美しく情緒的な写真で紹介されています。イワナだけでなく、その沢の風景や他の生き物もともに。

構成として意識されているのかどうかはわかりませんが、面白く興味深いのは、それぞれの水系の風景とそこに棲むヤマトイワナの色合いのトーンが近しいところ。見開きごとに飛び込んでくるイワナと沢が、とても馴染んで目に映ります。著者の伝えたかった「違いがある!」は、それぞれのイワナの棲む風景への馴染みによって、より強調されているように感じました。

あとがきにも共感。

その違いは、悠久の時によって生み出された、全国それぞれの土地ならではのものである。「おらが村」のイワナを是非誇りにしたい。

文中では、現在の日本の渓流釣りの多くが他所からの放流で成り立っていることにも触れられています。これまでと今とこれから。まだ若い著者がタイトルに添えた「for now」への想い。理屈も大切、でもこのような伝え方もまた、先行きを変えるひとつの有力な、そしてポジティブな試みだと思います。

蛇足ですが本日は私の50歳の誕生日。自分のしていること、そしてこれからできること、さらなる伸びシロ?とかを考えると、なかなかじわじわと迫りくるお年頃ではありますが、このような嫉妬心を覚える作品を目にすることは、歳を重ねた自分にとっての薪であり風であり、良い誕生日プレゼントをいただいたような気になりました。

これからもご発信を楽しみにしています!〈若林〉□

本日現在、SOLD OUTになってしまっておりますが、興味のある方はこちらより。多くの人に感じていただきたい一冊です。

 

 

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