週末は都内でも積雪がありました。私の暮らす埼玉南部も数センチ積もりました。翌日は暖かな1日で、この冬初めての積雪も、だいぶ溶けました。

そんな雪後の1日の夜。仕事帰りに少しだけ、このところ気になっている川に川ミミズを観にいきました。

風はさほどでもなく、水温は12℃。水位は平水。濁りは少しだけ残っていました。鉄の矢板など、護岸はまだ濡れており、その近辺でこの日も多くの「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」を観察することができました。

こんなポジションが多めです。おそらく雨や雪が降っている間は、もう少し高くまで這い上っているのではないでしょうか。サイズは10㎝ぐらい。

成体も幼体もいました。全部で少なくても14匹。活発に徘徊していたのは一番大型だった(15㎝ぐらい?)やつぐらいで、あとは川底の表面もしくは護岸の際でジッとしていました。

これだけ姿を現すのは、おそらく雪解けによる増水の後だからだと思います。周囲を見ると、40㎝ほどは水位が上がっていたと思われる痕跡がありました。

そして川底には、この川の主要メンツであるこいつも・・

私が「ハクトウ川ミミズ」と呼んでいるミミズです。大きさは7㎝ほど。伸縮率が高いミミズです。体は透き通り、頭部の近くが白っぽく見えます。

こいつは「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」とは異なり、出現するのは主に川の中央の河床の上です。そしてウヨウヨと緩慢ではありますが、動き回っています。

もう1匹。この日は2匹、観察することができました。体は透き通った桜色で、「クリームオヨギデカミミズ」とともに、とても綺麗なミミズです。

この日は一つ、小さな発見がありました。川を這う「ハクトウ川ミミズ」はすでに5匹ぐらい観察していますが、いずれも環帯(いわゆるハチマキ)が見当たりません。そののんびりした動きも気になっており、少し手に取って観察してみました(普段はできるだけ自然の姿を観察したいので、あまり手には取っていないのです)。

やはり環帯はなし。ミミズの特徴を知ることのできる腹側を見ると、なんだか事務所で飼育している、おそらくツリミミズ科の川ミミズと似たような雰囲気を感じました。

なんだかフトミミズ科ではなくツリミミズ科っぽいなーと。よく伸びよく縮む伸縮性にもツリミミズっぽさを感じます。そこでUVを当ててみますと・・

おお! 光っている点々は毛です。明らかにフトミミズの仲間とは異なる毛の配列。おそらくこれはツリミミズなのでしょう。

この川では、おそらくフトミミズ科の「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」と、おそらくツリミミズ科の「ハクトウ川ミミズ」を観察することができる。そして私の愛してやまない「クリームオヨギデカミミズ」的なやつも・・。

満足な観察となりました。

話はもう少し続きます。

この週末、ツイッターで、驚きの投稿を目にしました。写真家の尾園暁さんが、木の樹洞付近の樹液で観察したミミズを投稿していたのです。国内の樹上性のミミズについては、ミミズ研究の第一人者である南谷幸雄さんと辻井隆昭さんによる「木登りをするミミズについて」という、キクチミミズについてのレポートが埼玉県立自然の博物館研究報告にありますが、観察例は少なく、とても貴重な観察です。南谷さんはじめ、ミミズの研究をされている方や、木にのぼるミミズを見たことがある人がそのツイートにコメントをしていました。見た感じ、そのミミズもツリミミズ科の一種なのではないかとも。

きれいな焦茶のコーラ色の体色も素敵なミミズで、しかも、もしかすると樹液から栄養を得ているのでは?・・などという妄想も加わり興味津々。さらなる尾園さんの観察を楽しみにしています。

ツイッターのコメント中で、濡れた壁を這い上るミミズの話があり、そこにはサクラミミズの名前が散見されました。私はまだ見たことのないミミズですが、桜色の体色が特徴であるツリミミズ科のミミズであることは知っていました。改めて、南谷さんが主宰するネットアーカイブである「日本産ミミズ大図鑑」のサクラミミズのページを見てみると、なんだか私が最近観察している「ハクトウ川ミミズ」に似てるんです。いや、見た目はそっくりと言っても過言ではありませんでした。

もしかすると「ハクトウ川ミミズ」は、サクラミミズなのでは!?

いずれ、お腹側の特徴などをもう少ししっかりと観察して、サクラミミズであるかどうかを突き詰めてみたいと思います。

私は自分が観察しているミミズに珍妙な名前を勝手につけて、同一視しながらあれこれと妄想を膨らませいて楽しんでいますが、そもそもミミズは種の同定がとても難しく、判別がなかなかつかないばかりか、一種だと思っているミミズがそうとは限らなかったりもします。

今のところ私の中で「おそらく確かだろう」と言えるのは、特徴のわかりやすいヒトツモンミミズとキクチミミズ、そしてシマミミズの3種類ぐらい。「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」も「クリームオヨギデカミミズ」も、何ミミズであるのか、わからないままです。

種を判別するには、腹側の詳細な観察はもちろん、解剖して内部構造を見なければわからないこともしばしばと言います。まだ解剖まではちょっと及び腰ではありますが、今年あたり、私が三大川ミミズと呼んでいる(つい最近、呼び始めた)「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」と「クリームオヨギデカミミズ」と「ハクトウ川ミミズ」ぐらいは、種を判別できるようになりたいものだと・・そんなことを思いました。

今回は「タイプ1」と「ハクトウ」の這いだし条件の違いについて、あれこれと妄想を膨らませたいと思っていましたが、長くなりましたのでこのぐらいに・・。〈若林〉□

 

追記)ツイッターで、ミミズ研究の第一人者である南谷幸雄さんから「性的乳頭とか思春期隆起とか呼ばれる特徴的な突起」から、サクラミミズで良いと思います、とのコメントをいただきました! ミミズ分類はとても奥深く難しいのですが、改めて自分でもサクラミミズたる特徴を確認したいと思っています。

 

 

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