今日は晴れ。北西風がピューと吹く、冷たい一日。

埼玉南部の2月はだいたいこんな感じなんですよね。低気圧接近に伴い南寄りの風が吹いて暖かくなったかと思うと、抜けて晴れると北風が吹き、その余韻で次の日にグッと冷えるの繰り返し。なので曇りや雨の日の方が暖かい印象があります。

さて。

このところ夜な夜な仕事帰りに観察しているミミズ川ですが、主に「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」と、「ハクトウ川ミミズ」改めサクラミミズの這い出しを観察することができています。

「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」

サクラミミズの尻尾と等脚類のミズムシ。

彼らが川底に這い出してくるのは、私的にはもはや当たり前の日常となりました。ですが解けないナゾは、ナゾのまま。

それは川底に這い出す彼らが「一体何をしているのか?」ということです。

あくまでも妄想の範囲内ではありますが、私的には二つの仮説を立てています。

①移動分散

②摂食

そしてこの二つは関係しているのではないか?などと妄想しています。つまり、新たなる餌場を求めての移動ではないかと。湿った陸地のミミズはしばしば同じ場所にごそっといることがあるんですね。それは食べ物がたくさんあるから集まっていられるのではないかと思うんです。ですが、ミミズはとても大食漢ですから、彼らの本能に「チャンスがあったら新天地に移動せよ」というプログラムがインプットされているのではないか?と思うのです。

陸地の場合、そのトリガーの一つは雨なのではないでしょうか。地表が湿った状態になることで、移動できるチャンスが増え、そのチャンスに新たなる新天地を求めて旅立とうとする奴がいるのではないかと・・。

一方、川の中の場合、雨が降ろうが振るまいが、湿っていることには変わりありません。なので彼らは移動しようと思えばいつだって移動できるわけです。加えて、おそらく河床の砂礫の中は、陸地の土壌や腐植に比べて食べ物が少ないため、陸地のミミズよりも、より一層新天地を求めて移動したがっているのではないかと思うのです。

ただ、一方、移動にはリスクが伴うのではないでしょうか。それは天敵に捕食されるリスクです。だとすると、天敵に襲われるリスクを少なくしながら、新天地へと移動するタイミングを狙っていたりはするのかもしれません。

彼らは夜行性で光を嫌がりますので、這い出しているミミズに白色ライトを当ててしまうと、その直後から砂礫底などへ潜ろうとする逃避行動に変わってしまいます。ですが暗めの赤色ライトはあまり気にならないらしく、薄明かりの中、なんとか彼らの素に近い様子を観察することができている気がします。

これはサクラミミズ。何をしているのかわかりませんが、あまりスルスルと前方へは進まず、一箇所で頭だけをよく振っています。これが何を意味するのかは分かりません。

同じミミズが頭を振ったところです。

もちろん、少しずつ進んだりもしますが、あまり方向性は定まっていない気がします。あっちに行ったりこっちに行ったりしながら頭を振って、時折、砂礫底や石の間に頭を突っ込んで、摂食?のような行動をとりますが、食べてるなこれは・・まで言い切れる観察はできていません。

一方、こちらの「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」は、もう少し、食べているようなそぶりを見せてくれます。もぐもぐと。

そしてこのようにアオミドロのような藻類を口につけていたりもします。

以前には、また別のタイプ1よりも細めのミミズがヒゲナガカワトビケラの捕獲網でもぐもぐしている姿も観察しています。

完全に摂食ばかりが目的とは言い切れませんが、移動しながら少しぐらいは食べていそうな雰囲気があります。

暗くてなかなか観察は難儀ではありますが、彼らの素の行動観察を続けることで、彼らがなぜ這い出しているのかを探るヒントを得られそうな気がしています。

そしてもう一つの手がかりは、やはり雨です。

ここ数日の観察だけでも、その差は顕著です。

雪後→15匹以上(ほぼタイプ1)。

降雨→15匹以上(ほぼタイプ1)。

晴れ・気温5℃・水温11℃→2匹(タイプ1とシマミミズ)

晴れ・気温5℃・水温9℃→6匹(タイプ1が4匹とサクラミミズが2匹)

彼らが雨や雪の日にたくさん這い出してくるとしたら、それはなぜなのか? 仕方なく出てくるのか? それとも待ってました!と出てくるのか? 私は後者だと思うんですよね。

なぜなら降雨や降雪による水位上昇や濁りの発生は、彼らが比較的安全に素早く大きく移動できるチャンスなのではないかと思うからです。

ちょっと色々と妄想が過ぎました。

これを検証していきたい気持ちに駆られるのですが、いくら近所のミミズとはいえ、フィールド調査はかなりタフでしょうから、趣味の範疇を超えていきそうだな・・と。尻込しています。

まずは地道に行動観察を続けてみたいと思います。〈若林〉□

 

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