本日2度目のブログ更新は川ミミズについて。 このところ続けている「オヨギデカミミズ」の種類を明らかにするプロジェクトの第7弾となります。 こちら白っぽくて長いほうが「オヨギデカミミズ」です。 夏場、二面護岸のこの川ではこの大型ミミズが川底を這ったり、時に泳いだりしています。そして垂直に近い二面護岸の壁を這い上っては苔をハムハムしたりもします。 とても興味深いこの大型川ミミズにつきましては、ヤマケイ新書『武蔵野発川っぷち生きもの観察記』でも紹介していますので、ご興味のある方はぜひ読んでいただけると幸いです。 さて。 そのオヨギデカですが、せめて正式名称だけでも知りたいと、できる範囲での同定に取り組んでおりますが、なかなか先に進みません。 ただ、詳しく見ているうちに、これまで区別せずに「オヨギデカミミズ」と呼んでいたミミズの中には複数種いるのではないか?という疑念も湧いてきました。 そこでまずは、根拠は薄くても自分の中では見分けていこうではないかと。今回はそこを少し進めてみたいと思います。 今回、オヨギデカとは違うミミズであると認識したく思っているのは、上の写真で並んでいる茶色いミミズです。上の写真は幼体ですが、背中が茶色くて腹が白っぽいのが特徴です。 まだ環帯のはっきりしていない幼体ですが、分類形質の一つである雄性孔は第18節(17節のようにも見えますが、18節だと思います)にあるようです。 こちら新たに観察した成体。 長さは15㎝ほどかな。 こんな感じに背中側は濃い茶色なのですが、お腹側はうっすらと見えているでしょうか。白っぽいのが特徴です。ツートーンなんですね。 尻尾の方にお腹側の白っぽさが見えるかと思います。 蛍光発光はこんな感じ。お腹側はうっすらと白っぽくなりますが、ほぼ体毛のみが反応している感じです。 そしてお腹側。明るい肌色といったところでしょうか。白っぽいこともあります。いずれにしても背中側に比べると段違いに明るい色合い。 見づらくてすみません。Aが雌性孔、Bが雄性孔(第18節)、そしてCの部分には斑紋は見られず、その代わり、それぞれの節の中央、ちょうど体毛の生えているあたりに髭の剃り残しのようなうっすらとした線が入っているのが特徴です。 やはりCの部分に髭の剃り残しのような薄い線が入っています。 このミミズを仮に「ツートーンフトミミズ」と呼びたいと思います。 オヨギデカとツートーンの違いは次の通り。 【体型】オヨギデカに比べてツートーンのほうが長さに比べて太さがある。太く短く見える。 【長さ】長さはオヨギデカが25㎝ほどになるのに対し、ツートーンはこれまで最大で17㎝ほど。 【UV】オヨギデカは鮮やかな黄色に蛍光発光するのに対し、ツートーンは体毛のみ。 【体色】オヨギデカは全体的に明るい肌色〜桃色〜白色なのに対し、ツートーンは背中側が濃い茶色でお腹側が肌色〜白色。 【腹面】オヨギデカ、ツートーンともに雄性孔は第18節にあるが、オヨギデカは成体でも不明瞭なことがある。ツートーンには体節の中央に髭の剃り残しのような模様が見られる。 【動き】ツートーンのほうが張りがあり、活動時は動きが活発な印象。不活動時はともに柔らかくなるが、オヨギデカのほうがより柔らかい。 【出現】オヨギデカは護岸の穴に潜む、護岸の溝を這う、川底に佇む、川底を這う、川底を泳ぐなど。ツートーン(らしきの)は、これまで成体2、幼体2しか観察できていないが、護岸を這っていた状態が2、川底で一部姿を現して這っていたのが2。 こんな感じです。 とりあえず「オヨギデカミミズ」から「ツートーンフトミミズ」を自分の中で分離してみたところで今回は終えたいと思います。〈若林〉□ 【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
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