朝は心地よくやわらかな風が吹いている埼玉南部、少し暑さも和らいだ印象があります。 この夏の川っぷち観察は、ほとんど川ミミズに注いでしまったと言っても過言ではありません。 前半はA川で「オヨギデカミミズ」の種判別にトライしながら(未達成)、「しまぐろミミズ」(おそらくキクチミミズ)の被食シーンや交接シーンも観察することができました。 後半は段丘崖に接するB川で「マッチョ虹色川ミミズ」と「オジロ川ミミズ」を中心に、川ミミズの主に夜間での這い出し行動の観察に日々の短い観察時間を費やしました。 ただ、8月前半は全く観察に出ることができず、間が10日間ほど空いてしまいました。 B川では7月28日から8月12日までの約2週間 A川では7月5日から8月19日までの約6週間半 それぞれ川を見ていませんでした。 それぞれの川で、久々に観察してみると、A川の護岸に這いのぼる表層種の「クリームオヨギデカミミズ」やヒトツモンミミズ、「しまぐろミミズ(おそらくキクチミミズ)」も、B川の川底に這い出す「マッチョ虹色川ミミズ」や「オジロ川ミミズ」もほとんど姿を見せなくなっていました。 B川の這い出しは、8月13日以来、3回観にいってますが、いずれもゼロ。 A川の這い上りは、8月20日に一度観にいっただけですが、上記の表層種では「しまぐろ」らしき頭がかろうじて一個体見えただけでした。 行くたびにかなりの数見えていたヒトツモンミミズと「しまぐろ(キクチミミズ)」の姿が消えてしまっていたのには、少し驚きました。 A川の観察は2020年からはじめていますが、ほとんどの観察は7月中だったんですよね。 過去2年間で、8月の観察について書かれたブログは2つのみでした。 それを読むと、いずれもそれまで観察できていた護岸や水中でミミズが見られなくなったという話が書かれていたのです。 過去ブログ【彼らは川に入りたがっているのか?】(2020年8月12日) 「今回、ひとつの目的は水位が低下したこのタイミングにもなお、水中にいるやつはどのぐらいいるのだろう?ということを調べたかったのですが、実際、川の底にはほとんどミミズはおりませんでした。そして減水したことにより頭を出して小さな中洲状になった場所の周囲にもミミズは2匹しか見つけられませんでした」(ブログより引用) 過去ブログ【カバのように水中を駆ける】(2021年8月4日) 「いつも観察する区間で見ることのできたオヨギデカミミズは、なんと一匹だけ。それも水面から30㎝ほど上の護岸の穴から顔を出している姿でした。(中略)泳いでいる姿はまるでなし! 壁に取りついているオヨギデカミミズも観察区間では一匹だけ(一生懸命普段見ないところまで探したら3匹いましたが、いずれもコケにうずくまってあまり元気ではない様子)」(ブログより引用)
どうやら、私の観察している「護岸への這い上り」や「川底への這い出し」など、川ミミズの這い出し・這い上り行動は、8月上旬を境に変化が訪れるようなのです。具体的に言えば、あまり這い出しも這い上りも見られなくなるようです。 今年の台風8号(メアリー)が埼玉南部を通過したのは8月13日の夜。当然のことながら増水の痕跡は見ることができましたが、その増水幅は、6月や7月に降るまとまった雨と、さほど変わらなかったように思います。 では、なぜに彼らはいなくなってしまうのか・・。 2021年8月4日のブログではこのように推察していました。 ・寿命なのかもしれない。 ・天敵に一斉に食われてしまったのかもしれない。 ・下流に流されてしまったのかもしれない。 ・川底に潜んで出てきていないだけなのかもしれない。 今もってわかりません。 ただ、もしかすると一つのカギになるのはこちらなのではないかと・・。 こちらは2021年8月12日 こちらは2020年8月4日 そう、桜の落葉です。この時期になると、他の落葉広葉樹に先駆け、ソメイヨシノの落葉が始まります。と同時に、8月は降雨量が少なめなこともあるのか、6月7月に比べて陸地が増えます。 陸地に餌がより増える時期、なのかもしれません。 また、私が観察しているヒトツモンミミズや「しまぐろミミズ(おそらくキクチミミズ)」は一年生のミミズですから、この時期は産卵の時期にあたるのかもしれません。それで産卵に適した場所へ移動しているのかもしれません。 こちら、今年の8月18日、A川の様子。やはりソメイヨシノの落葉は溜まりはじめていました。 這い出し行動が見られなくなった代わりに、彼らの居場所は、この落葉の中に変わっていったのかも・・なんてことを思いついた次第です。 オイカワ。それに15㎝ほどの黒いフナかコイもいました。 護岸には尻尾再生中のヤモリも・・。 唯一、観察できた大型のミミズはこちら13㎝ほどあったでしょうか。「クリームオヨギデカミミズ」でもヒトツモンミミズでも「しまぐろ川ミミズ」でもありません。見つけた時は、護岸を這っていました。 いずれにしてもA川の場合、落葉の下を調べてみる必要がありそうですね。 B川では顕著な落葉はまだ見られていないのですが(クサギの花の香りが印象的です)、やはり這い出しは消えています。こちらも気になるところです。〈若林〉□
【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) ★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★
|