昨日は台風と梅雨が一気にやってきたような1日でしたね。アクアラインを通った時の風速は18mでした。本日も蒸し蒸し。梅雨っぽい湿度です。

さて。

このところ観察を続けている「オヨギデカミミズ」。あらためてその不思議な生態についてまとめておきましょう。

まずは事実の羅列を。

・成体は25㎝を超えることもある。

・垂直に近い護岸を這い登る。

・護岸に生えたコケ(もしくはそこに溜まった有機物)を食む。

・川底を這う、時に泳ぐ。

・フワフワして柔らかいが、急にムキっと硬くなる。

・ブラックライトを当てると体毛及び体の一部が蛍光イエローに光る。

 

そして私の妄想を。

・冬には死んでしまう一年生のミミズではないか?

・土中にも暮らすが川で暮らすことに長けているのではないか?

・川底で産卵しているのではないか?

・川底で成長するのではないか?

・日中は主に川底の砂礫中に棲み、夜になると何らかのきっかけにより川底に抜けて(這い出て)徘徊するのではないか?

・川底を抜けるトリガーは(明度・気温・月齢・潮時・降雨)あたりなのではないか?

・護岸に這い上がるトリガーには湿度や壁が濡れていることが重要なのではないか?

・蛍光発光により仲間を認知するのではないか?

・単為生殖ではなく交接(交尾のようなもの)をするのではないか?

・蛍光発光のパターンよってコミュニケーションをとっているのではないか?

・成長するに従って蛍光発光は強くなるのではないか?

こんなところでしょうか。

 

ではでは。このアメイジングな川ミミズの観察に参りましょう!

一昨日は、日中25℃を超えるぐらいの暑さでクビキリギスも盛んに鳴いていましたが、予想に反して川底抜けは見られず。代わりに15㎝ほどの追星のでたカワムツを見ることができました。写真にはカワムツ、ドジョウ、エビの仲間、カゲロウの仲間が写っています。ちなみにこの川でこれまで見ることのできた魚類はカワムツ、ドジョウ、キンギョとなります。25㎝ほどの大型キンギョが最大でした。

昨晩は、前線通過の最中、まるで台風のような圧の強い風が時折ビュッと吹き、木々を激しく揺らすなか、いつもより遅い時刻(21時過ぎ)に見にいってきました。風が強くクビキリギスは鳴かず。湿度は高め。この春、初めてゲジが護岸を這っているのを確認しました。

護岸に小型の「マッチョ虹色川ミミズ」が這っていました。10㎝に満たない大きさ。

そしてもう少し行くと、いましたいました。

高さは1mほど。川底ではなく、なんと成体が護岸を這い上っていたのです。これは今年初めてです。7月ごろには普通に見られる光景ですが、4月下旬の時点で確認をすることができました。

そして恒例のブラックライトを当ててみますと・・

なんとしま模様!!! 驚きの蛍光発光です。

すぐ近くに護岸の穴から顔を出すもう一匹。頭側はあまり光らないようです。それにしても、やはり成体の蛍光発光はすごい。

ちなみにこちらはその2日前に観察した10㎝にも満たない幼体の蛍光発光。体毛以外にも少し黄色く光ってますが、弱めです。

成体の発光は異質です。

ただ、全身が光るわけではありません。こちらは尻尾。先だけがホタルのように光っています。

そしてこちらは頭側。ほぼ体毛しか光っていません。ちなみに頭側はLEDもブラックライトも嫌がります。赤色ライトへの反応は薄めですので、行動を観察するときは赤色ライトを照らしています。

近くにいたもう1匹。こちらも体の中央近くが主に発光しています。頭はほぼ光らず。

むくむくと妄想は膨らみます。この蛍光発光のパターンは、ミミズたちの感情?を表しているのではないでしょうか・・。そしてミミズ同士、この光り方のパターンによってコミュニケーションをとっているのです・・。

 

この仮説を補強していくため、今後は次の目的を持って観察を続けていきたいと思っています。

・川底抜けのトリガーとなる要因の解明。

これはいわゆる土中からの這い出しに近いものと考えています。土中からの這い出しについては、過去の研究や観察により雨後説や月齢説などが謳われています。「オヨギデカミミズ」の場合は、果たして・・。

・成体の蛍光発光のパターンの観察。

全身ビカビカや全く光らないもの、光るパターンが随時変わるものなど、その様子を観察して見たいと思っています。ちなみに光る位置は結構、変わったりもしているようです・・。

・川底もしくは護岸上での交接の観察。

実は一番見てみたいのはこちらです。川底で2匹のミミズが交接する様子を観察することができれば、そこは彼らにとっての生活の場であることを示しているのではないでしょうか。夏から秋にかけては、川底での交接を中心に探してみたいと思っています。

いやー、川ミミズって本当に面白いものですね。〈若林〉□

 

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