今年は2月から観察を始めている川ミミズ。「マッチョ虹色川ミミズ・タイプ1」(おそらくはヘンイセイミミズ)の這い出しとともに、テーマとしていたのは、私の最も愛すべき川ミミズである「クリームオヨギデカミミズ」がいったいいつぐらいから河床上に出現するのかを知ることでした。 ところが「マッチョ」の方の観察がなかなかな展開を見せまして、すっかり「クリーム」の方はおざなりとなっていました。唯一観察絵できたのは、2月8日に幼体らしきものを一匹だけ観察したのみです。 素敵ですね・・。すでに10㎝はありましたが、詳細な長さは記録しておりませんでした・・。もちろん、これが「クリーム」であるという確証はありません。ですが、そうだとすれば、この時期にこのサイズの幼体が出現するということは、ヒトツモンミミズなど夏場に大量に現れる一般的な一年生の表層性種とは、ちょっと異なるのではないかと思います。 できたら「クリーム」の幼体を見てみたいと思い、早くから出現の多い川で観察したかったのですが・・。 実際には、5月に入ってもまるで姿を現してはくれませんでした。 その代わりに、6月ぐらいから成体の出現がドバッと増えるヒトツモンミミズなど13㎝を超えるような(おそらく)表層性種や、キクチミミズなどは、目を凝らすことで幼体の姿を感じられるようになりました。 おそらくはヒトツモンミミズの幼体。 おそらくキクチミミズの幼体。 すでに10㎝はゆうに超えていますが、このタイプはすべて幼体です。 川ミミズは基本的には岸際に多いものなので、護岸の際を重点的に探していますが、キクチミミズやヒトツモンミミズらしき一年生の表層性ミミズの幼体が日を追うごとに成長している様子がありありと体感できました。もう1カ月もすれば、環帯があらわれ、それに合わせてか、這い出しの数も一気にグンと増えます。もしかしたら、元々川の中にいるやつに加えて、護岸の上から落ちてくるものもいるのかもしれません。それぐらいの増加の仕方です。 さて。川ミミズやヨコエビ、ハマベハサミムシとヒゲジロハサミムシも観察できて、十分に満足はしたのですが、今年はどうにも「クリームオヨギデカミミズ」に会うことができません。 そもそも、そこまで数は多くないので、いつも出会いは神出鬼没というか、突然なんですよね。川の中にプカっと浮いていたり、護岸に頭だけ出してだらんとしていたり、ライトに照らされ暗闇に浮かび上がる巨大な白い体はいつ見てもドキッとしますが、今日もダメかーと諦めようとしたんです。 最後に中央の流心あたりを見て帰ろうとしたら・・いました。 おそらくはヒトツモンミミズの幼体です。10㎝ちょっと。 意外なぐらい流れの効いたところにいたのです。 そしてさらに流れを辿っていくと・・。 4匹いました。いずれもおそらくはヒトツモンミミズなど表層性種の幼体ですが、結構強い流れの中にいて、「こんな感じだったっけ?」と軽い驚きがありました。知らぬうちに自分の中で「いるならこんなところ」と決めつけていたんですね。 実際に目にすると、そうそう、こんな流れのところにもいたよなーと思い出し、さらに普段はあまり行かない少し上流まで流れをたどっていきましたところ・・。 おお・・おった!! 情報量多めの出会いのシーン。 ただ、ひと目でそれとわかります。 アメリカザリガニです・・。いや、「クリームオヨギデカミミズ」です! 光を当てると嫌がって砂礫の中へと潜っていきますザリガニさん、大丈夫? 水中から覗くとこんな感じ。 白くてギザギザの尻尾! 色白のボディ! 少し出てきてもらいました。素晴らしい体です。そしてしっかりと成体です。つまり、ヒトツモンミミズなどの表層性種よりも季節的に生育が早いということです。面白いことにヒトツモンミミズが一気に増える7月ごろには、ほとんど川から姿を消してしまいます。 ヘンイセイミミズのように冬でも成体のいる越年性なのか? もしくは冬を通して幼体が成長してこの春に成体となるタイプなのか? いずれにしても、おそらくは昨年のうちに孵化はしていることでしょう。 生活史を知りたいです。 腹面。雄性孔は目立ちませんが、左右にうっすらと色づいている何かはあります。そして特徴は、その周り(環帯の後方)の体内が白っぽくなっていることです。内部のなにかです(摂護腺?)。 そして・・ ご覧の蛍光発光!! ふわふわの手応えもまた「クリーム」の特徴。ヒトツモンミミズとはまるで異なる手触りです。フワフワです。でもなにかをきっかけに突然ムキッと筋肉質になったりもします。いろいろ魅力的なんです。 すっかり満足して帰ろうかと思ったら・・ なんと対岸にもう一匹! しかもかなりデカめです。 この尻尾よ! ゆうに25㎝を超えていました。 今年も「クリームオヨギデカミミズ」に出会うことができました。〈若林〉□
【お知らせ】川辺の自然観察をまとめた一冊、『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』発売中です!(アマゾンの販売ページはこちら) |