今日は雨。前線を伴う低気圧の通過により静岡などでは豪雨になっている地域もあるそうです。

埼玉は梅雨のようなシトシト雨。夏のゲリラ豪雨と違って、川の増水や濁りはさほどではありません。

さて。

このところツイッターなどでミミズに詳しい人とのやりとりが生まれ、日々のツイートで色々な情報を頂いております。つい先日、その方がアップした画像のミミズが、私がずっと観察している「オヨギデカミミズ」にとてもよく似ていましたので「何ミミズかと思われますか?」とコメントしたところ、「ノラクラミミズかと思われます」との答え。

ノラクラミミズ。のらくろではなくのらくら。なんでも、のらりくらりと?のんびり動くからノラクラミミズと呼ばれているそうです。

さっそく名著・『ミミズ図鑑』を引いてみます。

本体4,800円。気合を入れる必要のあるお値段ですが、見合った以上の内容だと私は感じています。

こんな感じに出てました。確かに似ています。

 

思えば私はもう2年ほど川ミミズの観察を続けておりますが、観察している正式な名称を全く知らないんです。自分で勝手に「オヨギデカミミズ」とか「マッチョ虹色川ミミズ」と名付けてはおりますが、それが実際には何ミミズと呼ばれているミミズかも知らないんですね。唯一、知っているのはおそらく合っているであろうシマミミズのみ。釣り餌に使われる、いわゆる「キジ」です。

ちなみにシマミミズはツリミミズ科のミミズです。

イワナやヤマメがサケ科というグループに属しているように、ミミズもいくつかのグループに分類されています。ちなみに『ミミズ図鑑』によれば、大型ミミズは主にフトミミズ科、ツリミミズ科、ジュズイミミズ科をあげることができるそうです。

これらは主に環帯(ハチマキ部)の形と位置によって区別することができます(『ミミズ図鑑』参照)。

ツリミミズ科:環帯は鞍状で第22〜35体節間の5〜8体節を占める。

フトミミズ科:環帯は帯状で肥厚して第14〜16体節を占め、そこに体節は見られない。

ジュズイミミズ科:環帯はあまり肥厚せず第10(ないし9)〜13(ないし14)体節を占める。

体節とは節目のことですね。簡単に言えば、環帯の出来上がった成体(おとな)ならば、環帯の形と、頭の先から環帯までの節目の数を数えることでフトミミズ科なのかツリミミズ科なのかジュズイミミズ科なのかがわかるというわけです。そのほか体毛の生え方や体の形状など色々な分類基準はありますが、最もわかりやすいのは体節を数えることではないでしょうか。

さて。

ここまで書いて、やはりちゃんとした科学に則るのはとても大変なことだなーとしみじみ思います。

進めましょう。

この分類のやり方により、私の知っている主なミミズはこのように分けられます。

【フトミミズ科】

「マッチョ虹色川ミミズ」

「オヨギデカミミズ」

「しまくろミミズ」

【ツリミミズ科】

「オレンジハチマキ川ミミズ」

「トランスルーセント川ミミズ」

シマミミズ

ちなみに私が勝手に付けた名前には「」を付けています。

 

さてさて。なかなか本題にたどり着きません・・。

そうそう、「オヨギデカミミズ」です。

「オヨギデカミミズ」は大きいもので25㎝ほどにもなる大型のフトミミズです。このミミズ、とにかく個性的なんです。

・川底を泳ぐ

・垂直護岸でコケを食む

・ふにゃふにゃから一気にグネングネンする

・蛍光発光する

実際、様々なミミズが濡れた垂直護岸は這い上ったりコケを食んだりしています。泳ぐ姿も「マッチョ虹色川ミミズ」やシマミミズ、そのほかの大型ミミズでも観察は多々あります。蛍光発光についてはここまで黄色く光るやつは他にまだ知りません。そして手触りはとても柔らかくふにゃふにゃ・・なのですが、スイッチが入ると途端に体を張ってグネングネンと激しく動き回ります。通常の動きも私の知る限り、他のミミズに比べてのらりくらりしている感じもありません。

今年はこのミミズを春から観察しており、幼体らしきミミズも観察しています。ただ、様々な「オヨギデカミミズ」を観察するうちに、自分の中でも疑問を感じてきたんですね。「果たして私がオヨギデカと呼んでいるミミズは、すべて同じ種類のミミズなのだろうか?」と・・。

見た目の雰囲気と大きさ、さらに今では蛍光発光の具合によって同じやつだろうというあたりは付けておりますが、観察すればするほどグラデーション的に様々なミミズが現れるので、なんだかよくわからなくなってきたというのが本音です。

あまりにも肌艶の良い、こんなやつがいたり・・。

可愛い幼体がいたり・・

これもオヨギデカの子供だと思うんですよね。5センチほど。

こんな真っ白のやつがいたり・・

やや細くて虹色強めのものがいたりと・・オヨギデカかな?と思わしきミミズの幅が広がってきてしまったのです。

なのでここら辺でそろそろ知識を注入して、改めて「オヨギデカミミズ」が実際にはなんという名のミミズなのか? それをできる範囲で調べてみようと思ったのです。

話が長くなってきました・・。簡潔に。

ミミズの分類はまず長さ。そして各部位の位置や形状によってある程度、判別することができます。

上のイラストはノラクラミミズの腹側の簡略イラストです。分類の決め手となるのは「雄性孔」という精子を出す穴の位置です。この「雄性孔」の位置が、一般的なフトミミズでは18番目の体節にあるそうなのですが、ノラクラミミズでは19番目にあるそうです。なのでこれを見てみたいなと。

ちなみに『ミミズ図鑑』によるとノラクラミミズの全長は150〜250㎜とあります。まさに「オヨギデカミミズ」がピタリと当てはまる気がします。

で、実際に「雄性孔」を調べてみたのですが・・。

3匹見ましたが、正直それとわかるものは見つけられませんでした。

そもそもフトミミズの仲間は腹と背の区別も難しいのです。そして結構、図鑑を見ても「雄性孔」は見やすいものではなさそうです。いや、他のミミズを見てみないとなんとも言えませんが・・。標本になったミミズではくっきりと見やすくなっているようなのですが、生きているうちは見づらいのかな・・。

まずはここから。「オヨギデカミミズ」がノラクラミミズであるとの見込みを入口に、このミミズが何ミミズなのかに、たどり着ければと思っています。〈若林〉□

 

【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★