「川ミミズ同定の道程」と題しまして、謎に満ちた「オヨギデカミミズ」の種名をはっきりさせるプロジェクトの第三弾です。

そんなたいそうなことではありませんが・・。

少しだけ、夜の川へ・・。

このところヤモリが護岸に出てきます。おそらくは夕方から夜にかけて羽化するカゲロウを食べているものと思われますが、ミミズだって食べるのでしょう。

こいつらです。

 

さて。

同定の道程②で撮影したオヨギデカミミズのおなか側ですが、どうやらそのうち数枚は背中側だった模様(汗)。

とにかく背中と腹の区別さえ難しいのです。ミミズとやらは・・。

この夜もまたオヨギデカのおなか側を撮影したいと探してみましたが、なかなか見当たらず・・。

かろうじて一匹、それらしきのが川底に現れましたが、幼体でした。全長10㎝ほど。

UVではこんな感じ。まだまだオヨギデカの蛍光発光はこんなものじゃありません。

一応、撮影の練習。今回はTG6にフラッシュディフューザーをセットして撮影してみました。

腹側を撮影してみたつもりですが、環帯もなければ何もなし・・・。

分類するにはこの図にある雌性孔と雄性孔を確認せねばならないのです。

結局、この日出会えたのは幼体ばかり。

次に期待です。

 

そして本日、お昼休みにフラフラとカヤネズミを探して川を歩いておりました。

するとネズミムギの原っぱでガサゴソっと、大きめの何かが動いて草が揺れたのです。

とっさに「ネズミだ!」(カヤネズミというよりアカネズミあたり?)と思った私は身を固くしました。

すると次の瞬間、目を疑う光景が・・

なんとミミズが這い出してきたのです!!

しかもデカっ! ちょうど30㎝ほどあります。

動きの主はミミズではないことは確かでしたが、その主に追われて出てきたのでしょうか?

見たところ、大型だけどオヨギデカではなさそう。色も雰囲気も違います。

そこでこの機会をいいことに、同定にトライ! 裏返してみると・・むむ!

あった!!

環帯部に雌性孔、そしてその下部には左右に二つ大きな雄性孔があります。そしてその横にポツポツと二つ小さな吸盤状のものも・・。

ちなみにAが雌性孔、Bが雄性孔、そしてCが吸盤状のものとなります。

急いで事務所に戻り、名著『ミミズ図鑑』を開きます。約30㎝ありましたから、とりあえず25㎝以上の大型種に絞って調べてみると・・

ありました!

ズバリ、フタツボシミミズ。

「雄性孔に接する位置に二つの吸盤状性徴をもつことがこの種の特徴であり、名前の由来である」とあります。

見た目も似ています。

体長は190〜260㎜。26㎝以上はありましたが、大型だったのでしょう。

分布域は九州から関東と書かれています。

間違いなさそうです。

これは、フタツボシミミズです!(うれしい・・)

・・ということは「オヨギデカミミズ」はおそらくフタツボシミミズではなさそうです。まだわかりませんが、まずは私が(おそらく)同定できた最初のミミズとなりました。

いや・・なかなか大変だな・・。

でも、雌性孔と雄性孔がどのようなものなのかを知れただけでも大きな前進でしょう。

偶然の出会いよ、ありがとう。〈若林〉□

 

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