今日は晴れ。ちょうどいい気温です。明日は埼玉南部も雪予報。積もったら野ネズミの足跡を見にいきたいです。 さて。新たに見つけたミミズ川。 仕事も詰まってきており、観察はしばらくお預けかなーと思ってもいたのですが、暖かい雨がまとまって降ったものですから、少しだけ覗きに行ってきました。 春の雨は生きものを動かす雨、ですからね。 案の定の増水。そして濁り。でもうっすら川底も見えていますので、ちょうどいい感じかもしれません。でも川底の這い出しは見えないなーと思い、護岸際を見てみますと・・。 うぉ!いた。8㎝ほどの「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」です。湿った護岸に這い上っているやつと半分川の水に浸かっているやつ。いきなり4匹もいました。 水中にもいます。光を嫌がっていることもありますが、結構活発に動いています。 こっちにも・・ こっちにも・・。 こっちにも・・ たくさんいます。すべて「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」と思われます。成体もいれば幼体もいます。 このように鉄の矢板が凹んだところは流れが比較的緩やかになっており、こんなところに多く見ることができました。 ただ、流れの中を張っているものも3、4匹は見ることができました。 面白いのは、タイプ1は、水中をまるで厭わないことなんですよね。このように頭を陸地に出してのんびりしているやつも、光を当てると嫌がって、スルスルと後ろずさりして水中に消えていきます。 彼らにとって川の中は「普段の生活の場」なのだと実感します。 ともあれ。 雨が降ると、やはり川ミミズは動きます。 地上の徘徊も雨がトリガーになっていることは、多く観察されていますが、果たしてそれと同じ理由なのか、それとも違うのかは分かりません。 私が気になっているのは、雨により、川底の砂礫底に暮らしているミミズが這い出してくる理由です。 それは能動的なものなのか、もしくは仕方なく・・なのか? 上流から流れてくるのか、その場の川底の砂礫底にいるやつが這い出してきているだけなのか? 事実としては、雨が降り水かさが増し、濁りと流れが生じると、川ミミズが動き出すということ。 ですが、その理由は分かりません。妄想を膨らませるのみです。 妄想生態学者(?)にとって、とても楽しい時間です。 いくつものストーリーが描けるなか、私が妄想するのは「川ミミズの能動的なドリフト」です。おそらく彼らは濁りや水の流れに乗じて、普段は移動できない場所にまで移動することを願っているのではないかと。そんな妄想を膨らませています。なんのためかといえば、それはさらに食べもののたっぷりある新天地を求めてのことなのではないでしょうか? 少なくても私の目には、苦しくて川底から這い出して仕方なく流されている、というふうには見えません。彼らは至って元気であり、この状況を好ましく感じているようにも見えます(完全なる妄想ですが)。これは別の川でキクチミミズやヒトツモンミミズが雨の日に護岸を這い上る姿とも重なります。 ただ、結果としてミミズたちは川に流されますので、魚などに食べられることが多くなるタイミングとも言えるでしょう。 この夜は、20mほどの区間で30匹以上の這い出しを見ることができました。
ちなみに今朝も少しだけ、のぞいてきました。まだのんびりと砂礫底を徘徊しているやつがいないものかと・・。 濁りは収まり、平水に戻っていました。 そして見たかぎり、ミミズの姿はゼロでした。 皆、夜の間に砂礫底に潜ったのでしょう。おそらくは「新天地」の川底に・・。 ちなみに石をどかしてみると・・ いました。まだ坑道も作っていない状態のミミズが固まって出てきました。おそらくこれからじっくりと砂の中に自分の新たな居を構えるのではないでしょうか? 少し気になったのは、30匹以上観察した川ミミズのほとんどすべてが「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」であったことです。 この川には「クリームオヨギデカミミズ」も「細マッチョ川ミミズ」もいるのに、彼らは1匹も観察することができませんでした。種類によってトリガーが異なるのか、もしくは「タイプ1」の個体数が飛び抜けて多いのか・・。 唯一、観察した別種と思わしきは、2.5㎝ほどの小さな幼体。しっかりした体つきでグネングネン動いていました。 これもまた想像でしかないのですが、時期的にはヒトツモンミミズなどの一年生表層性種のまだ小さな幼体なのではないか・・なんてことを思った次第です。 いやー川ミミズの世界はまだまだ奥深いです。〈若林〉□
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