埼玉南部、昨日今日ととても暖かです。

近所の川ではニゴイの産卵が、ガタではコイのハタキが活況でした。

そして夜の川ミミズ観察では「オヨギデカミミズ」の幼体が、何らかのきっかけ(日中の暖かさと日没後の暗さでないかな?と推察)で、川底から抜け出て泳ぎだしているのではないか?・・と思わしき観察を楽しめております。

そしてもうひとつ。驚くべきは「オヨギデカミミズ」の生物蛍光です。

生物蛍光については『ナショナルジオグラフィック』のウェブサイトのNewsページで2015年11月17日に「蛍光に光るウナギの仲間を発見、世界初」と題した記事が載っています(その記事はこちらです)。そこで生物蛍光について、このように説明されています。

生物が化学反応によってみずから発光したり、発光する細菌の宿主になったりして光を発する現象が「生物発光」と呼ばれるのに対して、「生物蛍光」は、生物に光が当たったときに別の色の光を放出する現象だ。

ナショジオの記事では緑色に蛍光発光するウナギの仲間(イワアナゴとその仲間)が紹介されています。そしてその色合いが、私がブラックライトを当ててみた「オヨギデカミミズ」のものとそっくりだったのです。

川底の砂利から這い出してきた(と思われる)「オヨギデカミミズ」。全長は20㎝ほど。うっすらとハチマキ(環帯)ができあがってきているようにも見えます。ちなみにこの日は2匹。薄濁りが残っていたためか、思ったよりも少なめでした。

こんな感じにスルスルと泳ぎます。実際の観察は赤色ライトを用いています。撮影の時のみ白色LEDを照らしています。ちなみに頭側に白色LEDやブラックライトを当てると反応して避けます。尻尾側は当てても無反応なことが多いです。

そして、この「オヨギデカミミズ」の生物蛍光が・・こちら!

どうでしょう。

強くグリーンイエローが出ているところとそうでないところ、まるで光っていないところもあります。

帯のように点々とあるのは体毛です。体毛も光ります。

ちなみにもうひとつの川ミミズである通称「マッチョ虹色川ミミズ」も体毛は光ります。ですが、そのほかは光りません。

こちら「マッチョ虹色川ミミズ」の蛍光発光です。光っているのは体毛だけです。

「オヨギデカミミズ」は明らかに異質です。そして体全体ではなく、尻尾や頭はあまり光らないようです。

頭側は体毛だけが光っているように見えます。

 

先述の『ナショナルジオグラフィック』の記事によると、専門家はイワアナゴの生物発光の理由を、月光による蛍光発光で繁殖相手を見つけるためのものではないか?と考えているとのことです。

ミミズは雌雄同体で、卵巣と精巣の両方を持っている生き物です。1匹だけで子供を作れる単為生殖の種類もありますが(わが家の川ミミズはこれ)、種類によっては「交接」といって2匹が繋がり、精子を交換するそうです。

ちなみにミミズには目がありません。・・が、ライトを当ててもわかるように、光を感じることはできるようです。

「オヨギデカミミズ」はなぜ光るのか?

妄想がむくむくと膨らみます。

暖かい一日、川底から這い出てきた「オヨギデカミミズ」は月光に照らされボーッと光る。その光を目当てに交接相手を探し、夜な夜な川底を泳ぎまわるのです・・。

川ミミズの生物蛍光は、そんな妄想を抱くに十分な、驚きの私的発見でありました。〈若林〉□

 

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