埼玉南部、今日は最高気温26℃の予報。6月初旬の陽気なのだそうです。

すでにマルタウグイの産卵は終わり(今年は小さな群れを数回見たのみでした。産卵に適した瀬に乏しく、さらに上流に遡上してしまったのか、もしくは遡上数自体が少なかったのか・・)、ニゴイの産卵も終盤だと思っていたんですね。

ところが3日前のまとまった雨が呼び水となったのか、昨日になって、新しい群れが入ってきていました。今日は晴れればいい観察ができそう・・と思い、川へ向かいます。

菜の花もピークは過ぎました。

今年は流れの効いた瀬があまりないんですよね。

ニゴイは下流側に強く引き込まれるような流れを持つ瀬を好んで産卵します。

昨日はこの辺りに5、6匹ほどいたのですが、今朝はほとんど見られず・・。

いくらかこのようなオス同士の競り合いを見ることができました。

メスが不在の様子。

カルガモは相変わらず浅瀬の底をガシャガシャして何かを食べています。

1時間ほど待ちましたが、メスは訪れず、オスも瀬に陣取りもせず。諦めて一度川を離れます。

マイナンバーカードを取得しに市役所へ行き、事務所に向かう前に、もう一度だけ覗いてみますと・・。

いました。ワンペアのみ。手前がオスで35㎝ほど、メスのほうが大きく45㎝以上はありました。オスが小さいとなかなか産卵行動が進まない印象もあるのですが、じゃまをするスニーカーがいない分だけ、いいかも・・と観察を続けると・・。

メスが体を震わせます。

手前がメスです。オスは後方で体をメスのほうに傾けています。産卵体勢に入りました。

ブルブルと雌雄ともに体を震わせ・・

最後にメスが頭をガバッと上げます。

良いシーンを見ることができました。

一度、放卵・放精をすると、何度か続けて行うことも多いので、しばらく・・15分ぐらい待ちます。

腰が痛いなーなんて思いながらぼーっとしていると、ピピピピピッっとけたたましい小鳥の鳴き声が聞こえてきました。

見ると、鳴いているのはセグロセキレイのよう。仕切りに尾羽を広げて持ち上げ、ハシボソガラスに向かって鳴きかけています。ハシボソガラスは・・アッ!

どうやら何かを食べているようです。襲われているのは鳥。まだ生きています。仲間でしょうか、子供でしょうか?

クチバシで羽根がむしられ、食べられていきます。

襲われていたのは、どうやらムクドリのヒナのようでした・・。

しきりに鳴くセグロセキレイ。モビングという行動でしょうか。やれやれ・・といったように、ハシボソガラスはムクドリをくわえたまま、飛び立っていきました。

なんてことだ・・と驚きながらも、またニゴイの観察に戻ると、ピィピィと違う鳴き声が聞こえてきました。

ガガンボ?を口にくわえたセグロセキレイが鳴いています。先ほどのセグロセキレイでしょうか。そして小さなジィジィという声も・・。見ると・・。

ヒナでした。カラスがムクドリを食べていたすぐそばの河原でじっとうずくまっていたようです。親は子に虫を与えます。

しばらくすると、またカラスがやってきました。

セグロセキレイの親はヒナから離れると、カラスの近くで威嚇の鳴き声を上げます。

さっきのやつでしょうか・・。

行水しています。

ハシボソガラスにセグロセキレイのヒナが気づかれやしないかヒヤヒヤしながら、足元のニゴイの産卵のタイミングも見るという忙しさ。

ニゴイのほうが浅瀬に差しました。

メス(前方右側)が放卵する直前のスパスパ!

そしてオスが体を倒して、放精・放卵を観察することができました。

結局、じゃまは一度も入らず、このペアで3度の放精・放卵の瞬間を観察することができました。

産むものがいて、育てるものがいて、食べるものがいる。

川っぷちをたくさんの生きものが行き交う春です。

 

最後に少し宣伝を。

今、川っぷちの自然観察がとても楽しい季節です。ヤマケイ新書『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』には、そんな今時期に楽しめる川の自然観察のやり方などがいろいろとたくさん載っています。

ニゴイの産卵行動の観察の仕方や・・

川っぷちのハシボソガラスについても。

ぜひともパラパラとめくりながら、気になった生きものを観察してみてくださいね。〈若林〉□

 

【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら

★RIVER-WALK Vol.1~Vol.3発売中です!★