魅力溢れる大型の川ミミズ「オヨギデカミミズ」の同定を進めるプロジェクトの第四弾。 昨日は偶然、日中に30㎝ほどもあるデカいミミズと遭遇しまして、初めて雌性孔と雄性孔、吸盤状性徴を確認することができました。そして、それがおそらくはフタツボシミミズであるだろうと推定することができました。それについてはこちらをごらんください。 さて、その晩も少しだけ観察へ・・。 このところ「オヨギデカミミズ」の成体になかなか出会うことができません。全体的にも数が減ってしまった感じ。大水により底砂利が大きく動いたことも影響しているのでしょうか。 このように護岸には苔が急速に繁茂しはじめました。我が家のミミズテラリウムの葉っぱの隙間と同じで常に湿った空間を作り出しています。川ミミズの良い棲家になっているんですね。 ただ、この日も結構探しましたがオヨギデカは一匹もおらず・・。 そこで少しだけ下流側を観てみることにしました。 下流側は少し水位が増しますが、雨が降らない日が続けば15〜20㎝ほどの水深が多く、河床もいつもの区間と比べると動いておらず、石にはアオミドロもついたまま。 そしていました。「オヨギデカミミズ」です。全長は15㎝ちょっとといったところでしょうか。環帯が見当たりませんので幼体でしょう(護岸の穴に隠れているのかもしれませんが・・)。 撮影するために光を当てたら、嫌がってスルスルと穴に入って行きました。 下流区間にはご覧のような小型の川ミミズも観察できました。6㎝ほど。 これはまた別のやつ。5㎝ほど。 そしてほとんど流れのないたるみにぽっかりと浮くように・・・ 出ました! 「オヨギデカミミズ」の成体です! しかもかなりデカい! 25㎝ほどありました。オヨギデカの中でも大型です。太いところでは直径8㎜ほどありそうです。 素晴らしい・・。 このようにアオミドロがうっすらと生えた石の上にいました。 肉色にこの黄色っぽいまだら模様もオヨギデカの特徴。 そしてこの黄色っぽい部分が蛍光発光しているようです。 やはり成体の蛍光発光は鮮やかです。 なんとも言えませんね・・。 環帯より頭側はあまり光りません。 そしておなか側をひっくり返して分類形質を確認します。 むむ・・。あまり目立ちませんが、環帯の上に雌性孔が、そして環帯の2節下(第18節)に雄性孔があるように見えます。そのほか目立つ吸盤状性徴は観られず。 Aが雌性孔、Bが雄性孔ではないでしょうか。 『ミミズ図鑑』によればノラクラミミズは雄性孔が第19節にあるのが特徴とありますので、違うのかもしれません。ただ、見えていないだけかもしれませんし、個体差もあるかもしれません。また、結構この形はミミズにしてはスタンダードのようです。 さらに何匹かの観察を重ねることで見えてくることがあるかもしれません。
『ミミズ図鑑』に掲載されている全長20㎝以上になるミミズは以下のとおり。 模様から明らかに違うものに×印をつけて絞り込みます。さらに昨日観察したフタツボシミミズとは違うでしょうから、これも×印。さらに吸盤状のものが多数ならぶ独特の特徴を持つタカオミミズとオオフサミミズとハガネミミズにも×印を。 ・ヒトツモンミミズ(90〜250㎜) ×フトスジミミズ(90〜200㎜) ×シーボルトミミズ(240〜400㎜) ×ホソスジミミズ(110〜200㎜) ・セグロミミズ(90〜220㎜) ×ヘンイセイミミズ(90〜250㎜) ・カッショクフトミミズ(130〜230㎜) ×イイヅカミミズ(250〜450㎜) ・ノラクラミミズ(150〜250㎜) ・ヨコハラトガリミミズ(175〜260㎜) ×フタツボシミミズ(190〜260㎜) ×タカオミミズ(200〜350㎜) ×オオフサミミズ(200〜350㎜) ×ハガネミミズ(150〜200㎜) ・イマジマミミズ(210〜260㎜) ×ヤンバルオオフトミミズ(210〜450㎜) ×アカシマフトミミズ(170〜270㎜)
これらを削除しますと・・ ・ヒトツモンミミズ(90〜250㎜) ・セグロミミズ(90〜220㎜) ・カッショクフトミミズ(130〜230㎜) ・ノラクラミミズ(150〜250㎜) ・ヨコハラトガリミミズ(175〜260㎜) ・イマジマミミズ(210〜260㎜) 6種にまで絞り込むことができました。 雄性孔の位置などから、可能性の高いものは太字にしてあります。 いずれにしても、個体差の変異も結構ありそうなので、もう少し数を重ねたいと思います。〈若林〉□
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