今日は曇り時々雨。

コオロギが鳴いてます。

このところ気になっているのは、8月上旬を境に、一気にほぼ姿を消してしまった這い出し&這い上り川ミミズです。

今年は二つの川で観察していまして・・

ひとつの川は、6〜7月に、表層種のヒトツモンミミズと「しまぐろミミズ(おそらくキクチミミズ」)がとても多く見られた川です。

こちらヒトツモンミミズです。このように、垂直護岸を這い上る姿を観察していました。

15㎝弱ぐらいがアベレージ。

そしてこちらは「しまぐろミミズ」。6月23日の大量這い上りです。ここまではなかなか見られませんでしたが、雨で護岸が濡れると、まあまあな数が這い上ってはおりました。

ところがなぜか、お盆を過ぎて観察してみると、ほとんどいなくなってしまっていたんです。

もう一つの川では、主に地中種と思われる「マッチョ虹色川ミミズ」と「オジロ川ミミズ」の這い出しを観察していました。

こちらは護岸が鉄の矢板になっているため、さすがに這い上るのは難しいのか、ほぼ見られず(一例朝方に這い上っているのを観察しました)。その代わり、6月から7月にかけて、主に夜間に川底を徘徊する這い出しミミズを観察できていました。

それもお盆過ぎには見当たらなくなってしまったのです。

上に「表層種」とか「地中種」とか書きましたが、同じミミズでも棲んでいる深さが違うんですね。

こんな感じです。確かなことは言えませんが、川底に棲んでいるのは、主に地中性種なのではないかなと考えています。

地中性種は「坑道」を掘りますが、表層性種は主に落ち葉と土の間あたりに棲んでいます。

そして地中性種が一年以上生きるのに対し、表層性種は一年生、つまり一年で生涯を閉じてしまうのだそうです。

なので、同じように8月上旬を境に這い上りや這い出しが見えなくなってしまったとは言え、表層性種と地中性種とでは、やや意味合いが異なるのではないか?と考えています。

 

そして今朝、表層性種であるヒトツモンミミズと「しまぐろミミズ」が大量に観察できた川へ。

一気に姿を消してしまった彼らが、どこに行ってしまったのかを少し探してみることに。

8月上旬を境に大きく変わった点は、このようにソメイヨシノの落葉が川に積もり始めたことです。また雨量が減っているためか、水位がやや下がり、護岸際に川底が露出した箇所が増えたように思います。

こんなところの・・

こんな落葉を払いのけ・・

下の方にある枯れた葉も払いのけ・・

石を取り除いていくと・・いました。

12㎝ぐらいかな? これは表層種でしょうか・・? ヒトツモンでもしまぐろでもありません。

葉の下に多かったのはハサミムシ。

小さなムカデもいました。

直径5ミリほどの卵も・・

2つありました。卵には張りがあります。ネットで少し調べたところ、大型のナメクジの卵かなーといったところですが、謎です。

10㎝ちょうどぐらいの、おそらく表層性種。暗いオレンジ色の環帯でした。

そして「しまぐろ」っぽいのは、かろうじて一匹だけ。環帯がありますね。それにしてもこの激減はとても不思議です。

さらに土を掘ると・・

このように坑道を掘っている、おそらく中層性種と思われるミミズは結構たくさんいます。成体も幼体もいます。幼体の方が多いぐらい。そして一様に元気がいいです。

ヘンイセイミミズ?と思わしき、色の地味なやつも。

そして落葉を取り除いた状態の場所を見てみると・・

赤紫色っぽい焦げ茶色っぽい大きなミミズがいました。これもおそらく表層性種だろうけど・・

環帯がしっかり。そして色黒。

掘り出してみるとこんな感じ。そしてこれがなんと、ヒトツモンミミズだったのです。

また随分と色が黒くなった印象です。

鮭などは産卵期になると二次性徴でブナの樹皮の色に染まるので、海中生活期の「銀毛」に対して「ブナ毛」などと呼ばれていますが、ミミズもだいぶ色が変わるのでしょうか?

それにしてもヒトツモンミミズもこれ一匹だけでした。やはり多くはどこかに行ってしまったようです。

それともすでに死んでしまっているのか・・。

さらに15㎝クラスの太くて長い、おそらくは私が「ツートーンオヨギデカミミズ」と呼んでいるやつもいました。

もともと背中は色黒でしたが、随分とまた黒っぽく感じます。一方、環帯は白っぽく、存在感がありますね。

5月末に観察した姿。似てるっちゃ似てるか・・。

 

このほかに、もちろん、川の水が流れているようなところも探して見たのですが、見当たらず・・。

落ちアユのように、川を下って行ってしまうのかもしれません・・。

表層性種の彼らは一年で死んでしまうわけですから、おそらくこれから産卵の季節なのでしょう。

どこか産卵に適した場所があるのでしょうか。

そこに密集しているのでしょうか。

謎は尽きません。〈若林〉□

 

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