埼玉南部、ずっと良い天気が続いていますね。 これまで冬の川っぷち観察といえばカモなどの水鳥が中心でしたが、この冬はすっかり川ミミズ・・。今気になっていることのひとつは、ドリフター(流れに乗って移動する者)としての川ミミズです。先日、自宅で飼育している川ミミズの餌となるムクノキの腐植を拾いに近所の沢に行った時、川ミミズがドリフトする理由のひとつになるのではないか?と思わしき観察をしました。 このような流れのある沢です。水深は5〜10㎝ほどが中心でしょうか。浅く小さな湧水由来の流れです。 ここで私が探しているのは、自宅で飼育している川ミミズの餌となるムクノキの腐植です。 晩秋にムクノキから落ちた沢に供給された落葉が、ちょうど良い感じに「熟成」されて、川ミミズたちの餌になります。年末からいい感じでしたが、少しずつ量が減ってきている印象。陸地に比べ、川の中は分解が早く、また流されてしまうものもあるため、どんどん少なくなってしまいます。 このような、岸辺の流れの緩い浅瀬などに溜まっているのですが、少しずつ減ってきています。他に溜まるところはないかなーと思って探してみますと・・ こんなところにもあることに気づきました。結構な流れのある瀬のど真ん中に飛び出ている石に落ち葉が引っかかり、まるでミルフィーユのように重なっているところです。 こんな感じ。分解は良い感じに進んでいながら、岸辺の浅瀬に比べて、葉が綺麗に折り重なっていて、良質の餌をたくさん得ることができました。 落ち葉のミルフィーユです。 そして、その中には、この落葉を餌(そして棲家?)とする、小さな生きものがいます。 小さなサワガニ。 小さなクモ。 小さなカワゲラの幼虫。 小さな甲殻類のミズムシ。ほかにもヨコエビの仲間など、小さな生きものたちが、この落ち葉のミルフィーユで暮らしていたのです。 そして、この茶色いヒルの仲間をミルフィーユの中にいくつか見つけた時、自分の中で確信に近いひらめきがありました。川ミミズもきっとこのミルフィーユを利用しているに違いない・・と。なぜならある種類のヒルと川ミミズ(特にツリミミズの仲間)は同じような生活空間にいることが多く、生活スタイルもかなり似ているのではないかと思っていること。そして自宅で飼育する川ミミズもまた、落葉のミルフィーユの中に挟み込まれるように、暮らしているためです。 こんな感じですね。 そして探すこと3分ほど・・。 いきなりいました! まさに、ミルフィーユの隙間を利用しているかのようでした。 葉っぱをめくると出てきました。成体・・なのに結構小さい! おそらくはフトミミズ科のミミズとなりますが、この太さでこのサイズでの成体は、なかなか見たことがない気がします。 ナニミミズなのでしょう・・ 人差し指の第一関節とちょっとぐらい。3㎝ぐらいでしょうか? 「日本産ミミズ大図鑑」によると、コガタミミズという小型のフトミミズがいるそうですが、それでも全長60-80㎜とあります。 この小さな川ミミズを見て、思いました。 もしかすると、川ミミズがドリフトする理由は、新たな餌場にたどり着くためなのではないかと・・。 流されている途中で体が引っかかるところには、落葉や落枝もまた引っかかっており、ミルフィーユのように折り重なって、いい棲家ともなっています。食べものとなる落葉などがたくさん溜まっているところまで、流れていく・・そんな能動的なドリフトも、川ミミズは行っているのかもしれません。湧水の沢は水量の増減も激しくないので、こんな棲家も成り立つのかも・・。 この小型の川ミミズが、そんな生活に特化した体型だとしたら(サクラマスの河川残留型のように!?)、とても面白いことだなーと。そんな妄想を膨らませたのでありました。〈若林〉□
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