昨日も湿気ムンムンな梅雨らしい一日でした。 ポツポツと雨の落ちるなか、少しだけ近所の川へ。 このところのお題である「オヨギデカミミズ」の種類を調べるぞプロジェクト。はや第13回目になりました。ヒトツモンミミズを識別することができるようになったり、少しずつですが進展しているように思います。 川に入ると、本日もまたピカーッと謎の発光体がお出迎え。 もう気にしていません。どんなものにも慣れてしまうものです。ただ、彼らの領域は侵すまいと、観察範囲を狭めました。 観察を終えて帰るときにはいなくなっていますから…。 さて。 雨がポツポツ降っているとはいえ、護岸は乾いていました。水位も数センチ下がったようで、水面ぎわだけが湿った状態。水面ぎわが湿っているのは苔の繁茂も関係しています。苔によって常時湿った状態が作り出されているのです。 そしてミミズはこのように、水面近くの護岸の穴から顔を出して周囲の苔を食んでいます(おそらく食べているのは苔についている有機物でしょう)。こちらは色と大きさからおそらくはヒトツモンミミズ。ただ、この状態から引きずり出すことはできませんので、確かめることはできません。今日驚いたのは、出そうとして押さえたら、口から水をぴゅっと吐いたこと。吸水もしているのかもしれませんね。 こんな状態が一般的です。 これはヒトツモンミミズ(腹側確認しました)。 このところ最もたくさん観察している大型ミミズですが、同時にこのところは川の中に入っている状態で出会うことはほとんどありません。一昨年、昨年の7月にもこの川では観察し、そこで「オヨギデカミミズ」と呼んでいたのは、おそらくこのヒトツモンミミズだと今では思っています。7月の観察では川底で泳いでいる状態のミミズも何度も観察していますが、それは護岸を這っていたやつが転げ落ちて川にぽちゃんと入った状態も多いのではないかと…そんなことも考えています。そして今年、今のところヒトツモンミミズがいきなり水中にいたというケースは確かほとんどなかったと思います。大抵は護岸の穴から顔を出している状態か、護岸を這っている状態、そしてこのように苔に絡まっている状態です。 ヒトツモンミミズはとても活動的で、川底に入れるとスイスイと器用に活発に泳ぎます。ヤマケイ新書『武蔵野発川っぷち生きもの観察記』では、川ミミズの3つの泳ぎ方を紹介しましたが、ヒトツモンミミズはそのなかの通称「ウミヘビ泳ぎ」を最も頻繁に繰り出します(おそらく多くの場合、非常時の逃避行動だとは思うのですが)。 詳しくはぜひ本を読んでみてください。 さて。 この日、確認できたヒトツモンミミズは3匹。おそらくそうだろう・・というのを合わせれば7匹ぐらいでしょうか。護岸が乾いていたためか、あまり出てはいませんでした。 そんななか、照らす灯りにぼーっと浮かび上がったのが・・こちら! ひさびさの「クリームオヨギデカミミズ」です。透明感のある白っぽい体、細く長い体型、そして尻尾周りのザラザラ感。なにより護岸のきわではありましたが、川底にぽかんと現れたのが「クリームオヨギデカ」っぽくて、うれしくなりました。 鮮やかな蛍光発光。 いつみても素晴らしいです。 小宇宙を感じます。 雄性孔は確認できません。それっぽいのを見たこともありますが、ほとんどの場合、不明瞭で見ることができません。目立った斑紋もなし。ただ、体が透き通っているためか、環帯の後ろ側、一般的には雄性孔が見られるあたりに体内の器官でしょうか。白っぽい何かが透けているのが特徴です。 動きは比較的緩慢。 透き通る尻尾。「雪ミミズ」はこれの幼体だったのではないか・・なんてことも考えています。 それにしても「クリームオヨギデカミミズ」と川の底で出会えたのは、私的にちょっとうれしいのです。と言いますのは、この「クリームオヨギデカミミズ」こそ、(この川で)川の底で一生を遂げる、正真正銘の川ミミズなのではないかと考えているためです。 ヒトツモンミミズがあまり川の底で見られないのは、実は川底に入るのがあまり好きでないからなのかもしれません。水に入るとウミヘビ泳ぎなどで活発に動き回るのも、もしかすると川から出たいがため、川は居心地が悪いため、なのかもしれません・・。 活発に泳ぐ姿から、ヒトツモンミミズは川に特化したミミズなのかも・・と思ったこともありましたが、逆に「クリームオヨギデカミミズ」のように、ぷかんとまるで湯に浸かっているようなリラックスしているように見える姿こそ、川に適応した姿なのかもしれません。 ちなみに「クリームオヨギデカミミズ」が太さに対して長いことも、気になっています。「ハッタミミズ」という超大型(全長1mほどにもなります)のミミズがいますが、これは水田など水の中で暮らしているミミズなんですね。確か、この長さは、少ない食べ物をしっかり吸収するため、という仮説があったかと思います。川の中は土中よりも餌は少ないと予測できますから、川に特化していくタイプは自然と体が長くなるのでは・・なんてことも妄想しています。思えば「マッチョ虹色川ミミズ」も長いのです。 光を嫌がって、水面近くの護岸の穴に潜っていってしまいました。 一緒に写っているのは夏場にとても多くなる「しまぐろ川ミミズ」(おそらくキクチミミズ?)です。体色の違いに注目です。
久し振りに「クリームオヨギデカミミズ」と出会い、新たな気づきを得ることができました。 そしてこの日は、もう一匹、川底に浸かっていたミミズと出会いました。 でかいです。 18㎝ぐらいかな。 ヒトツモンミミズではなさそうですが、うっすらと帯が先の方に観られます。 そして雄性孔はなし。 それよりも気になったのは、矢印のところに見られる小さな3つの斑紋。 名著『ミミズ図鑑』を見ると、ハタケミミズにとてもよく似ています。 このサイドの斑紋は受精嚢孔というやつかもしれません。外部標徴としてのうっすらとしたお腹側の斑紋や、雄性孔保有率が約2.6%と低いことや、体長が90〜180㎜と大型であることなど、いくつも合致しています。姿も似ています。 ちなみに蛍光発光はほとんどなし。 背中はこんな感じでした。 ちなみに「ツートーンオヨギデカミミズ」も2匹確認。 この日もなかなかの観察となりました。〈若林〉◻︎
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